おにじと申します。
今回は、エロゲの話題。
エロゲ・全年齢論争シリーズの第二回。
前回は直近の案件で、他の案件と同列に扱うことが出来ないと判断したspriteの話をしたが、今回からは汎用的なエロゲブランドに対するお話となっていく。
今回は、エロゲブランドにおける全年齢ノベルゲームを制作するという所においての意図の一つと言える理由という所に関して、改めて真面目に考えておこうと考えている。
エロゲと全年齢という所において、さも前提のように語られてしまう所がある今回の範囲だと思うので、まぁ前提として成立しているのか？という所に筆者は一回疑問を持つ所から始めてみた感じ。
ということで今回は『全年齢ノベルゲームは本当にエロゲより市場が広いのか？』でやってみよう。
- 全年齢に行くにおいてよく聞く言葉
- ただ人数が多いだけの可能性は？
- エロゲをやっている人間は世間から見れば色々な意味で変態
- 合わせ込む必要性
- 現実的な全年齢への舵の切り方は…
- 当たり前だが簡単なことではないので、短略的に市場が広いというのは正しくはない感じはする
全年齢に行くにおいてよく聞く言葉
エロゲブランド系列が、全年齢作品を作る時というのは、定期的に訪れる印象があるし、そうでなくとも、定期的になんか起きる、ループするのがエロゲブランドにおける全年齢作品においての話である。
なんでこんな話題が一生ループするのかはよくわからんのだが。
まぁこれが良いのか悪いのか、そういうことが言えるのかみたいな所に関しては気力が持てば次の記事で記載するとして、こういう話をする上での擁護…言葉として擁護が正しいかは微妙な気しかしないが…（別に擁護しているわけじゃないから）
の声の一つとして、『全年齢ノベルゲームの方がエロゲよりも市場が広いから、新たな層などに刺さる可能性もあるし、会社を成長させていく上では必要』みたいなものもあったりするわけである。
こういう意見に対して、筆者は普通に理解を示しているし、そうだろうなと思う所がある。
やはりエロゲというのは、R18というまずハードルが存在する。
これは18歳以下はプレイしてはいけませんよというモノであるが、これは18歳以上しか…以上の壁があるような感じはする。
やはりR18のエロゲをするような層というのは、やはり限られてしまう所がある。
もし18歳以上だとしても、じゃあどれくらいの人間がやるんですか？と言われると中々に難しい所があるように感じてしまう。
R18というもの、エロというものは、一定の割合でプレイする人間というのを狭める要因となることは確かである。
だからこそ、全年齢の方がそういうハードルが低くなり、まだ入ってきやすいのではないか？という所が根底にあるような感じはする。
非常に雑な考え方とはなってしまうが、やはり全年齢という所になると明らかに母数という所では増えるよなという印象はある。
まぁそもそもR18じゃなくなるんだから、中高生という所もターゲット層にすることも一応可能である（まぁそんな中高生にウケるような全年齢ノベルゲームって何？って言われたら良く分からんのだけど…）
それでなくとも、やはり作品においてのジャンルとかで、少しずつ購買層というのは削られていく所はあるとは言え、R18というのは大きなハードルだよなと感じる所は普通にある。
やはり人に勧めるにしてもみたいな所がある。昔はそうでもなかったのかもしれないが、今は特にそういう傾向があるんじゃないかなあという所もあるし。
母数が増えるということは、市場が大きいということであり、その中で目についてもらうという所での可能性というのも上昇するだろう。
これが全体の数％だったとて、母数が多ければその数％も結構な人数になるし、それは大きくなればなるほど差は大きくなるという所でもある。
制作するサイドとしても、資本主義である以上買って貰わないと会社を生かすことすらできないのだから、人数が多い所に行くことが新規層の開拓という所では魅力的に映る部分もあるだろう。
何でもそうだが、やはり現状維持とかそういう所だけでは難しい部分というのはあり、そこからさらに大きく成長していく為には、より大きな、見てもらえる可能性が高いモノをという所はある。
販促面で言っても、やはりR18系作品というのは宣伝できる所というのも限られている印象はある。
エロゲ系統雑誌というのも、もうほぼBugBugとメガストアくらいしか残っていないし。秋葉原とかでさえ、エロゲ広告というのもかなり限られているようであるし。まぁ近年はネットでの販促が目立っているとは言え、店舗とかでの宣伝も割と法律だの条例だので難しい部分があるとなると、そういう成約にも縛られない方が…みたいなのもあると思う。
ただ、まぁ全年齢の市場は大きい！っていうのは割と短略的な所もあるなあと思う所もあるわけである。まぁそれだけエロゲ市場というのが特殊とも言うんだけど。
ただ人数が多いだけの可能性は？
間違いなく母数というのは全年齢の方が多いのは確かなのだが、じゃあその中で購買層というのがどれだけ存在するのか？みたいな所に関しては微妙な部分も無きにしもあらずのような感じがある。
今の世の中においては、娯楽と呼べるものは溢れている印象がある。アニメとか漫画とか小説とかもそうではある。このあたりも今はスマホとかで簡単に見ることが出来たり、読むことが出来たりするような時代である。
ゲーム関連で言うと、コンシューマ系統で言えばかなりニンテンドースイッチが未だに強い印象。PS5は確実に盛り返してはいるとは思うのだが…って感じ。
でもって、スマホが高機能であることもあるのか、PCの所持率というのは、昔に比べれば相当に下がっている印象がある。いや持ってる人は普通に持ってるんだけども、いわゆるこう動向が流れやすいライト層とかがPCを持っているかと言うと大概持っていないことのほうが多いだろうなと思うくらいにはって感じがする。
R18の枠が撤廃されることで、中高生という所も一応回収出来る層にはなってくるのだが、こういう層は大体がソシャゲをやっていたり、VALORANTとかAPEXとかのFPS系統ゲーム、小説家になろうなどのネット小説に、深夜アニメなどなど、やっている娯楽というのは多い層になってくる。
特にまぁソシャゲというものは日本において、あんなクソゴミシステムにも関わらず、世間を牛耳る構図は変わっていないし、ブルアカや原神などの中華系統ソシャゲというのも、日本を席巻している部分がある。
このような状態である世間一般の状況を考えると、そもそもこのような娯楽が多くある中で、あえてノベルゲームを選ぶような層が果たしてどれくらいいるのか？という所。
例え母数が多くとも、まぁ言ってしまえばノベルゲームなんかよりも派手で、自分が色々することが出来て、みたいな娯楽なんてゴロゴロ転がっている時代である。
本当にこういう層をノベルゲームというジャンルに触れさせられる可能性があるのか？という所に関しては結構考えるべき所ではないだろうか。
エロゲをやっている人間は世間から見れば色々な意味で変態
ここで、考えるべきというか、そもそもの考える立ち位置という所に関して考えるべきなのは、エロゲ基準で全てを考えると世間の感覚から尽くズレかねないという所である。
ノベルゲームをビジュアルノベル、キネマティックノベルとか言い換えてなんかそれっぽくしているのもあったりするが、基本的にノベルゲームであることは変わらないと思うので、何がしたいのかみたいなところから始まってしまう気もするが。（どんなそれっぽい名前を付けてもノベルゲームはノベルゲームだろ）
そもそもノベルゲームというジャンルが世間においてそこまで受け入れられているのか？という所に関してから考えるべき感がある。
色々と動きまくる現代において、基本的に絵が動かないことが大半であるノベルゲームという物に対して、どれだけが興味を持ってくれるのか？幾らお金を払ってくれるのか？という所がある。
こういうのを考え出すとキリがない上に結論も出ないので、なんか一個端的に分かりやすそうなのを挙げておくとする。
価格という所の問題がある。
エロゲの価格って、フルプライスが1万円、ミドルプライスが4000～5000円、ロープライスが3000円前後くらいの印象があるのだが。
これは昔から上がりも下がりもしていないと思うし、時代において変化したかと言われるとほぼしていない価格である。
なのでなんならフルプライスの1万円とかで採算が取れているのかも微妙な所あるし、エロゲーマーとしてはフルプライスが1万円なのは当たり前のことだし、なんなら特別特典とかを付ける場合は12000円～14000円という価格設定になることも何も珍しいことではない。
ただまぁこれが普通に受け入れられているエロゲ業界って残念ながら世間から見ると異常な訳である。
今のゲームソフトとかの価格とか、それ以外の娯楽を考えても、このゲームシステムで1万円を出す人間というのは中々に狂っているというのが現代の世間においての感覚である所がある。
言い方は悪いがただの紙芝居に1万円を出すほど世間は甘くないという所が現実的な所ではある。
こういう所を考えていくと、全年齢という所というのは、やはり土俵も土壌も全く違うところであり、エロゲから全年齢に行けば市場が広がるという、簡単なことではないというのを思う部分が出てくることは仕方がない部分がある。
合わせ込む必要性
だからこそ、エロゲから全年齢に行くという場合は、少なくとも一定全年齢という市場に対して合わせ込むという努力をしなければならない。
エロゲの感じのを全年齢にしてそのままフルプライスで売るとなると中々厳しい所があると思う。ここはやはり客層が変わるということは、そこに対して刺さる感じにしないといけない訳だが。
ただまぁここまで悲観的な物をめちゃくちゃ並べすぎた気もするが、まだ救いは存在する。
これは、世の中にあるソシャゲのストーリーモードがほぼノベルゲーのようなもの（3Dモデルを使用しているモノもある）である所である。
いわゆるフォーマットはほぼほぼノベルゲームと良く似たものとなっているので、このフォーマットというのに全く免疫がないという人間も逆に少ない所はある。
こういう所もあり、エロゲブランドサイドとしても、全年齢への活路というのを見出したくなるポイントと言えるのかもしれない。
ただ、アレはあくまでも無料で読めるストーリーであり、ああいうストーリーもまぁピンキリはありながらもメインストーリーなどには一定の力が入っているものであり、基本的に無料で読めることも含めると、やはり分が悪い勝負であることに変わりはない感じはする。
…という所もあり、やはり価格帯という所で言うと、フルプラではなく、ロープラでの勝負が現実的な感じはする。
まぁ現に、普通にKeyとか大手が出す全年齢作品は大半がロープライスの物が多い（まぁサマポケは違ったけど）
ATRIとかもロープラでかなり好評だったようだし、安めの価格帯でコンパクトな作品という傾向になってくるのか。
最近はコンテンツ消費も早いということもあり、全年齢で長い作品をするというのは、価格面以外でも中々に難しい部分というのもあるのかなという風にも感じるので、このようなアジャストは必要な感じはある。
内容面的にも、色々と全年齢としての強みを生かす形というのが求められていく訳だが、すなわちそれはシナリオ面においての負担が大きくなりやすいということでもあり、この辺りはキャラゲー系統を作っていたブランドというのは中々難しい所もあるかもしれない。
そもそも恋愛系統じゃない作品となる場合も全年齢は多く、今そのような作品系統でエロゲ畑で全年齢でちゃんと通せるライターが存在するかどうかと言われると…ここも難しい部分がある。
色々な所のアジャストを行わないと、難しい部分はあると思う。
当たり前と言えば当たり前なのだが、それは簡単なことではないということでもあるので…
まぁこれはあくまでも国内の話ではあるのだが、海外市場という所を考えると、より全年齢の方が楽な部分はある。
いわゆるSteamなどでのノベルゲーの市場は、こっちは割と真面目にちゃんと市場が広めな印象であり、これはエロゲにおいてもパッチでの対応など含め思ったより需要がある模様。
まぁどちらにせよ全年齢の方が引っ掛けやすくはあるようで、最近は多言語に対応した全年齢作品というのも増加傾向にある。
こういうのは需要の拡大を確実に感じる要素だ。
なんでこうも海外でノベルゲームの需要が拡大しているのかはいまいち良く分からんのだが、海外制作のノベルゲームというのも結構出ており、この市場というのは意外と世界的にはあるのかなという印象。
日本において、ノベルゲームのノウハウは意外と存在することもあり、この点でリード出来る可能性、ポテンシャルは間違いなくあるだろう。
現実的な全年齢への舵の切り方は…
まぁこういう話を色々と考えていく中で、じゃあ実際の所エロゲブランドなどが全年齢作品を制作していくと決断する現実的な理由というのを考えていこう。
上記のようなメリットやデメリットが存在する中でも、やはり全年齢に向かうブランド、一度作ってみるブランドというのは多いという所を考えると、そこにはある程度の判断というものを行った上で、全年齢をやってみましょうという形にもなるわけなので。
こういう素人筆者が上に書いたようなことは恐らく重々承知の上での判断をしている…しているよな？（一部エロゲブランドの判断力の悪さやクソムーブを思い出しながら）
ここまでは、全年齢に行くことによって、市場が広がり、会社として市場を広げられるのか、プレイヤーを広げられるのか？という所を考えてきた感じがあるわけだが。
これは別に、R18に留まる、エロゲにとどまったとしてもどちらにせよやらなければならないものではある。
エロゲを作るにしても、新規のプレイヤーというのは獲得し続けていかないと厳しい部分が明確にあるし、そうでないと会社として成り立っていくのは難しいと思うのである。
何でもそうだが、やっぱりやめていく人間というのはどうしても出てくるわけであり、そういう所を考えても、消費者を増やしていく、今までエロゲをやったことない層とか、エロゲはやってるけどうちのブランドはやってない層とか、そういうのを引き入れていく必要性がある。
だからまぁ、こういうことっていうのは別に全年齢に行こうが、エロゲに留まろうが、やらなければならないことに変わりはそこまで大きくはないという言い方もできてしまうわけだ。
ということで、エロゲブランドが取るべき択は2つしかないに等しい。
R18で新たな消費者を増やす か、 全年齢での市場を開拓する か。
まぁこの2択と言っても過言ではないと筆者は思う。
どうせR18でも広げなければならないのであれば、全年齢への参入という所をどこかのタイミングで考えるというのは、割と自然な流れ、現実的な流れなのかもしれない。
特に、全年齢ノベルゲーム系統はロープライスも多いため、フルプライスを作っていたようなエロゲブランドであれば、リソースとしてはフルプライスほどの金と人材を投入しなくとも作品を作り上げることができるといえばできるので、参入における障壁という所も比較的低い所にあるような感じもする。
特に、既存の売上に一定の行き詰まりなどを感じているのならなおさらこの択というのは取りやすい部分もあるかもしれない。
一応エロゲの売上というのは、数年前に底を打っており、現在においては回復傾向にはあるはある。
ダウンロード販売の所での数字の回復というのは確実にあり、そちらもあって回復しているのは間違いない。間違いないんのだが、やはり全盛期と比べると当たり前だが厳しいところがあるのも事実。
先行きという所では、海外における需要という所を含めると、市場として全年齢へ挑戦という選択をするというのは、仕方がない部分もありそう。
まぁエロゲのダウンロード版って本当に売れているみたいなので、そこに活路を見い出す場合もあるとは思うんだけども…
当たり前だが簡単なことではないので、短略的に市場が広いというのは正しくはない感じはする
結果的にエロゲブランドが、全年齢を選択することというのは珍しいことではないとは思うし、その判断が正解か不正解かというのを判断するのも難しさはある。
ただ、全年齢に行くということに対してのメリットとして、市場が広がるからというのは、◯ではないような感じがする。△というか。
やはり、ノベルゲームというジャンルというのは、そこまで全年齢において強みがあるようなものではないという所は頭に入れておいた方がいいのかなという感じもするかなとも。
まぁ実際の所、どっちかっていうとR18の市場というのが狭いという方が正しいのかもしれないし、今の時代において広がりにくい要素があることも事実ではあると思う。
ただまぁ、それは戦う相手が少ないという言い方もできるわけでもあり。
全年齢に行くということは、それ相応の群雄割拠に乗り込むということで。
そこにうまくアジャストしていかないと、幾ら母数が多いとは言っても、その母数の人間が手にとって、分子になってくれないと意味がない。幾ら人がいても買ってもらわないと意味がないし、会社として苦しくなる。
そういう所をしっかりと行わないと、全年齢に行くということのメリットよりも、何割かのエロゲーマーが全年齢作品を買わないことによる損失の方が上回ることにもなりかねないので…
まぁ行ったら売れるってわけでもないんだけども。そりゃ色々とちゃんと手を打った上で面白くないとね。
そう簡単に面白く作れたら苦労しないんだけど。
ま、こういう内容にも結論って作りにくいけど「全年齢に行けば市場が広い」っていうのは、この言葉だけだと語弊がある感じがするなあと思ったりする。ってくらいじゃだめだろうか。
海外なら全年齢の方が…って持っていくこともできるかなと思ったんだけど、意外とパッチ入れてのR18とか盛況っぽいので、そっちもあんまり言えない気がしたので、まぁそりゃ全年齢にマッチングするものを作れるのであれば、興味を引ければいいのかもしれんけど、失敗したら地獄やで…みたいな所あると思う（
以上。
