おにじと申します。
今回はノベルゲームの話題を。
今月はまぁあとりあえずエロゲ含めて紺野の『GINKA』と、どんぶくの『彼方の人魚姫』という感じの月なわけですが。
何せ『GINKA』に体験版が存在しないという不親切仕様でしたので、『GINKA』は出来るだけネタバレなしの記事をとりあえず挙げておく。
なお、ネタバレなしの記事でもHPの内容や冒頭に比較的近い場面は書かざるを得ないので、何の情報もなしにやりたい方はどちらにせよ記事を見ることはおすすめしません。
何せ体験版が存在しないので、冒頭に近い場面の話をしてもネタバレにはなるので、そういう所を御理解の上、読むことをお願い致します。
やはり多少内容に関して掲載しないと記事にはなりませんので…
ネタバレあり感想の記事の方も書いてはいる。
- 前提としてATRIが来るとまず思わないこと
- めちゃさしずめ俺はしそうではある
- とりあえずギンカは可愛い
- ギンカではなくGINKAがヒロインである(ロリギンカにだけ力を入れた作品ではない)
- BGM・絵などは相変わらず強い
- キャラはそれぞれちゃんと立ってると思うぞ
- ブシロード傘下感が悲しくはあるが、声優は結構いい感じ
- ATRIより難しい話にはなっている(伝奇要素が読解難易度を上げている)
- やりたいことは分かるが、万人受けは怪しいと思うので、ATRI程の評価にはきっとならないとは思う
- ロープラ全年齢作品として一定以上のクオリティは間違いなくある
前提としてATRIが来るとまず思わないこと
こういうのはいつもそうというか、所謂名作系統が出た後に毎度思うことなのだが、前作に非常に良い作品が出ている状態で、同様のレベルを求めることや同様の系統の作品を求めることは非常に酷であるということをとにかく前提にするべきである。
そもそもATRIとかなり近いスタッフとは言え、出ている所がANIPLEX.EXEからフロントウイングに変わっているし、枕は関わっていないし、色々と違う所はあるように感じる。
それでもやはりATRIが非常に流行ったということは間違いないので、ATRIの要素に関して意識しているとは思う作品ではあるのだが、そもそもの設定のベクトルという所に関しては結構違う所に向いている感じがするので、まず同じ系統が来るということはないと考えて欲しい。
そんでもって、ATRIは正直対世間に対して当たりすぎているので、このレベルを作るのは無理がある。どうしてもなにかしら次は捻る必要性があり、捻る必要性があるということは、世間でついてこれるかと言われると、一部はついてこれないことになるので、ということは全体としての評価という所には繋がらないということになるので…
ハードルは下げるに越したことはないです。これは別にGINKAの出来がとかそういう話ではなく、全体的な所で。
めちゃさしずめ俺はしそうではある
あらすじを確認しておく。
幼なじみの少女・銀花は、夏祭りの夜、
"神隠し"にあって消えてしまった。あれから5年。
高校生になった青羽流星は、フェリーに揺られ、
ふらりとひめ島へ帰ってきた。確かめたかった。銀花はあれから、どうなってしまったのか?
もしかしたら、何事もなかったように家へ帰っていて、
島の高校に通いながら普通に暮らしているんじゃないか……。
そんな淡い期待は裏切られる。
あの夜からずっと、銀花は行方知れずのまま。失意に沈み、再び島を離れようとする流星だったが、
そこで不思議な再会をする。
目の前に現れたのは、
あの頃の姿のままの少女――ギンカ。『おかえりなさい』
自分の名前さえ忘れてしまったギンカ。
覚えているのは“リュウセイ”の名前と、
彼を好きだという恋心だけ。
今までどこにいたのか?
なぜ、幼い姿のままなのか?おだやかに時間の流れる小さな島で、
"神隠し"から帰ってきた幼なじみの少女と過ごす、
おとぎ話のような夏休み。
ということで、フェリーに乗って田舎の島に行くぞ!のノリがめちゃくちゃサマポケだという指摘が相次いでいる。
設定の入りがめちゃくちゃさしずめ俺は…感があるのは事実である。(ちなみにフェリーに乗ってくるタイミングはGINKAは夕方なので、サマポケと時間帯は異なりました)
この作品、サマポケ感もそうだが、どうしても過去に存在するノベルゲーム系統、エロゲゲーム系統と近い部分というのは存在しそうな感じはする。
というかまあ、こういう雰囲気を出す系統のノベルゲームって、サマポケに限らずとにかく似通った設定みたいなものが使われていく所は正直ある。
サマポケは最初の設定という所を考えて言われている所があるのだが、これに限らず田舎の街とか、小さな島とか、そういう系統の話ってめちゃくちゃ多いのは事実なので、仕方ないと言えば仕方ない気はする。
ただまぁ、もうちょっとサマポケとずらした方が面倒なことにならなかった気もしなくはないけど…w
とりあえずギンカは可愛い
この作品は、まず第一にギンカかわいいよという所は変わってはいないと思う。
こういうメインヒロイン系統のキャラパワーというか、このキャラかわいいぞっていうのを押し出している感じというのは、継続されているように感じる。
まぁATRIと異なるのは、普通にギンカは小学生くらいの年齢の女の子なので、よりロリ感が強いと言うか、子供子供になるという所では、やはりアトリとも異なる部分が多いということは間違いない。
まぁギンカはギンカで、5年経過しているのに姿そのまんまで、他なんも覚えてないみたいなキャラなので、コイツも人間なのでっていう言い方をするのが適切なのかは分からないけど…w
ギンカではなくGINKAがヒロインである(ロリギンカにだけ力を入れた作品ではない)
ただ、『ATRI』と決定的に異なるのは、タイトルが『GINKA』なので、ギンカがヒロインという言い方をすると△が付く感じになるということである。
まぁ、HPを見ると分かることではあるのだが、この『GINKA』において『謎の少女』というキャラクターが存在する。
見るからに成長した銀花なのだが、まぁお察しの通り成長した銀花である。
ということで、今回のヒロインというのはギンカであり、銀花であるという形となる。
なので、ロリギンカにだけ力を入れたような作品ではなく、成長した銀花の方にもしっかりとスポットライトが当たる作品という言い方が出来る。
ロリギンカかわいいねだけを求めると、なんか思ってたのと違うのが出てきた…みたいな気分になるかも知れないので、気をつけた方が良いかもしれない。
ロリと高校生の銀花両方とも楽しめるという意味ではおいしいという言い方も出来る。これは人によって考え方が異なるとは思う。
まぁOPとか考えても明らかにそうだとは思って買う人間が多いとは思うのだが…
あくまでも主人公は高校生であり、ギンカは小学生で、銀花は高校生みたいな感じのスタンスとなるので、そこを理解した上で買った方が良いんじゃないかなと。
BGM・絵などは相変わらず強い
『ATRI』でも非常に評価されていたBGM・絵などに関してだが、まぁ普通にめっちゃ強い感じになっている。
BGMのクオリティの高さという所は際立っており、作品としての格を上げているんじゃないかなと感じる。
やっぱり松本が関わるとこの辺りに関して心配するようなことはなにもないだろレベルになってくるなと改めて感じる所はある。(心配をしたことがそもそもほぼない)
まぁこの辺り、『ATRI』の時はサウンドトラックを売り、そこにゲームROM付けるとかしたことがあるので、この形式が取られる可能性というのも十分にあるとは思う。ここも購入においての考慮に入れてもいいとは思うが、一応販売元は違うので、同様の形が取られるかの確証はない。
絵に関しては、メインは継続してゆさの、サブにフロントウイングではおなじみの渡辺明夫となっており、こちらのキャラデザなどに関してもハイクオリティなものとなっている。まぁ豪華な並びしとるからねえ。
背景とか含めて、かなりクオリティを必死こいて上げているので、このあたりに関しては、『ATRI』から落ちるようなことはなかったと思う。
キャラはそれぞれちゃんと立ってると思うぞ
『GINKA』に関しては、キャラクターと言う所はそれぞれしっかりと立っているというか、作品においての意味があるように思うし、それぞれのスタンスというのは見えやすいような描かれ方をしていると思う。
勿論ギンカ・銀花、主人公の流星という所のキャラの形というのもしっかりしている上で、他のサブキャラにもちゃんと有効性があるのは良い所なんじゃないかなと。
まぁ、ギンカと銀花というキャラクターが同じようで違うキャラクターなので、この辺りをどのように解釈していくかは読者によってブレが存在しそうではあるけど。
流星に関しては、ずっと筋は通っているキャラクターにはなっていると思うのだが、通っているからこそ行動という所においてブレが発生するキャラでもあるような感じはするので、この辺りの流星の描かれ方、彼のポジションと言う所を正しく読んであげないといけない所はあるかもしれない。
サブキャラではひまわりが可愛く仕上がっております。一番グリザイアグリザイアしているけど。みちると顔のパーツが近すぎることが原因だと言われました。確かにクソ似てたわ(
ブシロード傘下感が悲しくはあるが、声優は結構いい感じ
フロントウイングくんがブシロードの元に下ってから結構経つ訳だが、改めてフロントウイングはブシロード傘下なんだなあと思う所は普通にやっぱある。
そもそも起動時に一番最初に『ブシロードゲームズ』が出てくるのが盛者必衰の理をあらはしている気もしなくはないけど、まぁ潰れるよりはマシと言えばマシなので、仕方ないっちゃ仕方ない。
ただやっぱりブシロード関連の人間が声優にしろEDはにしろ多すぎるだろ感は隠しきれない所がある。(伊藤彩沙、森嶋秀太が声優で、青木陽菜がEDで参加)
まぁブシロードの声優系統は本当に過半数ロクなのいないのだが、普通に声優としてまともな部類のピックではあったので、作品において演技が気になるようなことはない面子だったので、発表時点から「セーフ」とは思っていた。実際大丈夫そうだったので良かった。
伊藤彩沙とか本当に有能なんだよな。多分現状のブシロード系声優で一番有能。マジでコイツをブシロードという箱庭から頻繁に脱出させることが出来ないの損失だとおもっている。
森嶋秀太に関しては正直一番知らんかったけど、そんな悪くはなかった。
青木陽菜に関しては、まぁ歌唱に関しての心配はしていなかったが、いい感じにちゃんとED歌えていたので、別に特に言うこともない。
まぁ使える所をちゃんとピックしてくれただけ本当に良かった。
その他の声優に関しては非常に良いところを使っているというか、ノベルゲームに耐えうる声優をちゃんと使っている印象。
ギンカ・銀花を演じる長谷川育美は2役を見事に演じている。長谷川のロリ役はマジでイメージになかったのだが、めちゃくちゃいい感じにロリである。ちゃんとすごくロリなので、駄々っ子したりもする。かわいいね。
銀花の方はまだ聞いたことある長谷川だが、ちゃんとコイツもかわいい所あるので、銀花もヒロインとして好き。やってみた結果、どっちかっていうとこっちの銀花の方が筆者が好きだったりはします。これは個人差あると思う。
長縄まりあに関しては、こう長縄ってロリ専用声優じゃねえからなって気持ちが毎度芽生える。今回は中学生役なのでちょっとだけ年齢上げているが余裕で出来る。
長縄はもうちょっとアニメ含めて作品に恵まれた上でロリ役じゃないのを引きたいなと改めて思った。
安済知佳に関しては分かりきっているが有能。
緊張と緩和に関しての能力の高さを改めて感じることが出来るので、強いのは強いという感じ。小泉構文かな?
声優キャスティングとかに関してもちゃんと実力面で選ばれている感があり(ブシロード資本感はあるけども)この辺りに関しても評価出来る作品となっているのではないだろうか。
ATRIより難しい話にはなっている(伝奇要素が読解難易度を上げている)
内容面に関してなのだが、間違いなく『ATRI』より難しい作品にはなっているのかなという感じがある。
『ATRI』は『ATRI』で、未来的な所があるし、作品独自設定みたいなものが存在したとは思うのだが、これは『GINKA』に関してもそういう所がある作品となっている。
『GINKA』は田舎の島という設定もあるし、あらすじにある通り”神隠し”という言葉が出てくる。こういう所から見ても、こういう系統のお話というのが多くなってくる所はある。
所謂伝奇的な要素というのが結構出てくる形となっている。
この伝奇要素というのは、どうしてもややこしい話になってくるというか、昔の話など時系列が複数絡む形になってくるので、色々とややこしくなってくる。
この辺りでどうしても難易度が上がってくる所がある。
シナリオ面に関して色々な深みとか、伏線回収とかそういうのを考えていくと、こういう要素を入れていくことというのは、舞台的にも効果的ではあるのだが、それだけ話をしっかりと読み込む必要というのがあるので、難しさというのがやはり出てくる。
今回はギンカと銀花がいることや、小学生時代の話など、元々から時系列が多くなっている中で、この要素が入ってくるのでややこしさが増している感じがある。
やりたいことは分かるが、万人受けは怪しいと思うので、ATRI程の評価にはきっとならないとは思う
この作品、『ATRI』程のストレートな作品ではないという所がやはりある。(ATRIもそこまでストレートストレートしているわけではないのだが)
やはり名作として『ATRI』がいる中で、素直な勝負というのをそこまでしなかったのかなと。やはりあの作品とこの間隔で真正面から勝負しても勝つのは難しいというのが正直なところだろうし、賢明な判断だと思う。
そういう中で、やはり『GINKA』は捻りの部分が多い。とにかく捻っている。
この捻りが多いというのは、わかりにくいってことにもなってしまうので、やはり万人というところに分かりやすい作品という感じにはならないと思う。
特にこの作品後半に行けば行くほどに捻りに捻っていくので、ここで難易度が爆上がりしている印象。
作品として、読めるか読めないかのゲームの域に入っている部分があるんじゃないかなと感じてしまう所はある。これは別に悪いことではないのだが、万人受けするような作品には基本的にならないので…間違いなく『ATRI』より『GINKA』の方が人を選ぶのは間違いないんじゃないかなと思う。
元々ヒロインと呼べる存在が二人いて、時系列が多いという構造上の複雑さに、話としての複雑さが重なっているので、やはり難しいという言い方をする方が良いように感じる。
どれがどれの話なのか?という所に関しての親切さが足りないゲームになっているので、マジで時系列とキャラ別に設定をメモってもいいと思う。それをするだけで理解することは出来ると思う。その上での感想がどうなるかは知らんが、少なくとも理解できないと「ギンカちゃんかわいいね」で終わってしまいかねないので、それは勿体ないと思う。ちゃんと読めれば基本繋がっている要素が多い作品なので…
色々な意味で『ATRI』を求めると痛い目を見るかもしれない。
なんというかこう、こういう作品を作ることに関しては良いのだが、『ATRI』のスタッフが作りました!で出す作品としては、難易度が高めの印象を受けた。
想像の数倍終わらないし、終わるまでに数倍捻ってくるので。捻ってくる割に着地がいきなりだし。最終盤が親切なゲームではないので、振り落とされないように頑張りましょう。
ロープラ全年齢作品として一定以上のクオリティは間違いなくある
という警戒は一定周知しておくとして『GINKA』に関しては非常にクオリティの高いノベルゲームに仕上がっている。
間違いなく気合が入っているゲームではあり、全体的なクオリティとしてしっかりとした高さというのを感じられたし、グラフィック面という所もめちゃキレイだし、声優の演技のクオリティもかなりいい。
キャラの方向性というのもしっかりしているし、それぞれに良さがあり、それを声優がしっかりよ引き上げている感じがある。
BGMやOP・EDのクオリティもめちゃくちゃ高く、サントラ発売を待ちたい感じになっているし、期待して良いと思う。
ヒロインも、ギンカも銀花も可愛く仕上がっている。前作『ATRI』よりはその傾向としては強くはないが、十分可愛さを押し出しているし、その上で今回はロボではなく人間なので、ヒロインの心情という所も大切にされていると思う。
シナリオとしては、前作よりは難易度が高いものとはなってしまっているとは思うので、世間的なウケという所では前作程のモノにはならないようには思うが、それでも話としてはしっかりと作られている作品となっており、しっかりと読み込むことができれば、一定以上の評価というものは出来ると思うし、最悪出来なくともギンカと銀花は可愛いと思う。
キャラが二人存在して、これがヒロインだぞってのは分かった上で買った方が後悔はしにくいと思う。長谷川育美による2キャラの演じ分けにも注目ではある。
やはりしっかりと力が入っている作品という感じはするので、作品として求めすぎず、ATRIを求めすぎない感じで、新たな作品としてしっかりと読み込むことを意識すれば『GINKA』は悪いゲームということはまぁないんじゃないかなあと思う。(世間が文章を読み込めるのかという所は甚だ疑問だが)
以上。