追記:色んな人の意見は大事ってことで、こえのおとさんの記事も置いておきますね。
どうも、おにじです。
今月はブログ強化月間か?という次元での書きたいネタの多さでビビっております。
今回は、ちょっと前話題になった、花守ゆみりさんの話題。
膝蓋骨亜脱臼及び半月板損傷によって、リステから離脱が確定した上で、声優バイブル2020にての「アイドル声優になりたくない」発言が、色々と波紋を呼んだわけだが。
まぁ声豚が騒ぎに騒いでいたが、結局内容を読んでなさそうなのばっかりで、なんだかなあと思ったので、
遅れましたが金曜日に声優バイブル2020を購入。
とりあえず花守さんのインタビューをしっかり読んだ上で感想を言おうと思った次第です。
要点はある程度引用する形で紹介するつもりですが、(というか引用を割としっかりしないと本位は見えてこないよなあとも思ったので、引用は多め)
お手元にもこの本を購入した上で、自分の意見も持ってほしいかなとも思ってます。
日経エンタテインメント! アニメSpecial 声優バイブル2020 (日経BPムック)
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記事のタイトルは
『 「常に役者として驚かせたい」 今、最も波に乗る、こだわりの実力派 花守ゆみり』
である。
花守ゆみりさん自身が実力派で有ることは、もう周知の事実である訳で、それらしいタイトルだと思う。
花守さんの演技としての良さは前の記事に書いてるので、そっちを読んでほしい…
聞き手はミュ~コミ+でお馴染み、吉田尚記アナウンサー。
メインになりたがりすぎるのと、尺を全く守らないのとかを除けばアニメ界有数の司会であるよっぴーですね。
98ページに花守さんの画像がドーンと貼られ、そこから105ページまで8ページに渡るインタビュー。
『日経エンタテインメント!』4月号にあったインタビューの全対話、8417words完全収録バージョンということだ。
この記事の始まり方が、
『最近の若手声優には子供っぽい所を期待するファンが多いが、花守さんは意外と大人っぽさが核にあるのではないか?』
という所から始まっており、この記事ではそういう花守さんの内面を掘り下げていく感じであることを感じさせます。
まず序盤の文章。
“花守「役者の仕事をやっていながら言うのもアレかもしれませんが、素の自分を偽るのが苦手な人間なんですよ」“
“吉田「素の自分を偽るのが苦手ということは、素を見せるほうがむしろ得意なんですか?」
花守「どちらも苦手です。最近、声優さんの仕事ってメディアへの露出が多くなっていますよね。そうした場で偽るのが苦手なんですが、結局、求められているものを見せようとしてしまうクセがあります。」”
この記載は、なんというか色々と頑張りすぎる人だなと。
なんというか、今の役者っぽくないなとも感じますし、そういう無理をきたしてのリステ降板なんだろうなあとも。
そこから母親がスポーツのインストラクターで、子供時代の運動の話題になってるんですが、自分のやりたいことをやらせたいと親御さんは思われていたようで、最初はバレエ、その後がテニスだったそうなんですが…
“「でも、どちらも理想の自分に追いつけなくて、膝を壊してやめちゃったんです」”
元々膝を壊していた、というのはリステ降板時にありましたが、これはスポーツでの習い事によってのモノだったようです。
あと、『理想の自分』という言葉にも注目したい所ですね。
読んでいて、花守さんの理想という点は非常に高い所に設定されているなと感じます。
それは声優に限らず、このバレエやテニスでもそうなので、彼女の性格が現れているんでしょうか。
彼女の面白い点としては、まず一番最初は進んで声優になった訳でもなく、声優という職業がどういうものかもイマイチ分からないままこの世界に飛び込んでいる点です。
“「当時、友達何人かとテニスをやっている時に、「戦うヒロインみたい」と褒められていて、そのなかの声優好きの友人に「ゆみりんも一緒に行こう」ってオーディションに誘われて、記念受験したんです。アニメは好きでしたが、まだ声優という職業はイメージできていませんでした。そんないろいろなご縁があって、この仕事をすることになりました。」”
友人の誘いから、声優へと飛び込んだ花守さんですが、「マイクの前が怖かった」と、これまた声優っぽくない言葉が出てくるんですよね。
“「失敗するかもということより、目の前に人がいるのが怖くて。(業界に)入ってから、人にどこかで見られている仕事なんだという事に気づいて、「なんでここにいるんだろう」って。若かったから、声の仕事より、顔出しの仕事のほうが多かったんですよね」”
花守さんの中での全くゼロで始まっている声優。そのイメージは1対1でマイクの前に経って役に声を吹き込むイメージだったようで、それとのギャップにかなり困惑をし、しんどい日々を送っていたようです。
ここでも、花守さんの頑張りすぎてしまう部分が出ていたようです。
“「(略)周りの大人も全員怖いし、でも、逆にそうなればそうなるほど、笑ってたんですよね。今でも、当時の写真とか見ると、逆に恥ずかしいというか、つらくなっちゃう。」”
なんというか、花守さんって出てきたてってめっちゃ笑ってるイメージあるんですけど、そういう所になってた感じだったんでしょうかね…
なんというか、ここで思うのは髪切ったのって、自分の好みもあったのかもしれないけど、そんな過去の自分との決別だったのかもなあとか。その話は後に出てくることでも思うんですけど。
声優の友達が出来てからはだいぶ変わったという事ですが、その中でも黒沢ともよさんの存在が大きかったようです。
“「すごく感動して悔しくなっちゃった。彼女はこんなに偉大なのに、自分はなんてちっぽけなんだろうって。」”
“「悔しいと思って、自分でもびっくりしちゃって。彼女をはじめ、生きていくうえで「表現者になりたい」と思って、そこから出会った人たちには、本当にいろいろな刺激をいただきました。」”
ここで、花守さんの声優への理想が構築された感じがしますよね。
演技にこだわっていく方向になるのに、黒沢さんが出てくるのはなんというかそうだよなあとw
子役や舞台の経験が豊富で、演技力があの世代でのずば抜けた声優である黒沢さんですからね…まぁ強いわよと。
“「自分も変わっていけると感じられることが、この仕事で良かったな、この仕事に巡りあえてよかったなとすごく思いますね。」”
とあり、ここで声優としてどこを目指すのか、それが確定した感じがします。
この流れで、話題となったアイドル声優は嫌だの流れに入っていきます。
ここで、彼女の中に理想が生まれ、バレエやテニスと同じように、それと戦うことになる。
そうなった時、人の目に触れるところでの仕事が苦手だった理由が分かったようです。
“「今は演じさせていただいているキャラクターを背負って、そのキャラクターと自分が同一視されるのが、なにか違うなって思うんですね。」”
“「私たち声優が前に出て、(中略)キャラ準拠で歌ったり踊ったりしますけど、それがどうしても自分の中で受け入れられないんです。その子(キャラクター)を背負って人前に出るというのは、その子の何かを変えてしまう気がして。」”
彼女の中においての声優像って、凄い今時じゃないんですよね、
でもこの記事で通ってきた道を見ると、そうなるのがすごくわかりません?
キャラクターを声優は超えちゃいけない。そういう物が、理想がはっきりした時に見えてきたようです。
そして、この記事で勝手にですが、ずっと疑問に思っていたこと、この記事が出た時にも思ったことが解決しました。それが次の文なんですけども。
“「声優に正しい形はないと思うんですけど、あくまで自分の中ではキャラクターを陰から作る作り手でありたいなという気持ちが、20歳くらいから強くなりました。」"
ここでは現在の理想が書かれているんですが、注目したいのは
『20歳くらい』という点である。
この20歳というのは2017年にあたるのだが、ここでの花守さんの動き、そしてこれまでの動きを思い出してみよう。
そうすると、記事が出た時の疑問や、前々から思っていた疑問がこの一文で大体解決してしまうのだ。
2017年、彼女が20歳になる年に彼女は大きく動いている。
そう、事務所移籍だ。
花守さんは2017年4月にスワロウ(元ポニーキャニオンアーティスツ)からm&iに移籍をしている。
なぜ移籍をする必要があったのか、よりにもよってなんでそんな力のなさそうなm&iなんかに行くのか(ごめんねm&iさん当時はそう思ったのごめんね)と僕は思ってた訳ですよ。
これは、やっぱり表でそういう事をしたくないという意志が固まったから、ポニキャン系から出た、という解釈で良いんじゃないかなあと、コレを読んで思いました。
「アイドル声優でいたくないなら、なんで最初ポニキャンに行ったの?」
という疑問が、当時この記事が出た際に出ていた意見でした。
答えは簡単だったのです。その当時はそういう事も分かっていない状態であった。
そこから理想が生まれたから、そのポニキャンを出た。
非常にわかりやすい答えだったなと思いました。
移籍してから髪を切ったのも、前述の「昔の自分を見ると…」も重ねて、色んな意味での方針転換での過去からの決別、変わろうという意志の現れだったのではないかな?とか。
「なら、なんでアイマス声優なんか…」とかも、
それは2016年に発表されてるから、決まってるのはもうちょっと前、ポニキャン側の意向もありそうだし、彼女の意志が固まる前であったと考えれば、一応説明はつきそうです。
リステは微妙だけど。出てるのが2017年だから、それよりも前にやってそうだから、一応これで説明になりそうな気はするんだけども。
花守さんは、理想を追い求めて環境を変えて、演技にこだわる声優に完全にシフトしていった…という事じゃないかなあとか。
あと花守さんのアイドル声優発言で間違っちゃいけない点は、
“「私自身がキャラの服を着てその子の歌を歌うのは、だんだん受け入れられなくなってきた」”
とかは言ってるんですけども、
“「他の人がやっているのを見ると感動するんですけど、自分がやるのはどうしてもモヤモヤして。このモヤモヤがあることで、ますますキャラクターじゃなくて自分が認識されてしまうんじゃないか、それが嫌になって」"
との記載がすぐ後に有るように、他の人がやっていることを否定しているわけじゃないことです。
自分の中の自分がやることへの理想と、他の人は同一視していない…という点です。
また、最も拡散されたであろう、
“「そう、イベント大嫌い!(笑)恥ずかしいので。古い考えかもしれませんけど、なんで声を演じている人を見るんだろうって、アイドルみたいなことを自分がやるのが、受け入れられないんです。」”
“「「アイドルにはなりたくない」。簡単に言えばそういうことですね。声優としてどうあるのかというのは本当に広いから人それぞれだと思うんですけど、アイドルをするのが普通で歌って踊って、というのは無理になっちゃったんです。」”
という文章。これは前後を読まないと、ただのワガママに見えちゃいますよと。
偏向報道や切り取り報道にうるさいオタクが多いわけですが、まさにこれも切り取りなのでは?とかおもったりしますよね。
この言葉の前にはこうあるんですよ例えば。
吉田アナが憑依型かそうじゃないかという話になって、感覚が分からないと答えた花守さん。
それで、吉田アナはそれは多分憑依型ではないのではないか?という話をしてるんですが(この花守さんのインタビューの前が憑依型の上田麗奈さんだったのも関係してるのかな?)
“「でも、私は自分が見られていると感じるとそうでもないんですけど、台本を持ってマイクを持っているときは、自分の意識があっても口は違っていて、出てくる声は彼女たちのものだと思っているんです。その子がしゃべっているのを聴いてるんですよね。そういうあり方なんですけど、それがみんなの前に出ると、自分になってしまうんです。」”
とあります。
この次が「イベント大嫌い!(笑)」に繋がって、そしてこの後には
“「だって素の自分が出ちゃうから。声優じゃなく、キャラクターを届けたいのに。歌ったり踊ったりするのもキャラ準拠。なのに、キャラクターじゃなく声優がかわいいという見られ方をするのが、多分嫌だったんですね。」"
とあるんですよ。
あくまでも演じる際は自分ではなくキャラでいたい。
だけど、イベントだとそれが自分になってしまう。だから、イベントが嫌い。
という流れになるわけですよ。
こうなれば、ただのわがままではないですよね?
花守さんのキャラの向き合い方とイベントが合わないという感じでしょうか。
あくまでもキャラを見ていてほしい声優さんということでしょうかね。
ここまで読んでめちゃくちゃおもしろいインタビューだなあと。
彼女の中での声優のイメージが全く形成されていない所から、
声優という職業をやりながら、『理想の声優像』が形成されていっている感じがして、
それから彼女が理想を追っていく中で、色々と感じていって…
それがこれまでの花守さんの動きが裏付けられているような感覚を覚え、読みながら興奮してしまいました。
最初は顔を出していた、アイドル声優っぽかった、そもそもポニキャン系列に入ったのはまだそういう物が形成される前だったから。
それが形成されたら、事務所は移籍し、髪は切り、その道へと突き進み始めた。
という花守ゆみりさんの中での変化を感じられるインタビューでした。
その変化があったからこそ、今の実力派声優花守ゆみりが出来たのではないかなと。
かなり引用してしまったので(ちゃんと花守さんの真意を伝えたかった)、この後の話はざっくりめに言いますが、ここからの話がもう声優の演技面についてやたらと過激派のおにじさんは頷いてばっかりでした。
ちょっとだけ話しますが、
“「「こういう子かな?、あ、違った」と言われるのが大好きなんですよ。
「俺の知ってるゆみりじゃない!」って言われると、すっごい盛り上がります!」”
とか、ホントもう「えとたま」から花守ゆみりさん追っててよかったって本気で思いましたね。
そうなんですよ、声優って顔が出ないんだから、声が変えれて、いろんな物になれる。
多彩な声で僕らを驚かせてくれるのが一番楽しいと思うんですよね。
こういう声で来るのかな?を超えてきてくれる声優がやっぱり強い。
それは七色の声を持つと言われる山寺宏一さんを皆絶賛している所に帰結する気もします。
それを喜んでいる声優さんって、最近少ないのかな?って思ってたんで、
こういうの読むだけであぁやっぱ最高だなあ…とか。
あと、花守さんの中で手応えを感じたのが、わすゆの三ノ輪銀ちゃんだったりする所も、前回の声優を褒める記事での花守さんの所で書いたところとかなり認識が近くて嬉しかったですね。
ゲームの時からアニメになるに当たってのブラッシュアップ。
花守さんの演技が「かわいい」だけでなく「かっこいい」になった銀ちゃんは、個人的には代表作の一つに推したいのでね…
なんというかまさに理想の声優なんだよなあという感想です。
「本当にキャラがいる」とか「こういう子かな?、あ、違った」で喜んでいそうな声優さんって減った気がするんですよ。
だって声を変えないから。
そういう点で、ある意味いまの声優業界からは逆行してるんだろうけど、こういう声優さんがいないと、声優さんって続いて行かないんじゃないかなあとも感じました。
どっちかが間違ってるとか、そういう事を議論する以前に(いや、まぁ歌って踊る声優が対して演技力もなくて声幅もなかったら怒るけどね?)
そういうのはある程度いないと、その場所が回っていかないというか、新陳代謝していかないと思うんですよね。
最近の声優業界って、どうしても顔とかどうの言った結果、
新人声優はいっぱい出ているんだけども、
上が固まっていて、長期的にメインに座れる若手声優が多くないというか、
座れたとしても見劣りするなあとか、そういう事ってあると思うんですけど、
そういう中で、しっかりと椅子に座って、その力を見せている花守さんって存在はある意味貴重だし、こういう思考があるからこそ座れたのかなあとかも思います。
声優という物は、理想はあれど、しっかりとした声優像というものはなく、割と時代の流れに漂うモノで。
現状のあまりのアイドル声優への舵取りは後々自分たちの首を締めると個人的には思い続けているが、ある程度共存していくのが現状ベターであろう。アイドル声優が好きなオタクもいるだろうし。
ただ、業界として声優本人の意志で、握手会をとかをするかどうか、参加するかどうかとか、ライブするかどうかとか、そういうのを選択できるように変わって行かないと、
今後の日本の声優は、結果として演技力の高い声優が生まれにくくなったり、俳優女優、VTuberに食われる職業になりかねないという危機感くらいは持つべきだろう。