おにじと申します。
今回は、アニメ・声優関連のお話。
世の中における流行り廃りというのは、どんどん加速している印象があるわけだが。
そういう中で、『ぼっち・ざ・ろっく!』及び『結束バンド』という存在は上手くその賞味期限を伸ばしている感じがある。
アニメは2022年の秋クールに行われた訳で、もう1年以上が経過しているものの、その勢いというのは思ったよりも弱まっていないのかなと言う感じがある。
いよいよアニメの劇場総集編である『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:』、『劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく! Re:Re:』の放映も近くなってきており、多くの期待が寄せられている二期という存在に向けてのアニプレックスによる延命は新曲の存在と共にある程度は作用してそうではあり、上手く凌いでいるなと。
この凌ぐという所でもう一つ大きいのは、リアルでの『結束バンド』としての活動というところも大きいように感じる。
アニメイベントである『ぼっち・ざ・ろっく!です。』での二曲の歌唱から始まったリアルとしての活動。
そこから一ヶ月後にワンマンライブイベント『結束バンドLIVE-恒星-』が行われ、そこから各所でリアルでの結束バンドの活動が続いている。
『マイナビ 閃光ライオット2023 produced by SCHOOL OF LOCK!』では、青山吉能が『転がる岩、君に朝が降る』を歌唱したり、
『NHK WORLD-JAPAN MUSIC FESTIVAL』では、NHKで長谷川育美が歌唱。そこから、『ANIPLEX 20th Anniversary Event -THANX-』、『JAPAN JAM 2024』と外部のライブやフェスにも参加して歌唱を行うなど、精力的な活動が続いており、こちらの人気や反響というのは非常に大きいように感じる。
直近の『JAPAN JAM 2024』は、野外フェスであり過去最高規模の中でのライブとなったわけだが、その中での盛況っぷりったら、映像で見るだけでも中々のものである。
「青春コンプレックス」
— アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」公式 (@BTR_anime) 2024年5月4日
from JAPAN JAM 2024#結束バンド #ぼっち・ざ・ろっく #JAPANJAM #JJ2024 pic.twitter.com/lsJBdmpy0S
このJJのステージにて、Zeppでのツアーライブを9月から行うことを発表。
結束バンドのライブとしての活動は今後も活発に続きそうである。
━━━━━━━━
— アニメ「ぼっち・ざ・ろっく!」公式 (@BTR_anime) 2024年5月4日
結束バンド
𝗭𝗘𝗣𝗣 𝗧𝗢𝗨𝗥 𝟮𝟬𝟮𝟰
“𝗪𝗲 𝘄𝗶𝗹𝗹”
━━━━━━━━#結束バンド 全国 5 都市で
ZEPP ツアー開催決定!!
9/8 Zepp Osaka Bayside
10/19 Zepp Sapporo
11/3 Zepp Haneda(TOKYO)
11/24 Zepp Nagoya
12/22 Zepp Fukuoka#ぼっち・ざ・ろっく pic.twitter.com/OFpUV02xJ0
こういう活動の中で、結束バンドのリアルでのやり方としては、声優が歌い、演奏はプロが行うという方式でやっている。
基本的に結束バンドの歌はボーカルである喜多郁代役である長谷川育美が大半を務めていることもあり、外部ライブの大半は長谷川のみが行く方式となっている。(まぁ閃光ライオットだけは青山だったし、青山だけはギターヒーローの道の企画で二曲ギターに挑戦していたりするのですべてではないが)
基本的なリアルでの活動は、長谷川育美とバンドメンバーという感じとなっているわけである。
一方で、日は違うものの同じように『JAPAN JAM 2024』に出演していたアニメ・コンテンツ系のユニットとして『MyGO!!!!!』がいた。
「JAPAN JAM 2024」#バンドリ からMyGO!!!!!が出演しました。
— MyGO!!!!!公式 (@bang_dream_mygo) 2024年5月3日
【セットリスト】
1. 迷星叫
2. 壱雫空
3. 影色舞
4. 碧天伴走
5. 砂寸奏
6. 歌いましょう鳴らしましょう
7. 音一会
たくさんの温かいご声援をいただき、
ありがとうございました。#JJ2024 #JAPANJAM#MyGO pic.twitter.com/mwsg4ymk8e
こちらはブシロード系バンドコンテンツである『BanG Dream!』の派生作品の一つであるわけだが、なんなら本家よりも人気出たんじゃないかってくらい、MyGO!!!!!の人気って結構ある感じである。
で、こっちのリアルバンド活動も非常に活発であり、2022年の初ライブからもう5thLIVEまでを完了させている上、合同ライブ等も含めると更に多くの活動が行われている。
今年は4会場でのZeppでのツアーを完遂。1ヶ月ちょいで4公演するという異常頻度での開催。その後一ヶ月後にPoppin'Partyとの合同ライブを4月末に行い、JJに出演した。
こちらの『MyGO!!!!!』は、キャストが全員キャラと同じ担当としてライブに参加しており、ギターやベース、ドラムなどの演奏を行っている。
この方式は、BanG Dream!シリーズの一部で行われている手法である。
キャストがゴリゴリに演奏する姿というのは、最早バンドリシリーズにおいてはお決まりとなりつつある感じがあるし、他にもこういう手法を取っているモノも普通にあるような感じがする。それこそ放送されている『ガールズバンドクライ』とかは、オーディションで引っ張ってきて、この方式を取っている感じだったりするし。
この両方盛況っぷりを感じるアニメ・コンテンツ系バンドに関して、色々な意見というのはでているように感じる。
結束バンドのような方式という所に対しては、実質的な長谷川育美のソロライブではないか、結束バンドと言えるのか?という意見がある。
MyGO!!!!!のような方式に関しては、声優への負担という所が大きいのではないか?ライブ頻度が相変わらず高すぎるのではないかという意見とかもあったりする。
こういうバンド系のリアルでの動きという所は、色々な方法があるが、現状大まかにはこの2つに二分されていると言って良い。この声優が行うバンド系のモノに関しての運用に関して、今回は考えてみようと思う。

それぞれの方式のメリット
では、まずはそれぞれのメリットという所を考えてみよう。
で、まぁここからはそれぞれの方式の呼び方をとりあえず決めて、その言い方で統一する。
正確な言い方をすると『声優は歌唱のみで、後はプロにまかせる方式』と『声優が楽器含めて全てを担当する方式』みたいな言い方になるのだが、長すぎるしややこしいので、今回は『結束バンド方式』と『バンドリ方式』という言い方をして、端的に表現することにする。
ではメリットを見ていこう。
結束バンド方式のメリット
ライブのクオリティが高くなる
やはりプロの演奏者が楽器を担当する…ということは、クオリティがそもそも高くなる。という所は大きいだろう。
どれだけ声優に経験があろうと、技術が声優としては高かろうと、プロの演奏者に敵うというのは難しい。演奏としてのクオリティを求めるのであれば、本職であることは絶対条件とも言える。
ライブにおいての楽曲の完成度が上がって、ライブの満足感というのを上げることが出来るんじゃないだろうか。
声優の負担が低減される
やはりこれも大きい所。声優への負担が大きく低減される。
声優が楽器を演奏しないことによって、歌唱という所にしっかりと集中することが出来る。
することが増えるというのは、それだけ声優への負担が高まってしまうことになる。
別に声優は当該アニメ・コンテンツだけで仕事をしているわけではない訳であり、それぞれのバランスを取っていく必要性があり、そういうのを取りやすくなる。
現在の声優はコンテンツ系でのライブなども存在するので、歌という所は求められやすいわけだが、楽器は必要とはされていない訳であり、それを求めていくというのは厳しい部分もある。
練習時間を含めると、楽器を担当するしないでは負担が大きく異なってくることになるので、これは大きい。
プロの演奏の技術・安定感
1番目と重複する所もあるが、プロの技術と安定感という所はやはり大きな部分となってくる。
単純にトラブルやミスという所の不安定さが声優が担当するよりも少なくなるというところは、イベントが無事行われるという所において大切な部分であるように感じる。
『結束バンド』の場合であれば、ギターの弦が一本切れた状態での演奏を求められたり、ギターヒーローとしての高度な技術が求められるソロがあったりするわけだが、こういうものはしっかりと成功してこそ(原作で成功している為)ライブとして成立する部分もあるわけであり、こういう所においてはプロの技術という所に頼ることが出来るというのは大きい。
プロが演奏する前提で様々な楽曲を作れる
声優が演奏しない、プロが演奏するという前提であれば、技量という所に気を使う必要性がほぼなくなります。(もちろんプロも人間なので、無理ゲーを作ることは許されないだろうが)
バンドとして色々なジャンルの音楽を作ることがしやすくなると考えられる。
様々な楽曲を、技量という所を考えずに、多彩なジャンルで作ることが出来れば、単純にバンド音楽としてのクオリティも上がることが出来るし、色々な楽曲が出来ることによって、興味を持ってくれる人間が増える可能性もある。
バンドとしてワンパターンになることを避けやすくなるので、好影響を与えてくれる場合は多いだろう。
声優全員のスケジュールを合わせなくて良い・バンドメンバーに融通が効く
キャストは歌唱のみを担当するため、最悪全ての声優が揃っていなくとも、歌うボーカルがいれば問題ないという言い方が出来る。
このため、全ての声優のスケジュールをあわせるという難しそうなことを回避できる。
また、演奏の方に関しても、表立ってどうこうするわけではないので、全ての演奏者が同じである必要がなく、スケジュールに問題があれば代役を立てることが容易であるというところも、活動をフレキシブルに出来る要素と言える。
声優の選出に楽器経験やスケジュール等を考慮する必要がない
キャスティングをする上で、キャラに合っているか?相応しいか?という所に集中してキャスティングすることが出来る。
どうしてもライブでの演奏を前提とした場合、ライブのクオリティを求める場合はやはりその楽器を経験している声優というのは優先せざるを得なくなってくる。
1からスタートして、公に出せる、生のライブで演奏できる状態に持っていくのは中々無理がある。(長い時間をかければ可能かもしれないが)
また、経験者であっても楽器の練習という所はかなり必要であり、その練習に使える時間がその声優に存在するのか?という所も考慮に入れなければならないかもしれない。
アニメやコンテンツにおいて、まず優先されることはライブではなく、キャラクターとしての演技、キャラクターとマッチしているか、という基本的な所である。
この方式を取ることでその大切な部分だけを優先することが出来る。
バンドリ方式のメリット
バンドとしての実在感と統一感が生まれる
バンドリの方式のメリットとしては、二次元におけるバンドというのが、三次元にも実在しているというのを感じることが出来る。統一感が出るという所ではないだろうか。
まぁこれは簡単な話、アニメ・コンテンツで出ているのと同じ声の人が、キャラと同じように演奏している・歌唱しているというスタイルは見ていて分かりやすいと思う。
なんかオタクっていうのは、『キャラがそこにいる』みたいな事象を好む傾向があり、バンドでもそれをやったらオタクの一部層は満足度が高まると思う。
声優としての表現を広げる・個性がより出る
楽器を演奏するというのは、声優として本来求められる能力ではないが、表現という所は広がるという言い方は出来るんじゃないかなと。
ライブパフォーマンス全体としての表現というのは、演じている声優から出てくることによっての力というのは存在するように感じるし、ライブを含めて表現という所を出すことが出来る…とも言える。
そういう所に新たな部分が発見できたり、個性が出たりすることもあるように思う。
魅力と感じるファン層が確実にいる
声優を楽器を演奏することを求めているファン層というのは、現代日本において一定以上存在することは明らかである。
実際、上記のような所において、新たな声優の魅力という所を感じることが出来ることもあるように思うし、ファンとの繋がりという所をリアルバンドでより感じられるとも言えるように感じる。
声優って凄いっていうのを、こういうので感じることが出来る部分も含めて、需要は確実に存在する。
新たなファン層を獲得出来る
上と被ってそうだが、こういう方式を取ることによって、獲得できるファン層って確実に存在するような感じがする。
別に声優というものに興味がなくとも、音楽ファンみたいなモノからも興味を色々な意味で引くことが出来るというのは大切であると思う。
やっていく中で、色々な層を引き込みやすいかもしれない。
バンドの成長を感じやすい
この方式では、同じ声優が常に演奏し続けることになるので、演者が確実に同じになる。
これによって、時間の経過と共にバンドメンバーとしての声優の成長というのを感じやすいと言えると思う。
やはり1st LIVEよりは、そこから時間が経って、2nd、3rd…と続けていくことによって、声優の日々の練習であったり、ライブ活動を通しての演奏技術の成長というのを見ることが出来るのではないだろうか。
努力していることが客としても分かりやすいと思うし、そういう力を感じることが出来ると思う。
それぞれの方式のデメリット
では逆にそれぞれの方式のデメリットはなんだろうか?
こちらも考えてみよう。
結束バンド方式のデメリット
2次元との乖離感
この方式はあくまでも声優は歌唱のみを担当して、バンドは声優が担当しないので、2次元(アニメ・コンテンツ)におけるバンドとは異なる方式でリアルでは行うという方式となってくる。
という所で、アニメ・コンテンツで見たモノがリアルに出てきました!感は薄いと言えるだろう。
実際プロの演奏はもちろん凄いんだけど、プロの方々は別にアニメ・コンテンツではキャラクターの演者ではないからね…と考える人間が一定存在するのは間違いないだろう。
声優の関わりの程度が下がる為、存在感が下がる
声優は歌しか担当しない為、リアルでの活動という所に関しては存在感が下がるという言い方ができる。
歌を担当するとは言え、バンドではギター、ベース、ドラムなどの楽器の要素というのも大きいと言える。かっこいいみたいな所はこういう伴奏・演奏という所が担っている場合というのは、ライブ・イベントという所が大きいというか、見せ場っていうのはこういう演奏の所も結構ある。
そういうのがプロの演奏という所になると、声優が見せられる事というのは、相対的に低下するので、このライブにおいて歌唱は担当しているものの、存在感というのは下がってしまう…という言い方が出来る場合もあるだろう。
バンドとしての統一感が不足していると考える場合もある
結束バンドの方式だと、バンドとしての統一感という所が不足しているという言い方も出来るかもしれない。
大体バンド系というのは、一人で歌うことが大半である為、声優というのは一人、もしくは一人ずつ出てくるような方式になってくることになるわけである。
となると、全員が揃うという感じではなくなってしまうことが多いため、キャストを総括して『バンド』という言い方出来るほどのものなのか?という所が出てきてしまうとも言えてしまうような感じがする。
これは演奏者側にも言えることであり、表立ってというわけではないので、変えは効くというところはメリットではあるのだが、一方で全てのイベントで統一されているわけではないということでもあり、プロである以上は勿論いい演奏をしてくれる訳だが、統一性という所で言うとないとも言えてしまうかもしれない。
声優の個性という所を出しにくくなる可能性がある
声優はあくまでも歌唱というところに集中するので、単純に露出する時間というところも少なくなるし、歌うという所以外での動きや活動というのが、声優の個性をより出す場合もあるので、そういう機会というのはあまり出てこないことになってしまう可能性がある。
音楽面での表現という所は、バンドリ方式よりも少なくなるので、そういう所が阻害されてしまう可能性というのはあるだろう。
声優と演奏サイドでの実力が乖離する可能性がより高くなる
これはバンドとかに限らず、全てのアイドルコンテンツ系統とかにも言えることかもしれんし、他にも言えることはいくらでもある気がするんだが、声優側が演奏に関して技量的に物足りない感じになる可能性というのはあるかもしれない。
やっぱりプロの演奏というのは素晴らしい訳であり、一方で声優というのは歌を歌うことは別に一番求められていることではない…という所を考えると仕方ないことではあるし、別に声優が悪いわけではないのだが、そのような状態になる可能性というのは、十分にある。
実質的なソロ活動と言われる可能性
演奏メンバーがプロで、歌唱のみ声優という形となると、基本的に歌うのは一人になる場合というのが多く、声優の関わりの割合が下がることもあり、実質的なソロ活動なのではないか?という声が出てくる可能性がある。
特に結束バンドは、基本的に大半の楽曲を長谷川育美が歌唱しており、大体のライブに関しても長谷川育美だけが行くことが多い結果、このような声というのを聞く場合というのは多いような気はする。(まぁアレは結束バンドという設定を大切にしたいんだろうけど…NHKに出た時みたいに『結束バンド Vo.長谷川育美』とかの表記にすりゃいいのになとかは思う)
まぁ作品におけるボーカルの設定上仕方ないことではあるのだが、結局結束バンドと言いながら全員揃ってないから結束バンドではなくソロ活動だろという声が出てくるわけである。
バンドリ方式のデメリット
声優への負担が大きい
バンドリ方式は、とにもかくにも声優への負担が大きいことが最大のデメリットである。
楽器を演奏するということにどれだけの負担があるのか?って考えるまでもなく大きいわけで。
イベントに向けて、収録に向けて練習や準備を行うという所において、精神的にも肉体的にも大きな負担がかかることになる。
バンドリのようなライブやイベントの頻度であれば、空いていることの方が少ない感じで、更に疲労やストレスを抱えることにもなるかもしれない。
スケジューリングの難しさ・時間の制約
声優というのは、別に楽器を弾くための仕事ではないので、声優として他の色々な仕事を行っているし、毎クールのようにオーディションなどを行って仕事を獲得していくような仕事である。
そういう仕事をしながら、楽器演奏の練習や準備という所に時間を割いていかなければならないということになるこの方式は、中々に時間の制約的な厳しさがある。
声優は楽器を弾くことが本職ではないので、幾ら経験がある人間を起用しても、ライブなどの生で演奏するにおいては、それ相応の練習というのをしていかなければならないし、メンバーが集まっての練習等をする必要性もあり、練習においてもスケジュールをあわせる必要性があるかもしれない。
こういう所で、声優のスケジュールをこのバンドを中心に考える必要性まであり、声優業との両立が難しくなる可能性がある。
単純に技量的問題が発生する可能性
声優は楽器を演奏することというのは本職ではないので、単純に技量という所に関して問題が発生する可能性がある。
非常に雑な言い方をするのであれば、一定楽器に触れたことがある人間を声優として起用したとしても、本職ではない人間なので、どうしても技量にばらつきが発生する事も考えられるし、本職の人よりも成長度にもばらつきが出る可能性もあり、そうなるとバンドとしてのレベルという所が足並みが揃わずに整わない…みたいなこともあり得ると思う。
こういう可能性がある前提で、諸々のことをやっていく必要性がある。
楽器を演奏するということは、そんな簡単なことではないということは、小学校や中学校でハーモニカやリコーダーでさえ苦戦した人間がいることを考えれば、分かることであろう。
声優という職業のイメージとの乖離
声優は声で演じる仕事であり、声を担当しながら、楽器も全て担当し、楽器を演奏する仕事ではない。
声優という職業のイメージとの乖離が発生し、一部の層からは頭ごなしに否定される可能性がある。
楽曲の制作やパフォーマンスに制約が生じる可能性がある
各声優が楽器演奏を行うという、本職ではない人間が主となる構成となる為、声優が弾くことが出来る範囲という所に楽曲に関しても収める必要性というのが出てくる。
どれだけ声優側が努力したとて、そこを極めたプロには敵わない部分はどうしてもある。(声優かて、他の俳優とかがやっても声優には勝てないと思う部分があるんだからね)
なので、うまくなったとて、一定気を使う必要性というのはやはりあるだろうし、技術やスタイルという所に合わせた楽曲制作という所になってくる可能性はある。
技術的に難しい楽曲、演奏が求められるモノとか、ジャンルへの挑戦というのは難しくなってくるだろう。
また、これはライブなどのイベントにも言えることであり、基本的に声優は演奏に一定の集中を割かなければいけないため、声優のパフォーマンスという所は演奏するという所に基本的には限られ、ダイナミックなパフォーマンスをするというのは難しい部分が出てくる可能性がある。
キャスティングの固定化・声優ではない人間の起用
このような問題という所をうまく解決していく上で、最終的にシワ寄せが来るのが、根本的なキャスティングの部分である。
こういう作品系はまずアニメやコンテンツのキャラクターという所に対しての演技の部分でのマッチングというのが大切になってくるわけだが、リアルバンドの方式となるとそれに加えて、楽器の経験が存在するかという所を考慮に入れざるを得ないような方式となっているのが大半であるように感じる。
実際リアルバンド方式を行っている声優の大半が楽器経験者であり、声優としての演技という所には関係のない部分での選考要素が出ており、大前提であるキャラクターとのマッチング、演技の技量という所が蔑ろにされている部分がある可能性がある。
また、もっと言うのであれば、そもそも楽器の演奏の方を完全に優先し、全く声優ではない演奏を主にしている人間・プロなどの起用を行っている場合もあり、この場合演技に関しては壊滅的な状況になっていることも少なくなく、リアルバンドにおいては演技よりも演奏スキルが求められているというのが見えているような感じがする。
どちらの方が良いのか?声優過激派的意見
ということで、メリット・デメリットを見てきたわけだが、じゃあどっちの方が良いの?って話である。
これは個人それぞれに意見が異なってくる所だと思うし、特に今の時代においてはかなり二分してきそうな所ではある。
声豚の感覚と、声優オタクの感覚と、アニメオタクの感覚と、キッズの感覚では全てが異なってくるように感じる。
ここまであげたように、それぞれにメリットが存在するし、デメリットが存在する。そのバランスという所を見るのは人によって異なるわけである。
音楽のクオリティを求めるなら結束バンド方式のほうが良いかもしれないし、キャラ含めての統一感とリアル性がほしいならバンドリのリアルバンドの方式のほうが良いかもしれない。
ここまでに関しては、割と公平に記載してきたが、まあ当ブログは声優過激派が書いているので、最後は筆者の個人的な意見を書いて終わりにしておくべきかなと。
どっちの方が良いのか?というのは難しい話だが、総合的に考えるのであれば、結束バンドの方式でしか大半は出来ないんじゃないかな?という感じはする。
バンドリのようなリアルバンドの方式というのは、実際にキャラと声優が一致してやることによっての実在性という所はあるので、メリットがあるのは分かる。
ただ、それによって犠牲にするものとデメリットがあまりにも多すぎるような感じがする。
ひとえに、声優への負担があまりにも大き過ぎることが最大の問題であり、声優が声優として活動することの阻害となる可能性が高いのが問題過ぎる。
それだけ楽器を演奏するということに関して、複数人で合わせて、生のライブで演奏するということに対しての犠牲が大き過ぎる。
時間という所は本当に割いているのは分かる訳で。それこそ、結束バンドはそういう方式ではないが、青山吉能は『ギターヒーローの道』で2曲のギターを練習して、ライブで弾くという所までやった訳だが、未経験者があの期間で、あの時間詰めてあそこまで持っていくのがどれだけ大変かというのを示していたような感じがする。
リアルバンドは勿論あれよりもクオリティを高くやる必要性があるわけで、例え経験者であってもどれだけの時間が必要なのか、合わせる時間も必要であるし、この一つの活動という所での負担が大き過ぎる。
他の仕事を両立しながら出来る限界というのを、バンドリが行うようなリアルバンド方式は超えていると言っても過言ではないように感じてしまう。
本当に良い方は悪いが、売れっ子声優にリアルバンド方式をやっている暇はないと思う。
あの方式は、ある程度そのコンテンツに集中できるから出来ることなんだと思う。
思えば、ラブライブはサンシャイン辺りからアニメのダンスを完全再現…みたいなことをしているが、ああいうのもその一つに割ける時間がある程度存在する声優だから出来るのであって、それだけの時間は一定以上の声優には存在しないわけである。
だから、バンドリのリアルバンドの声優の大半は他での稼働がやはり厳しいことになっている訳で。いやまぁ寺川とか伊藤彩とかは稼働してる方だが、ああいうのが例外だろってくらいの感じになっていると思う。
リアルバンドを推したい人間の言うことも分からないとは言わないやっぱりリアルにやってくれることによってのバンド感ってあるし、しっくりくるという感覚があるのだろう。
また、結束バンドの方式だと実質的な長谷川育美のソロ活動ではないか?という声もあるのは分かる。
実際、結束バンドのやり方というのは、大半が長谷川育美がボーカルだし、外に出る時は長谷川だけが行くし、他の声優は来ないので、そういう言い方が出来る。
それは事実だが、それがどうした?それが普通なんだよって感じなんだよな。
そもそもキャストに経験者が水野朔くらいしかいなかったし、鈴代紗弓の忙しさでは絶対にムリだし、あらゆる方向でムリ。
ちゃんとした声優でちゃんとしたアニメを作る上で、楽器が演奏できるかどうかなんて考えなくて良いんですよ。歌は考えないといけないだろうけどね、こういう系統の作品なら。
何より大切なのは、まずキャラクターとのマッチングと演技なんだから。そこに必要ない制約を作っていって、リアルバンドを目指すっていうのは、普通はしなくていいし、普通の声優は出来ないことだと思う。
リアルバンド方式でやれるのって、本当に新人からスタートするか、系列の声優で固めて集中させるか、その二択くらいしかないのである。普通の、まともな声優にああいうことはほぼ出来ない。
実際問題、現在リアルバンドの方式で活躍しているバンドリとかは、基本的に自社声優か、それかバンドリを基本線として他ではあまり見ない声優か、声優ではない本職が楽器・歌手の系統かの割合が過半数を大きく上回っている。
この方向で行くなら、そういう風になってしまう。
もしくは、全くゼロからオーディションを行って、このコンテンツ・バンドに集中できる状況を完全に作ってしまうパターンもある。ガールズバンドクライ等はこれに該当するだろう。
そういう方式でないと、声優にリアルバンドを全員やらせるというのは不可能であろう。
所謂一般的な、まともな声優がこの稼働をすると普通に声優人生に支障が出るレベルだと思う。(だからこそ羊宮妃那が心配ではある、まぁ彼女はまだボーカルなだけなのでマシではあるはずだが…)
今のリアルバンド系のレベルは低いとは言えない。むしろ高いと言うべきだと思う。ただそれはどれだけのものを犠牲にしているのかという話になってくるわけである。
それを売れっ子声優に求めることなどムリだろうと。
声優が活躍する上で、リアルバンドはムリ。声優が声優として活躍したいのであれば。いや出来なくはないだろうが、それは身体壊すよと。
今のコンテンツ系、アイドルコンテンツ、歌って踊るコンテンツ(ラブライブにしろアイマスにしろウマ娘にしろリステにしろナナシスにしろ…)でも身体を壊しているのに、バンドなんかもっと壊すぞと(まぁ踊らないだけマシかもしれんが…w)
現実的じゃないんだよね。成立しているのは、文字通りそのコンテンツに声優のキャリアを捧げて、犠牲にしているからと言っても別に過言ではないと思う。
声優の活躍というのは、別に演技だけではないとは思うし、多彩な時代ではある。
ただ、その本職ではない所に声優人生をかけてまで、そういうリアルバンドを求めている層に届ける必要性は流石にないんじゃない?とは思う。
勿論こういうコンテンツ系によって救われる声優というのも存在はするし、そういう需要があることを否定するつもりはない。ただ、それはある意味で適材適所で出来ることなのではないかと筆者は思う。
完全にリアルバンド系に関しては、ゼロからスタートする…声優としてのスケジュールが開いていたり、声優じゃない人を引っ張ってきたりした上で、原作がないコンテンツ系統が多い感じがある。
完全にリアルバンド前提で考えるので、演技という所に関してはかなり目を瞑っていると思えるような感じがある。これを原作ありの作品でやると荒れる可能性が高いからあんまりやってないと。ガルクラも流行ってるけど、本当に演技はしんどい瞬間があるし…(まぁガルクラは本当に完全に演奏に振ってるから当たり前なんだが)
一方で、結束バンドのような方式に関しては、原作がある作品という所が多い感じはする。
やっぱり原作において、イメージする声という所を大事にしなければならないし、期待は裏切ることは出来ればしたくないわけで。
そういうのを考えれば、演奏のことよりも演技のことのほうを優先しているという言い方も出来るだろう。(まぁそれでも解釈不一致が起きるのが原作系なので、万人を満足させるのは、演技という点だけでも無理に近いんだけど)
演技を優先していて、声優は基本ライブで演奏できる程の楽器技能は持ち合わせていないのでやらないと。
『なぜリアルバンドをしないのか?』という質問は、『普通の声優はリアルバンドなんかする暇ないよ』が正解である。
普通じゃないことをしてくれている、リアルバンドをしてくれている、声優のキャリアをそのコンテンツに燃やしてくれているある意味異常な人間に心の底から感謝し、普通のことをしている結束バンド方式に関して、その異常を求めるのは辞めた方が良いと思う。
どちらを選ぶか?というのは、バンドのコンセプトと現実的な問題という所に帰結する。
自分の好みではない方であっても、それは向けているファン層が違うというだけとも言える。ただまぁ、声優という仕事を考える上で、普通に結束バンド方式の方が普通であることは、頭に入れておいた方が良いと思う。
声優人生を犠牲にしてまで、リアルバンドを強要する必要はないんじゃないの?と思ってしまう。まぁ声優じゃない人間がやるなら、勝手にすればいいと思うが…(あれだけ人気にはなるわけだからね)
ま、どっちも勝手にやればいいと言えばそう。結束バンドも一定ソロ活動とか、アレのどこが結束バンドなんだとか言われても、フェスであれだけの人数集めまくってたら良いだろと言えるわけだし、バンドリだって人集めてんだから良いだろって話ではある。
ただまぁ、人生を犠牲にしている感があるのは、リアルバンドの方かなと。短期的な消化というか、本当に無理が祟らなければいいのだが…
以上。





