声オタおにじくんの声学審問H!

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過激派で有名な(?)おにじさんが、声優の事を語ったり。

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羊宮妃那の声優としてのスタンスが中々素晴らしそうな話(声優グランプリ 2024年12月号)

おにじと申します。

 

声優名鑑の時しか買わないでおなじみの声優雑誌『声優グランプリ』。(言うてたまに買ってるので、年一では正直ない)

この度創刊から30周年を迎えたということで、そりゃまぁおめでとうございますって感じである(声優雑誌の中でも古参の部類だもんね、声グラ

で、まぁ記念号みたいなのが出たわけだが、なんと表紙が羊宮妃那(青二プロダクション)である。

コロナ期に伸びた数少ない若手声優の一人である羊宮は、間違いなく人気声優としてのスターダムを駆け上がっている声優なのは確かだし、筆者も好きな部類の声優ではあるのだが、それにしても30周年記念を羊宮の1万字インタビューにしようと誰が言い出したのだろうか。中々攻めてない?(筆者は非常に嬉しいけども!)

ということで、今回はこのインタビューを読んでの感想みたいなのを。

たまには人を褒めたい(

とりあえずめっちゃ良かった

まず第一として言えるのはこのインタビュー、非常に内容としては良かったということである。

 

大変失礼な表現だが、声優グランプリがこんなにまともに声優の歴史とか、声優の演技とか歌の向き合い方とか、そういう深いのインタビューとか書くんだなあとw

失礼が過ぎるとは承知しているが、こういう人を掘る形の中でもここまでちゃんと掘っている印象が声優グランプリにまったくなかったので、許して欲しい。

 

今回、全ての内容に振れるつもりはない(買ってくれってことで)が、全体的なところで言うと、羊宮の幼少期から現在に至るまでの話というのがしっかりとなぞられていたり、作品に囚われずにこういう演技がどうみたいな話とか、こういう役でこういう風な事を感じた…みたいな話とか、結構突っ込んだ話が多めで、1万字の意味があるものに仕上がっていた感じがする。

声優さんのこういう話って意外と聞けることがないというか、どうしても作品と付随する仕事ではあるので、作品関係なくこういう話を跨いで出来るインタビューってのもそんなに多くはないってのもあるので、そういう意味でも非常に貴重なものとなったのではないだろうか?

こんなインタビューなんぼあってもいいですからね。

 

ただ「未来は君の中にある」はよく分かんなかった。あんまり羊宮っぽくない気がするんだけど、皆さん的にはどうでしたか?(まだ表紙にあった「未来を照らすメェ~神降臨!」の方が好き)

 

 

声を壊す・捨てるという表現が非常に興味深かった

このインタビュー、非常に内容が濃く、取り上げたい部分は多数あるのだが、今回はその中から幾つかをピックアップしてご紹介しつつ、感想を述べる形にさせて欲しい。

今やめっちゃくちゃ歌いまくっている『MyGO!!!!!』の高松燈の話で、声を変える、声を改造したという話が出てくる。

この、声優が声を改造したという話が出てくること自体は非常に珍しく興味深い内容となっている。

声優というのは、いわゆる声というのをどこかのタイミングで改造する…これまでやってきた事、やり方と異なるアプローチを行って、声の傾向を変えるということが実際に存在するのだが、その話がこうしてインタビューで出てくるってのでもう筆者としてはテンション上がるのだが(そういう話が好き)この中で非常に興味深い表現があった。

歌では自分の息成分をさらに減らす練習をしなければいけなかったのですが『ようやくオーディションに受かり始めた矢先に、今までたくさん練習をし、積み上げてきた自分の個性かもしれないものを壊すことになる』とものすごく苦しみました。

ですが、燈ちゃんを演じながら歌うためには声も気持ちも絶対に捨てることになるので、その1年間は覚悟を持って、それこそ自分の声を預けて、その子に挑み続けました。

MyGO!!!!!!は、諸々ラグがある作品ではあり、恐らく決まってから公に出てくるまでにラグがあるし、出てきてから声優が公式発表されるまでにもラグがあったという、結構特殊なコンテンツではあった。

そんでもって、羊宮はボーカルである高松燈を演じる訳だが、ここで歌を歌うというところに挑むにあたって、改造を行ったらしい。

 

ここで『壊す』や『捨てる』という表現が出てくるのが非常に興味深いというか。

筆者は無駄に演技について考えているタイプの人間ではあるが、ここの表現の仕方に関しては意外と考えたことがなかったというか、頭の外にある語彙だったなというか。

こう、声優における演技っていうのは、積み重ねていくモノという印象が結構あるというか。

経験を積んでいくことで、色々な事が出来るようになる…みたいなイメージってありません?

もちろん元々の素養ってのも必要ではあるし、元々から色々出来る人もいるんだけども、やっていく中で力をつけることで出来るようになるというか、変化をつけられるようになるみたいなのをどっちかっていうと想像しがちなのである。

 

ただ、ここで出てきたのは今までのものを壊すという表現。

内容を読むと、これは歌声を変えるということではあるのだが、それは普段話す声にももちろん影響が出てくるので、演技にも影響する話である。

だからこう、ここを改造することにおいてのリスクというものの高さっていうのを端的に示している感じがすると良いますか…

声優をやっていく中で、その役を突き詰めるという時にこれまでのものを壊す覚悟というものが必要…ってのは重いなと。

まぁこういうのはある意味で最初のほうのキャラかつ、長く付き合うことが一定確定しているバンドリ系統だったからってのもあるとは思うんだけども、それにしてもそこまでしなきゃならんのかって話が出てくるのは非常に面白い。

そしてこれが複数の武器になるわけではないっていうのを言っているのも面白い。これまでと両立が出来るタイプのものじゃないと。

 

腹筋を1年間して積み上げてきた筋力を、今だけなくしてくださいと言われても出来ないじゃないですか。声も同じで鍛え続けることで低い声も維持できますし、低い声を身につけるために昔の声は捨てることになりました。

普通に例えが上手。これはなるほどなあと。

声を捨てるって表現、非常に重たいんだけどそりゃ捨てないと出来ないことってあるか…と納得させられる内容だったと言うか。

基本的に我々は捨てる前の声はほぼ聞いていないとは思うのだが、一応初期羊宮と今の羊宮って違うことは違うので…

一つ確立しつつあるものを、歌の為にぶち壊して、もう一回構築し直すってのはまぁ聞いたことはあったけど、具体的なのはあんまり表に出てくる話じゃないのでね。

 

 

羊宮の声優タイプ的に納得が出来る表現が多かったと思う

このインタビュー、羊宮の声優タイプというのもより明確に見えてくる感じがあった。

元々筆者が勝手に思っていた印象、羊宮の声優としてのタイプというのにそこまで狂いはなかったなと感じることが出来たのも結構面白かった。

 

これは合致していた部分なのだが、羊宮の声は飛距離が出るタイプの声質ではないという所。

演じる上で、歌う上で、声の飛距離ってものは割と大事な所である。

声が喉から出てどこまで飛ぶか。まぁ声が通るかって表現が雑ではあるがわかりやすい表現となるだろうか。

まぁもっと通らない声優っていうのは存在するのだが(安齋由香里とか本当に飛距離まったくない)羊宮は通らないサイドである。

 

というのもあって、迷子で歌をするにおいて、ロック音源に対して歌声が負ける、聞こえねえ!ってなることがあったとかの表記があり、それもあって歌声改造になったという流れが、まぁ典型的な飛距離ない声優のムーブであったかなと。

迷子のライブの知り合いの評価とかで、ライブハウスとかホールの方が向いていて、フェスとかは向いてない方みたいに言われているのとかも見たけど、まぁこのあたりが関係しているんだと思う。

なのでまぁ、迷子の曲を羊宮が歌うのって正直適性外なのだが、それをあそこまで持っていっている羊宮の努力というのを感じられるポイントなんじゃないかなと。

こういう所で、羊宮がそういう声を突き詰めるみたいな所の姿勢が感じられるのが非常に良いというか…

こういう所を突き詰められるくらい凝ることが出来るってのは、やっぱり強みになるように感じるし、そういう人じゃないと声優として長くやっていくのは難しいんじゃないか?やっていく上で成長し続けるのは難しいんじゃないか?と感じる。

声優として今後生きていくうえで必要な物を持っている感じがするというか…声を出す、役を演じる、役で歌うという所に対して追求できるってのはまじで良いと思う。

 

で、さっきの壊すの話の続きみたいになるが、羊宮の声優としての声の構築するタイプは、割とスクラップ・アンド・ビルドというか、壊して作ってのタイプに部類されるのかなあと。

声優の声の作り方の種類って色々あると思うのだが、なんか根本から毎度変えられる声優やるために生まれてきたんかみたいな器用なタイプとか、

基本形はそこまで変わりはないんだけど、その中に色々な発音方法や技術を詰める事で色々な声を出しているタイプとか、

壊して作って、直してみたいなのを繰り返して、色々な声を成長しながら出すみたいなタイプとか、

他にもなんか言い出したらキリがないくらいにはあると思うんだが、羊宮は一番最後のタイプなんだろうなと。

このタイプって壊して作るタイプなので、過去の演技に戻るのが一番むずかしいらしいので、まぁそういうことです。

ただ、恐らく羊宮は壊して作る中で、一つ自分が勝負できる形っていうのを作ることが出来て現在に至ると思われるので、どっかから以降の羊宮にはまだ戻れるんじゃないかなとは思う。

こういう演技のビルドの部分とかを筆者は無限に考えたいが、演技だけだと大雑把推定とかしか無理なので、こういう話は本当にテンションが上がる。

こういうのを真面目に読める、聞ける機会が少なすぎるんだよな。もっとあっていいと思うんだけど。

 

 

物事においてモードが存在するというのも見ていて感じる

インタビューで、ラジオとかイベントとか、そういう物事においてモードが存在する…みたいな話も出てくる。

これもなんか感じる所はあるというか、羊宮のキャラクター性って割と普通じゃないというか(言い方が悪い)結構不安定とも言える所もあるというか、場面場面でこの人キャラ違うなって感じるときがあるというか。

これは別に悪い意味で少なくとも筆者は言っていない(筆者以外に悪い意味で言っている人間がいることは普通に把握しているが)のだが、そこの場面、物事において良いと判断したモノとして動こうとしているというか、こうあるべきというのを都度判断して動いている感じがある。

 

ソロラジオの時とかは、いつもより喋るの早かったりするし、ポジティブ感が強い印象はある(というか喋りたいことが多くて喋ってる感じがして良いと思う)関西弁とか出たりするんだが、ああいうのも一定は考えてやられている部分もあったりするんだろうなとも。

 

ただこれがゲスト回とかになると、いつものソロラジオとはまた違う顔が見えるというか、人によってまた違うみたいなのが結構あるというか。

『MAYOPAN STREAM』とかでは羊宮を振り回そうみたいな方向に、長谷川育美と作家(儀武ゆう子)が持って行ったのだが、これがかなりハマっていた感じがあり、関西人特有のキレのあるツッコミとかが出ていて面白かったりもした。

 

イベントとか含めて、色々な顔を見せている感じがする羊宮だが、そういうのは自分の中でもそうしているというのが見えてくるのが非常に面白かった。

大事な所は大事に、大事に行かなくて良い所は大事に行かないみたいな判断がなされているんだろうなあと。

自分はこうやってますってのが見えると、色々な所に合点がいく…みたいな感じがする。

そういうので「なるほどね~」とかを一生言っていたいかもしれない。楽しいので(

 

 

本人が芝居を大事にするつもりであるというのが最も良い事

このインタビューの最後に、将来的な話みたいなのが出てきているのだが、

明確にこの路線で、というのはまだないのですが、お芝居という軸は絶対にぶらさないでいきたいと思っています。これが私の生きる糧であり、これなしではイヤだなと思うものなので、芝居を放り投げて、なにか別のものに専念するということはしたくないと思っています。

と記載がある(一応切り取りで印象付けられたら可哀想なので言っておくが、これは歌を歌いたくないとかそういうことではないし、役に向き合っての歌は好きとか、ダンスは元々好きとかの記載があったうえでのことなので、そこは本当に勘違いしないでね)

 

これは大変ありがたい話である。

いや、声優なんだから芝居を大事にするのは当然だろ!という声もあるかもしれないが、昨今の声優業界を見ているとそんなこと言えるか?みたいな状況であるとも感じてしまう部分が多々あると筆者は感じている。

羊宮は言うて、迷子もそうだし、コンテンツ系にもいたりもするし、色々やっている声優ではあるが、あくまでも芝居というのを軸にしてくれそうというのは、羊宮の演技能力的にも非常に助かる話だし、今後の成長という所にも期待できるのではないだろうか。

役に向き合うという所をかなり大切にしている感じがあり、そのために声を突き詰めることが出来るってのも感じられる声優であることを改めて感じた羊宮。

役柄においての、落ち着き、ぶっ飛びみたいなのを今でも演じられる声優である訳だが、こういうインタビューを通して、スタンスというのを見れたのは大変ありがたかったなと。

う~ん声優として信用が出来る。

 

羊宮の最大の問題は、本人のキャラ性もあるにしても、こういう割とちゃんと声優、演技声優したいタイプの割にファン層が終わり散らかしている所ではあるのだが、ぜひ信念を貫いて良い声優のままでいていただければと思います(白目)

oniji.hatenablog.com

 

普通にこういうインタビュー良かったので、こんな節目以外でもやってほしい。

作品にかかわらない系統のインタビューとかって貴重なのよ。

正直ノンタイアップラジオでもこういうのを補完するのは難しい。番組の性質によりすぎるし、大半が日常やその瞬間にあったイベントとかの話に終始してしまうことが多いので、演じる時の意識とか、歌う時の意識とか、やり方みたいな話にまで到達しない事が大半なので…(到達してくれや)

って言ってたら次も作品関係なく鈴代紗弓インタビュー・表紙らしい。

そういうの、もっとやろう。なら買う…

というかこういう真面目なインタビューだけをまとめて10人20人くらいやって別冊とかにしません?声優メンツによるけど二倍の3000円でも買うぞ?本当に声優メンツによるけど(ちゃんと演技の話できそうな声優を並べて…)

 

以上。