ちゃろ~、おにじです。(激寒)
たまにはオーディオの話もしますという話。
でもオーディオであって声優の話でもある、ややこしい!(白目)
近頃、声優界の一部とオーディオ側に少なからずの話題を提供し続けていたイヤホンが存在します。
『KPro01』。
これは声優である小岩井ことりが企画、開発に関わった、オウルテックが主導のイヤホン。
小岩井ことりと言えば、もはや言わずとしれたオーディオオタク…というか曲まで作るクリエイターに近い存在。
自分が所属するコンテンツ『アイドルマスター ミリオンライブ!』では作曲も担当。
最近の『#せいゆうろうどくかい』の音の編集も率先してやっていたりと、その手腕はマジなやつ。
そんでMENSAだし、もう声優の仕事よりもそっちの方が強いまであるやべーやつ。
とは言えのんのんびよりは好きだし、普通に好きか嫌いかで言われれば筆者としては好きな声優の部類に入る方だ。
最近、いろいろな制作モノの中でクラウドファンディングというのが主流になりつつありますが、この企画もそのクラウドファンディングを使用した企画です。
このイヤホンは『無線と有線を切り替えられる 2way完全ワイヤレスイヤホン』という謳い文句でクラウドファンディングがスタート。
先日4月29日の18時にクラウドファンディングは終了。
1億6000万円超の資金を集め、大成功で終了したと言えると思う。
多くのストレッチゴールを設けていたが、全て達成。
300万円 イヤホン購入者すべての方に専用収納ポーチを付属
500万円 小岩井ことりさんのシステム音声収録決定
6000万円 充電専用ケーブル付属決定!USB-C(オス)タイプとなります。
7000万円 アプリ開発 ファームウェア更新やイコライザーなど搭載可能になります。
1億円 クレードル開発 別売り(2000~3000円)
5名の声優のシステム音声を収録決定。ファームウェアで更新可能になります。
KPro01のシステム音を担当して下さる5名の声優
う~んこのミリオン声優陣。
というか全員フリーじゃねえか。逆に小岩井氏はピアレスガーベラなのに…(
まぁとにかく、この企画は確実に成功したわけだが…
筆者は、ブログタイトルに『声オタ』を一応書く程度には一応声優オタクである。
あと、一応オーディオもかじってはいるつもり。
SE215を購入してからというものの、オーディオの沼に若干足を突っ込んでおり、
AK70を中古で買ったり、
色んな中華有線に手を出したり、
CT10買ったり、
完全ワイヤレスはLiberty+から初めて、TE-D01b、
TE-D01d(記事にしてなかったんだなワシ)、
AirPods Proといろいろ買っている感じ。
ヘッドホンもMDR-1000Xと、DoubleZero001を所持してたりする。HD598Csはボロボロ。
一応オーディオの端くれではある筆者だが、今回のCFは見送った。
勿論、最近エロゲやら、ラノベやらの出資がかさんでいることも間接的な原因だが、このKPro01のスペックや特性等を見て、「これはとりあえずやめておこう」という事になった。
今回は、なぜ声オタでオーディオをかじっている、どう考えてもめちゃくちゃ今回の企画に該当しそうな筆者がCFに参加しなかったのか?
KPro01の文字面だけで感じる懸念点を上げておこうと思う。
まぁ実際、過激派オーオタは、このイヤホンをボロクソ言ってるとか言ってないとか…(
という事で、まずこの『KPro01』がどのようなイヤホンなのか、CFサイト掲載の内容をおさらいしながら、確認していきましょう。
KProの仕様
完全独立イヤホンが基本的にはメイン感があるこのKPro01さん。
無線イヤホンの肝と言えば、SoC…動作させるチップです。
このKPro01には、クアルコム製SoC「QCC3020」が使用されています。
Bluetoothバージョンは5.0、対応コーデックはSBC、AAC、Apt-Xとここ最近必要そうなBluetoothバージョンとコーデックは揃っている印象だろうか。
ドライバーは、Φ6mmダイナミック型1基で極めてオーソドックスなタイプと言え、仕様によれば、感度は95±3db、インピーダンス16Ωとなっている。
『目指したのはカスタムイヤホンのような所有感』という謳い文句があるように、
このイヤホンの形は、所謂耳の形を取って自分専用のイヤホンにするカスタムIEMっぽい形をしています。
レジン製ハウジングを高性能な3Dプリンターで出力して、この青の筐体が出来ている…ということらしい。
有線にするための端子は、イヤホン好きならおなじみの端子の一つである2pin端子、オーソドックスなフラット2pinだよねこれ。
このイヤホンは充電にクレードルを使うのではなく、付属のUSB Type-Cケーブルを使用し、2pin経由で充電をする仕様となっています。
また、このType-Cケーブルを使用して、端末と接続することで、音楽を聴く…有線イヤホンとしても使用することが可能です。
コースによっては、シルバーケーブル(シルバーコーティング(銀メッキ銅線)したΦ3.5mmプラグのケーブル、長さは1.2m)を付けることも可能。
システム音声は小岩井ことりが担当。
アプリも開発されることとなっており、これよってイコライザや、上記したシステム音声の種類(平山笑美、桐谷蝶々、郁原ゆう、渡部恵子、大関英里)を変えることが出来る予定らしい。
追加で用意されたストレッチゴールとして、1億円突破でのクレードル作成。
これは別売りで2000~3000円程を予定しているらしいが、これで充電もできるという事で。詳細がさっぱりだが、絵を見る限り、LEDランプついてそうなので、ケースにもバッテリー付いてるのかなあ…という感じはする。
内包物は標準セット(16800円、実売21780円予定)では
・KPro01本体
・専用USB-C充電&有線ケーブル(1.2m)
・専用充電ケーブル
USB-C接続の充電のみ対応のケーブル(10cm程度)
・専用ポーチ
の予定。
コレにシルバーケーブルを追加すると19800円(実売25080円)となっている。
あとリターンとしては小物系でUSBPD対応USB-Cアダプタやら、モバイルバッテリーやら、Lightning変換アダプタやら…
上記のシルバーケーブル内包セットにシリアルナンバーとポーチに小岩井ことりサイン印刷されてるセットとかもあるらしい24800円で150人、勿論売り切れているが。
以上が、今回のKPro01の仕様となる。
長年言われ続けている事への一種の答えにもなり得るプロジェクト
この『KPro01』の最も特徴的なポイントは、『無線にも有線にもなる完全独立ワイヤレスイヤホン』である点であろう。
ず~~~っと言われ続けている、無線イヤホンの問題の一つ。
それは『遅延』という問題だ。
有線イヤホンと比べると、どうしても若干の遅延が発生してしまうという問題がある。
これは技術的な問題であり、昨今Android端末には入っていることが多いAptXでかなりの遅延はなくなりましたが、バッテリー消費量が多く、まだ若干の遅延は残っている…というのが現状。
AptXLL(Low Latency)というコーデックも存在しますが、まだ大きく普及しているわけでもないし、
そもそもiPhoneでは、AACというコーデックが採用されている等、遅延という問題は未だにつきまといます。
多くの場合、気にならない遅延である場合が多いが、これが音ゲーとなると致命的な遅延へと繋がってしまう。
タイミングがズレる、触った時のSEがズレる等の問題へと繋がってしまう…そういう点で、有線には劣る面があると言える。
勿論音質の面や、バッテリーの点、接続安定性等の問題もあるが、ここが個人的にはどうしようもないポイントじゃないかなと。
だったら、有線にも出来るようにしてしまおう!というのがこの製品である。
アイディアとしては非常に面白いと言える製品ではあるのだ。
両方で使えてしまえば、双方のメリットを獲得できる可能性があるし、非常にアイディア商品感はある。
…んだけど、懸念点がやっぱりある。
というか、懸念点がそこそこあって手を出せない。
ただ、これはあくまで現物をまだ見れていない上でのCFに出せない理由であって、現物がこの懸念点をクリア出来る何かがあるのなら話は変わってくる。
そこは頭に入れて、これからの懸念点について考えて欲しい。
ちなみに筆者は別にCF童貞とかではない。
AVIOTのTE-D01bの時のCFには金を突っ込んだし、
…いや毛色が違いすぎるCFに金だしてるなあお前…
懸念点
そもそもオウルテックである所
これはまぁ言っても仕方がないとは思うんだけど、オウルテックに完全独立イヤホンのイメージも、イヤホンのイメージもない所。
別に、オウルテックが嫌いとかそういう訳じゃないんだよ?
iphoneのLightningケーブルとかは、今オウルテックのを使っていたりとお世話になっている会社さんだし。
ここは比較的なんでも屋って所はあるし、モタスポ好きとしては、SUPERGTのスポンサーやってるよなあとか思うんだけど。
でも、ELECOM以上にイヤホンのイメージがない。
実際、一応イヤホンは作ってるし、完全独立イヤホンも作ってはいるんだけども…
こうなんというか中華OEM感すら感じる所まであるし、やっぱ音質とか、完全独立イヤホンの場合はアンテナの位置とかでの接続安定性とかって、メーカーの強さがどうしても尺度になってしまう。
まぁだったらソニーのワイヤレスは途切れないのか?と言われればそれまでだが、実績がどうか?という点はどうしても信頼するか否かの所になってしまう。(あの当時のAVIOTにCFに金出してる時点であんまり説得力無いのかもしれんが)
まぁこんなコンセプトのイヤホンをじゃあ信頼できる所がするのか?と言われれば、う~んって感じだけど…
この充電仕様、めちゃくちゃ怖くない?
このイヤホン、まぁメインターゲットはアニメ・声優オタクで、サブターゲットがコレクション好きのオーディオオタクとかだと思うのだが、この仕様の中の
2pinである所が非常に仕様としての足を引っ張らないか?という懸念をしている。
この2pin、現物を見れば分かるが、普通に細いピン2つがあるだけのシンプルな物だ。
…これ、折れないか?
個人としては、このフラット2pinっぽいのって中華のKZ AS06くらいしか持っていないが、そんな頻繁に差し替えたりしたくない程度には怖い接合部だ。
そもそも、この2pinって、リケーブルをする際に抜き差しするものであって、そんなクッソ頻繁に抜き差しするような部分でもない…というのが通常の有線での使い方ではないだろうか?(まぁ頻繁にリケーブルをする人間も中にはいるだろうけども)
また多くの抜き差しによって穴がガバガバになってしまう例も存在する。
この『KPro01』はその2pin経由で無線側の充電を行うという仕様であり、『USB-Cケーブルで気軽に充電できる』を売りにしているらしい。
…いや正気か?それはどう考えても地雷になり得る仕様だろ。
それ、『気軽に2pinが折れる』にならないか?
上記の通り、2pinは折れやすい規格であるし、ガバガバにもなりやすい。
そんな規格から充電をするコイツは、確実に壊れやすい。いや、これは絶対に壊すだろ…
この『2pin経由で充電』はどう考えてもこのイヤホン最大のボトルネックになりかねない要素ではないだろうか?
ケースがなかったら、完全独立イヤホンである必要性薄れない?
まだこの、『USB-Cケーブルで気軽に充電できる』に関しては疑問がある。
こいつ、ケースがついてないのだ。
『充電クレードルを使用せず、付属のType−Cケーブルで手軽に充電できるようにしました。』とある。
完全独立ワイヤレスイヤホンにおいて、ケースというのは必ずと言っていいほどある。
でも、コイツはケースがない。ポーチは付くらしいが…
…いやそれ完全独立イヤホンとして意味があるものになるのか?それってもはや有線と変わらなくない?と筆者は思う。
もっと言えば、先がUSB-Cである必要性もよく分からない。
勿論、有線でUSB-Cで繋げば音楽が出ますよ~を売りにしたかったんだろうなとは思うし、分からなくはないんだが、充電をこのケーブルでするのに、そっちがUSB-Cである必要性ってあったのだろうか?
ターゲット的に考えると、そんなにUSB-Cがついてるアダプタとか、モバイルバッテリーとか、そういうのって持っているとは思えないのだ。
なんというか、Lightning to USB-Cケーブル並に必要性を感じない気もしなくはない。
…まぁ、その理由はなんとなく分かるから後に書くけども。
ケースがなく、USB-Cで充電する。普通の完全独立イヤホンとは全く違う使用とまで言える。(ケース側がUSB-Cで充電すること自体は当たり前となりつつあるけど)(Androidスマホの充電口もUSB-Cが主流になりつつあるのはそうだし、そういった意味で人権でiPhoneだけだよ!なのは分かるんだけど、充電をするという観点ではという意味)
なぜ、普通の完全独立イヤホンにはケースがあるのか。
それは、『なくさない』という所と『バッテリー』の観点からだ。
最近の完全独立イヤホンはケースから出すとオン、ケースに入れるとオフになる仕様のモノが多く、その操作いらずで出来る所と、決まった場所になおす事での紛失防止にも繋がっている。
また、ケース自体にもバッテリーを内蔵し、収納時に充電が出来るようにすることで、イヤホン単体としてのバッテリー時間に加えて、ケースからの給電によって、より長く使うことが出来るというメリットがある。
現に、今筆者が所持している完全独立イヤホンは、
AirPods Proは単体では4.5時間しか持たない時代遅れの仕様だが、ケースによって24時間以上は稼働するようになるし、5分充電すれば1時間使えるという仕様になっている。
また、もうmk2が発売された事で現在は9000円とかで売っているAVIOTのTE-D01dは単体で9時間再生が可能な上で、ケースに入れることで100時間以上の再生が可能で、
モバイルバッテリーとして他の機器への給電も可能と、当時の完全独立イヤホンとしては非常に先進的な機能を備えている。
そのケースが、この『KPro01』にはないのだ。
ポーチがあるにしても、この仕様はいただけない。
完全独立イヤホンのメリットというのは、ケーブルがない事によっての煩わしさからの開放…という部分も大きいと思う。
このKPro01、結局ポーチに入れるか、有線を繋いでおくか…をしておかないと、イヤホンがどっか行く。
独立してるから。片方とかどっかいく。その為のポーチなんだろうけどさ。
でもポーチにいれること、面倒にならない?
ケースは充電があるし、入れる場所が確定している(充電するためにハメる所があるから)から入れる習慣が付くけど。
それ結局、有線ケーブルを刺しておいて、左右分かれ無いようにしておいて、使う時に抜く…って運用にならない?
充電をするために2pinを使うからなおさらそんな運用になる人間が多くなるように感じる。
それって、結局有線ケーブルが絡まって煩わしいとかにならない?
それ、完全独立イヤホンなのか?というか、お互いの長所を消す仕様になってない?
だったら、ケース作ったほうが良かったんじゃないの?充電できる。
一応別売りで開発をするという事になっているクレードル。
2、3000円は良心的だとは思うが、17000円払った上で、2、3000円払って充電するケースが付きます!って他の完全独立イヤホンなら普通に付属してるからね、それ。
あと、充電どうやってやるんだよっていう。
クレードルを作るにしても、2pinで充電するクレードルなんて見たことがない。
完全独立イヤホンの充電って磁石とかでくっつくようになっていて、刺したりする訳じゃない。
どっちにしろ、刺すようなクレードルの時点で、2pinの耐久性という根本的な要素が解決するわけではない。
この有線無線どっちも可能!っていうのって、お互いのメリットを出し合えるアイディアのハズなのに、お互いのデメリットが出まくってるのがこの企画だと思わないだろうか。
リケーブルの端子を使うことによって、有線と無線を切り替えられるというアイディアは良いものだと思う。
でも、そこを充電端子として使うのは無理があるだろう。
しかも、最も耐久性が怪しい2pinを使うこともないだろう…確かにリケーブルは2pinは種類が多い端子の一つではあるが。
リケーブルの端子というのは、リケーブルをする時に使うものなんだから、そんなに頻繁に抜き差しするものではない。
現状のリケーブル端子と言えば、2pinまたはMMCXが主流だが、2pinは上記のような耐久性の問題、MMCXは接触不良の問題と、リケーブルをするだけにしても問題が発生する端子を、頻繁に使う充電端子と共用するという時点で無理がある。
通常の完全独立イヤホンにあるような、金属と金属を接させて充電させるような端子を別に設けた方が、色んな意味で良かったように思える。
完全独立イヤホンとしての性能の時代遅れ感
単体としての性能に関しても、一部で首をかしげるポイントがある。
確かに、Bluetoothは5.0を搭載し、SBC、AAC、AptXに対応している…という点は今の完全独立イヤホンとしてのトレンドを押さえているとは思う。
しかし、単体バッテリー性能が5~8時間というのは、なんか「ん?」って思うポイントである。
めちゃくちゃブレるじゃん、時間とまず思ったが、なぜここまで時間がブレるか?というのは恐らくコーデックの問題だ。
筆者も経験がある。AVIOTの01b、01dもAptXに対応しており、CT10で音楽を聴く際はAptX接続になる。
AptXは、音質が良く、遅延が少ない良いコーデックだが、電池消費が大きいという欠点がある。
このため、他のSBC、AACで使用するよりもバッテリー駆動時間が短くなってしまう傾向があるのだ。
なので5時間というのはAptX使用時…と考えるのが妥当だろう。まぁそれにしても5~8時間はブレ過ぎだと思うが。
この単体性能で、ケースがないというのは、中々に苦しくないだろうか?
現在の完全独立イヤホンのバッテリーの相場はもはや二桁時間単体で使用可能!とか言い出している位には加速的に進化している。
2年前ともなれば4時間とかがベースだったのに、今や6、7時間のバッテリーが1万円台の完全独立イヤホンで使用可能になっているところもある。
まぁここはある程度譲るとして、最低限5時間は今の完全独立イヤホンは単体として稼働する。そう考えれば、5~8時間単体で稼働するKPro01は十分と思うかもしれない。
確かに最低の5時間をクリアしているが、それは単体性能としての5時間だ。
通常の完全独立イヤホンであればケースにバッテリーがついているから、例えば1時間使用したとして、残り使えるのが4時間になっても、使わなくなってケースに入れておけば勝手に充電され、また5時間使用できるようになって使う…という場合が多い。
このため、実際はもっと長くの時間使うことが出来る場合が多いのだ。(勿論連続で長く使う場合はそうはいかないんだけど)
完全独立イヤホンが独立していない左と右がくっついたワイヤレスイヤホン(左右一体型ワイヤレスイヤホン)から主導権を握ったのは、
左右コードすらないという開放感もそうだが、
このような連続使用さえしなければ、左右一体型ワイヤレスイヤホンにバッテリー駆動時間でも勝つことができて、長く使用できるという点も大きかったように思う。
そのような観点で考えれば、確かに5~8時間という性能は単体としては十分かもしれないが、ケースの充電が使える他の完全独立イヤホンに比べると、稼働時間で大きく劣る…という言い方も出来てしまう。
また、SoCがQCC3020なのもなんか中途半端だ。
QCC3020といえば、昨年の6月程度に市場に回り始めた、QualcommのSoCだが、これは下位機種のSoCだ。
QCC3026という上位機種が存在する。
まぁ3026と3020の機能差というのは大きく存在する訳ではないのだが、そもそもあんまり3020を使っている完全独立イヤホンがない。
3026を使っているイヤホンは、今でも主流となっているイヤホンにも存在し、
ZERO AUDIO TWZ-1000とかMavin Air-Xとかがまだいる。
まだいるっていう言い方をするのは、もう3026/3020のイヤホンも新しく出てくる程ではない位にはトレンドが移行しつつあるからだが…(現在は、ノイズキャンセリング機能が追加できるQCC5100シリーズの機種が増加中)
3020を使っているイヤホンと言えば、まぁAVIOTのTE-D01gくらいしかイメージはない。(コイツは1万以下で買える癖に単体10時間再生出来るから凄いことは凄い)
3020は3026に比べて接続安定性の相性問題が発生するとか言う報告もなされている以上、
接続安定性を売り文句にするのであれば、3026を搭載して欲しい気がする。
外装への高級感を謳えるほどでもない感
『目指したのはカスタムイヤホンのような所有感』とあるように、この商品は一応外装もこだわって作ってますよ感が出ているのだが、正直そんなにクオリティが高いように見えない。
確かに、レジン製のハウジングというのは、高級感を出せる上に、音質の向上も見込めると言われている。
最近はカスタムIEM大手のUE(Ultimate Ears)などもSLA方式でのプリンターでレジン製シェルを作っており、3Dプリンタープリンターで作っていますというのも謳い文句にしたいのも分かるのだ。
だが、そのクオリティはそれこそ中華のTRNとかでもよく見る程度には安価中華イヤホンですらありふれたシェルのように見える上、特に側面においてのクオリティがなんかよろしくないように見える。
さすがにTRNみたいにFPが剥がれたりはしないだろうけど(しないよね…?)なんかビルドクオリティ的にも、な~んか現物をちゃんと見ないと不安になる程度には、別に高級感とかそういうのはないと思う。
オーディオオタクが怒りそうな姿勢
一部オーディオオタクにクッソ叩かれている所がある、KPro01。
勿論人気による嫉妬という面がある事も考えるべきではあるが、そういう風に言われるのにもやっぱ理由は存在するような気がする。
それはまぁ、単純に声優を積むことによって販促しているという点もあるだろう。
小岩井ことり自身はオーオタだし、まだいいんだろうけども、完全にミリオンライブフリー声優で固めたオプションボイス勢というのは、一部の過激派からすれば気に食わないというのは普通に存在しそうである。
が、まぁこんなのは別に序の口だと思う。
もっとキレさせてそうなのは、明らかに情弱を狙っている抱き合わせ商法ではないだろうか?
このCF、上記した通り、本体だけを売っていた訳ではない。
KProロゴ入りUSB-C電源アダプタ PD18W 3480円
KProロゴ入りモバイルバッテリー 5000mAh 3880円
KProロゴ入りLightningオーディオ変換アダプタ 5280円
KProロゴ入りモバイルバッテリー 10000mAh 5280円
が同時に販売されていた。イヤホン購入者限定で。
ハッキリ言ってアホみたいに高い。情弱向けの価格としか言いようがない。
変換アダプタ5280円とかひっくり返るレベルで高い。
イヤホン本体より絶対に利益大きそう、しかもこれがそれなりに買われている事に「おぉ…もう…」ってなる。
こういう所の姿勢が、結局割高なのを声優の名前を入れることで売りさばいてるんでしょ?という不信感をオーディオオタク側に持たせてしまった事が叩かれている理由としてもあるんじゃないかなあと思う。
また、この『シルバーケーブル』という表記も不適切である気もする。
KPro01のシルバーケーブルは、
『シルバーケーブルは、シルバーコーティング(銀メッキ銅線)したΦ3.5mmプラグのケーブルとなります。長さはおよそ1.2mです。』とある。
それは"シルバーケーブル"なのか?
"シルバーケーブル"っていうのは、純銀線じゃないと駄目じゃない?
銀メッキ銅(Silver plated copper)なら"シルバーコートケーブル"が正しくない?
それは"シルバーケーブル"じゃなくない?
あと防水対応って書いてるけど、IPXいくつかの表記がCFにページにないのも問題でしょう。
どっかの小岩井ことりの生放送とかで言っているのかもしれないけど、
『Pro01は、本体にナノコーティングを施しており高い防水性能を搭載、水洗いにも対応します。水濡れを気にせず使えるので、ジョギングやジムでも安心して使えます。』
だけでは分からないよ。明確な基準が存在するIPX4とかそういう数字が存在するんだから、そういうのはちゃんと明記してくれないと困る。
なんというか、製品を売る側としての姿勢が単純になってないというか、正しい情報を正しくちゃんとやってくれないと険しい所がある。
…というか、このイヤホンを稼働させるためにモバイルバッテリーを持ち歩くの、バカらしくない?とは思う。
というかイヤホンの充電に5000mAhも、10000mAhもいらないでしょ。まぁ他のでも使えますよって事なんだろうけど。
普通の完全独立イヤホンなら、別にこんなのなくても、小さいケースで充電できるんだし。
01dとかあのサイズで1800mAhあるからイヤホン運用で電池に困ったことなんてないレベル。
そういう意味でも情弱向け過ぎるし、イヤホンの為にモバイルバッテリーを持ち歩くという事自体が絶対に嫌でめんどくさいし、コードうざくなるし、ケースで完結する通常完全独立イヤホンに対して、デメリットが多すぎるだろ…という感じがしてならないのだ。
まとめ
この『KPro01』はアイディアとしては非常に面白く、画期的になり得る企画だったように思うのだが、あまりにも欲張りすぎたのか、なんか変に使用が尖り過ぎというか、運用において引っかかりそうなポイントが多すぎるように感じる。
充電するのはケース(口はType-C)で、充電端子はリケーブル端子を使用せずに普通の完全独立イヤホンのような端子で、別口でリケーブル端子を2pinかMMCXでつける…みたいな仕様であれば、オーディオオタクももっと好意的な反応をしたんじゃないだろうか?
(充電専用ケーブルが存在するんだから、それを1.2mUSB-C to CかC to Aにして、普通に2pin - 3.5ジャックとかを同封するとかで)
あまりにも仕様的に無線と有線の利点を消してしまうような点も見受けられるし、スペックとしても声優とのコラボである所を差し引いてしまうと、やっぱり今の時代には遅れている感が出てしまう。
勿論声優とコラボしており、他にもいろんな面で金がかかるのは分かるし、それでこの価格なら確かに良心的な方で、オタクが手に届く程度の価格でCFしやすい程度に収まっている点では上手いのだが、それに対してのクオリティがな~んかオーディオ製品として中途半端ではないかなあと個人的には思う。
ただこのCFは大成功を収めたからといって、『声優を乗っければ行けるんだ!』となるか?と言われればそれも違う気もする。
これはオーディオオタクである小岩井ことりが開発にまで関わってやっているからこそここまでのCFになった点はやはり無視できず、人気声優を乗っけただけではここまでにはならないんじゃないかなあと思う。
…いやまぁ、アユートのAK製品声優コラボとか、アニメコラボとかもそれなりには売れてるような気はするけど…
でもあれは製品が良いの確定レベルだし…クッソ高えけど…高すぎて手を出せない人間の方が多いけど…ありゃクオリティという面では余裕で強いから…(
『KPro01』はアイディアとしては面白いんだけど、声優要素を抜いた単純なオーディオ製品としてデメリットと懸念点が多すぎて、
やりたい事は分かるんだけど、それでゴーサイン出ちゃうんだ…という感じで、
最低限現物をみないととてもじゃないけど手は出せなくない?という話でした。
リターンになった時にくっそ壊れやすいとかならないことを祈りたい。別に声優として嫌いとかじゃないし、アイディアは面白いとは思うから…
以上。