おにじと申します。
今回は、声優の話題。
一人の女性声優にスポットライトを当てつつ、これまでの系統声優の傾向・歴史とかも考えつつ、書いていこうかなと。
今回は『遠野ひかるはブシロード脱出に最も近い声優か?』という感じで書いていくぞと…
遠野ひかる、代表作を確実に獲得する
2024年の夏クールも最終盤を迎え、各種のアニメの立ち位置というのもほぼ確定した感じがある。
その中で、『負けヒロインが多すぎる!』(マケイン)は、近年のライトノベルアニメの中でもハイクオリティな物を作り出すことに成功した感じがあり、かなり良いものに仕上がっていている。
ラノベアニメとかも、中々良いものを作るのが難しそうって感じが特に最近は感じていたが、内容とアニメの作り方の足並みがしっかりと揃った感じがある本作は、国内国外で人気を集めることに成功。当初の注目度以上の人気を叩き出すことに成功したんじゃないかなと思う。
この中で、センターヒロイン(センター負けヒロイン)である八奈見杏菜を演じているのが遠野ひかる(響)である。
ブシロード系声優として2010年代末期から2020年代初頭に顔を出した遠野は、近年ブシロード管轄以外での活躍が増えてきていたのだが、ここに来て本当に明確な代表作を手にしたと言っていいだろう。
これまでもブシロード比で言えば十二分に他作品には出ていたりもしたし、代表作とも言える作品は出てはいたとは思う。
それこそ『SHOW BY ROCK!! ましゅまいれっしゅ!!』ほわんや、『アサルトリリィ』王雨嘉、『ウマ娘 プリティーダービー』マチカネタンホイザといい感じに押さえることは出来ていたと思うので、ここで代表作を獲得したという表現に違和感を持たれる方というのもいるとは思う。
ただ、かなりセンターの位置かつ、作品としての人気もそのクール内において上位、かつ声優としても良い演技を出せるようなキャラクター…という条件は中々揃うようなものではないのである。
今回、遠野ひかるはそれを揃えたと言っていい作品を引いたと言える。
ここまでの遠野も、十分その能力を発揮してきたとは言え、わっかりやすい代表作と言えばこれだろうと。
遠野は、声質的な特徴というのもあり、どちからと言うとそっちを押したようなキャラクターのイメージが強かったようにも思えるわけで(そうじゃないのもありましたけどね)
それこそウマ娘のマチカネタンホイザとかは、その傾向が強く、遠野といえばのイメージはかなりマチタンに偏った印象もあった。
どっちかっていうと、その声・発声方法の稀有さというのをプッシュされている感じがある結果、声質ゴリ押しが多くなることになり、声の引き出しという所がどうなのか?という懸念が生まれていくみたいな所もあった。
そういう中で、めちゃくちゃいいバランスで演じられる八奈見杏菜が来たのは非常に強い。
遠野の弾けることが出来る所とかを表現出来ながら、かつ声質でゴリ押すという感じではなく、しっかりと技能サイドを表現できる声設定とキャラクターの感じが、非常に遠野にマッチしたのではないかなと。
八奈見杏菜って、負けヒロインとしての人間臭さみたいな所も魅力的なのだが、これを表現するのってちゃんと能力がないと難しいと思う。そういうのをしっかりと押さえる事ができたなあ~!って思う。
色々なキャラクターとのめぐり逢いみたいなものは必要である声優だが、めっちゃちゃんと掴めたなあって感じがする。
ブシロード声優の中でも、最も脱出が近い声優により確実になったか
これほどまでに明確な代表作。キャラクター・作品人気度・声優としての使われ方というのが揃った作品を得ることが出来た遠野は、確実に今最もブシロード脱出が近い声優と言って確実だろう。
こういう言い方をすると、ブシロードが悪の帝国か何かと思われるかもしれないが、そこまでは言ってない(いや悪の帝国要素はあるとは思うけど)
ブシロード声優というのは、遠野のようにブシロード直属の響に所属している声優もそうだし、エースクルーやS等の直属ではないが御用達の事務所に所属している声優とかを筆者は指している。
こういう声優は、基本的にブシロード管轄の作品以外でお目にかかることが基本的に少ない。
これは、実績が少ないお抱え声優を食わせてやろうというブシロードの考えがあるからという言い方もできるし、他では到底お出し出来ない次元の声優が転がっているという言い方もできると思う。
まぁこれはブシロードに関わらず、角川におけるプロダクション・エースとかもそうだなのだが、どうしてもお抱え声優系統というのは、他の普通の声優よりも見劣りする事というのは少なくない。
自社内で回していく数は必要なのだが、そこに能力がどれだけついてきているかと言われると微妙であると言わざるを得ない。
そういう声優も食わせるために自社コンテンツないで回されてはいるものの、じゃあ外からそういう声優が使われるかと言われるとそうでもない訳で。
特にブシロードはその内製声優のぶん回し感は色濃く、ブシロードという箱庭の中での稼働というのが多い印象である。
でもって、正直実力が存在するせいゆうでも、ブシロード箱庭圏内で普通に食えてしまうし、ブシロード箱庭系コンテンツは拘束時間が長くなる物も非常に多いため、ブシロード以外の仕事がそこまで増えにくい印象もある。
こういうところを含めて、筆者はブシロード声優はブシロードから"脱出"という表現を使う。非常に難しいのでね、ブシロード以外で安定して仕事をすることが。
そういう中で、遠野はこのブシロード脱出というところが最も可能な声優となっている可能性が高い。
遠野は、元々から実力的な所では、ブシロードが近年送り出している声優の中では抜けている感じがある(伊藤彩沙とかは流石に世代が違う)し、こういう代表作、明確な代表作を得ることが出来た。
そもそも元々から良いのはあったし、ウマ娘というコンテンツでいい役を引いていたし、ブシロード系でアサルトリリィを確保し、こちらはブシロードから離れていくことになったし、2023年から「はめつのおうこく」「ワンルーム、日当たり普通、天使つき。」とブシロード外作品でメイン役を務めつつあったので、十分その可能性が高かったのだが、ここに来ての「マケイン」はその決定打となり得る大きな作品となった感じがある。
そもそもこの前から結構ブシロード管轄以外でやらせてもらえていた遠野にとって、これで更につながってくる可能性があるんじゃないか?という感じである。
これまでも、ブシロード管轄以外での仕事が増えていった声優はいなくはない。
最たる例は三森すずこだとは思うが、三森に関しては割と今のブシロードネットワークが構築される前の声優という感じもあり、今の基準で考えるべきではない気はする。
勿論無印ラブライブとか、ミルキィホームズにいてぶん回されている(ミルキィホームズの格好で始球式等数々の伝説はあるとは思う)ので、十分そうとは言えたのだが、今ほど確立されている訳ではなかったので。
徳井青空とかも、その部類ではあり、ブシロード系列にしては非常に堅実な歩みをした方ではあるのだが、いざ完全にブシロード管轄から離れる頃にはそもそも響から脱出してしまった。堅実な声優が響から生まれているという意味では、中々にレアなのだが。
伊藤彩沙は、間違いなく実力は存在するし、ブシロード外での仕事もある程度行っており、特に近年はその傾向は高まりつつあるが、通常の声優ならもうちょっと早くもっと多くの外部作品に出ていた気がする。バンドリ等含めて、拘束時間が長いブシロードコンテンツを多く兼任していた事も一つの理由かもしれない。近年の巻き返しはよくやってるけど、勿体ない時期を過ごしたような感じが筆者的にはしてしまう。
寺川愛美は、そもそも歌手タイプの人間で、声優としての素養は完全に終わっている次元だったのだが、近年はなんとか使える声の種類を増やして、外部作品への出演が増えてきつつはある。ただまぁなんとかギリッギリ声優として使えるようにしたって感じは否めないし、そういう寺川をセンターで歌わせるために始まったはずの「BanG Dream!」は、そこまで寺川の得意音域でやらせてあげなかったりと、割とチグハグ感はあった(まぁ寺川は本当によくギリギリ声優として使える域まで来たと思う。作り上げている感が音域によってめちゃくちゃ出るから、上手いとは言えないけどね…)
こういうのを見ていく中で、遠野は上手いことバランスが整っている感じがある。
外部への出演に至るまでの時間もそこそこ早めに出ることが出来たし、ブシロードにおける拘束時間が長いタイプのコンテンツをことごとく避けることが出来ているのも良い。
遠野はバンドリにもレヴュスタにもD4DJにもいない。非常にコレが大きいと思う。
遠野は今後外部に出るにあたって、ブシロードのぶん回しに足を引っ張られることがない。
なんで響とかいう直属事務所にいて、かつ実力もちゃんとあって、まともなブシロードコンテンツがアサルトリリィくらいで済んだのかはホンマに分からんが、これはむしろ今後にとっては良いことだと思う。
全くブシロード直属じゃない羊宮妃那がMyGO!!!!!!で足引っ張られまくりそうとか、そういうのもあるからね。
そういう意味では遠野はツキもあるのかも?(いや、ブシロード管轄は安定して仕事はくれるから、その安定という所が取れないのはデメリットとも言えるので、言い切ることは難しい気がするけど)
これでいて、遠野はダンスもやっていることもあり、そういう方向での活躍みたいな所も可能であるのも面白い所(そういうスキルはコンテンツ経由なことも多いんだけど、遠野はそこまでそういうわけではないので)
遠野がちゃんと外部作品で上手く生きていけるのであれば、今の環境は好都合である…くらいが良いのかなと。
遠野はブシロード枠を超えた上で、実力も伴うという貴重な声優となれるか?
遠野は間違いなく大きな代表作を手にしたし、その中で非常にいい演技を出来た感じがある。
こういう作品でのいい演技というのは、今後につながっていくだろうし、声優としてより大成できる可能性というのは高まったんじゃないだろうかと個人的には思う。
遠野は元々からそういう所はあったと思うので、こういう分かりやすい代表作が出来ることによって、より声優としてしっかりと演技の方向性で生きていけそうなのは良いんじゃないかなと思う。
これまでの遠野の演技とは違う部分もあり、そこで今までよりもさらに演技が出来たみたいな感じで非常にハマった感じがあった八奈見杏菜。
前述した通り、声質だけではなく、演技のスキルの部分での強みというのも更に出た感じがあったと思う訳で、こういう演技が出来るなら今後も期待できる…!と感じる。
ただ、一方でこういう本当にスタッフとか含めて作り上げてそうな役柄というのは、今後に良い意味でも悪い意味でも尾を引くこともある。
誰とは言わないが、スタッフと作り上げて会心の演技をした結果、この会心の演技にこれまでのキャラ含めて全て引っ張られて、全部そのキャラみたいにな演技になってしまった声優とかも実際に存在するので、遠野がそうならないことを願いたい所ではある。
声質系統声優が、上手いこといい演技をした役とかを引き出しの一つにできれば本当に強いと思うので、遠野には上手くやって欲しい所。
そこがしっかりと揃っている声優ってそんなに多くはないので、それが出来れば遠野も安泰みたいな所あるし、近年ブシロード声優最高傑作にもなれると思う。(近年ブシロード声優最高傑作って誰なんだろう?三森は近年じゃない気がするし…伊藤かな?寺川ではないから。寺川はなんか愛せてしまうけど、実力的に最高傑作ではないから)
遠野のマケインの演技は本当に良かったと思うので、今後の動向にも期待をしておきたい所である。
以上。