おにじと申します。
今回は、ライトノベル感想…という事は、もういもウザ感想ですね。
5ヶ月空いての8巻発売。
今回もドラマCD付き版が出てくる。というかもうドラマCD付いてない時のほうが少ねえなこのラノベ。
アニメ化も発表されてもう半年。
まだ特に何も出てこないけど、まぁまぁ焦るな焦るなって感じ。
今回は、ついにあの子がメインになりそう。
では、やっていきましょう。(今回はちゃんとAmazonで予約して、発売日に忘れてたパターンを回避しました)
あ~、今回、8巻自体の内容が濃いので引用がちょっと多めです。
許してマジで。だって引用しないと感想というか考えが書けねえんだもん。
いつものエロゲ感想記事くらい長くなりそう。書くのが大変なんだよこうなるとなあ!(
- 前置き
- 雑感
- 翠、明照の事が好きだな?(予定調和)
- 一部理解し始めているが、やっぱり何も分かっていない
- 乙馬の引き出し
- 翠さん、通常営業
- 彩羽×茶々良、読んでておもろいよね
- 明照さん言われてますよ
- それでも明照は進歩してるんだよ
- 音井さん回、次の2、3巻中には来そうな気がしてきたね
- バカ正直な翠と、その場しのぎの天才かもしれない明照(副作用多数)
- 茶々良と彩羽、一生見てられるかもしれない
- クラスメイトが割と良い奴多め?
- 真白さんも大概でしたね(白目)
- 今の”小日向乙馬”の成り立ち・今の”大星明照”の成り立ち
- 菫ってなんだかんだ大人として大変な立場だよね、色々と
- 影石翠ってどんな子?
- さあ、"影石翠"って、どんな子?
- ”友達の妹”という究極の関係
- 翠の気持ちをQ.E.D
- 明照の気持ちをQ.E.D
- ただただ真っ直ぐ過ぎる女、影石翠は双方に呪いをかけた
- 何も知らない小日向彩羽さん
- 真白、全てを賭ける
- 総評
前置き
もう8巻だし、いい加減省いてもいいけど、一応。
このブログ数少ないシリーズとなっている『いもウザ感想シリーズ』は、
筆者がエロゲである『神様のような君へ』(2020 / CUBE)の霧香ルートをプレイして、これを書いているのが三河ごーすと先生(いもウザ書いている原作者様)で、ラノベ書いておられるのは知っていて、それで目についた…というか友人から勧められたのが『友達の妹が俺にだけウザい』である。
でもって、1巻買うかあと思っていたら、三河ごーすと先生自ら
「読者ではなく作者ですが4巻まで出てるので是非4巻まで一気読みしてください。(ダイレクト営業)」というリプを貰って、結局当時の全巻を購入、以降新規巻が出ると感想を出し続けているという感じである。
今までの記事↓
あっ、そうだ。『神様のような君へ』はCS版が出ました。おめでたい。というかCUBEがCS版とか珍しい。
PS4、Switchで出ました。
しかも今どき珍しいヒロイン一人追加パターン!CVは、はちみつこである。
割とR18版から手は入っているらしいけど。
こちらも、ぜひどうぞ。筆者、SwitchもPS4も今手元にねえけど!(逆移植を期待してます)
まぁそんなこんなでこの作品を追っていたら見事アニメ化とかも決まって、毎度感想も書いているというお話である。
…はい、すいません。ここから感想やりますから…(
雑感
今回は特装版買いました。
まぁ影石翠がドラマCD初登場するという事で。
で、めっちゃどうでも良いんだけど、今回の8巻特装版、記載にミスがあります。
それはココ。GA文庫のロゴだ。なんか足りないぞと。
そして側面に、その足りない右の所がよく分からない所に記載されている。
GA文庫のロゴって、多分ベクターで、それで一部だけ配置ミスっちゃったんだろうなと勝手に思ってる。どうでも良いけど、多分ミスした人は怒られちゃうやつだ。
今回は影石翠回になるはず。満を持しての影石翠回。
翠、明照の事が好きだな?(予定調和)
「まだ大星くんと見間違えた……」
(中略)
しかもこれが初めてじゃない。
ここ最近、何度も何度も同じような場面に遭遇していた。
(中略)
なぜか心と身体が敏感に反応し、体温がほんのりと上がってしまう。
本当にどうしてしまったんだろう。
「影石ー、おまえまさか、アキに惚れたんじゃないだろうなー?」
p6-7
冒頭から幕間から始まる今回。(まぁ珍しくはないけど)
もう翠がほぼ完全に落ちていますねという所から始まる。
まぁ、影石翠が、明照に落ちるのは必然というか、これまで明照の対翠への行動を考えれば因果応報というかなんというか、そりゃそうなりますよねって感じ。
音井さんが登場して、話を聞くわけだが、翠は煮え切らない回答をしたためか話は打ち切りとなる。
まぁ煮え切らない回答になったのは、真白が彼女だと思っているからで。
これを認めてしまうと他人の彼氏に惚れてしまったイケナイ子になってしまうからで。
でも明らかに好きだぞという感じが、この最初の所ですぐに分かります。
脳内ピンクのイメージがすっかり付いている翠ですが、この巻では一体どうなってしまうのか。
そんな修学旅行回。
一部理解し始めているが、やっぱり何も分かっていない
「だああああ、ウザい!いつまで俺の部屋に居座るつもりだ!」
p15
「べつにあわてて今夜やり尽くさなくても。俺が修学旅行でいない間は、この部屋、いつでも勝手に入っていいぞ」
「む。それじゃ意味ないんですけどー」
「……なんでだよ」
p17
「そうなんだよ。乙羽さんが出張でいなくなったからって、好き放題ゲーム三昧したかったんだと。まあ、べつに俺が修学旅行中にいくらでも好きに遊びにきていいんあから、べつに昨夜にこだわらなくてもよかったのに」
「アキ、そういう所どうかと思うよ。敵ながら同情する」
「え?」
「あ、ううん。……真白としてはそのほうが都合いいし、べつにいっか」
何の話をしてるんだ?
p28
修学旅行回という事で、彩羽不在回となる今回。
前日の夜に彩羽が明照補給という名の入り浸りに来るわけですけど、相変わらずですねこの主人公(
まぁ、最初の頃より色々とようやく察する事が出来るようになってきているとは思うんですけどね。
真白が同情してるのも結構ウケるポイントではある。
いや、確実に明照は前進してるんですよ?してるんだけどやっぱりね?うん。
乙馬の引き出し
「なあ、オズ。大丈夫なのか?―― 引き出し」
「あらら。やっぱりアキの目はごまかせない、か」
p38
修学旅行回なので、間違いない過去一でクラスメイトとかが出てくる。
以前に登場した鈴木などを始めとして、割と多く出てくるのだが、全てに触れていると文字数が爆発するので、基本的には感想はメインキャラ中心で…
班員との会話で違和感を覚える明照。
乙馬って、こう最近はそういう描写も多くはなかったので忘れがちですけど、この人もある意味で変な人なんですよね。
会話のサンプルを漫画とかの創作物で学習している(というか明照がさせている)という感じであり、コミュニケーション能力がある意味ないんですよね全く。
今回は、この乙馬の掘り下げも後々行われますけど、基本的に明照へのツッコミ役になれているのは、そういう創作物読んでるからであって、ツッコミ気質とか、キャラとかそういう訳じゃないのは、よくよく考えてみると特殊なのかもねとか 。
翠さん、通常営業
「ご、ごごご、ごめん大星君!そんなつもりじゃなかったの!」
(中略)
「べつに今のは大星君がえっちな物を持ち込んでるって指摘したわけじゃなくて、私が新幹線の組み分けを操作する動機があるとしたら大星君がえっちな物を持ち込んでる確率が高いからそれを取り締まるためだろうって誤解されてるって私が予想したからであって、大星君が本当にえっちな物を持ち込んでるかどうかはスーツケースの中を見るまでは確定されないのであるからして、いわゆるシュレディンガーの猫状態なわけでいやむしろシュレディンガーのえっちな物っていうか――」
「あああああああ!『えっちな物』を連呼するなーっ!」
p51-52
翠登場ですが、新幹線の所多少は作為的なことしてそう感が凄いのと、やっぱりこの人頭がおピンクなんですよね。
これでいて基本的にクソ真面目なので、こういう暴走に関しても真面目に言っている所があるのである意味でタチが悪いw
今回は色々な人間が出てくる印象がありますし、それぞれのキャラクター性は意外とクラスメイトも濃いことが分かってくるのだが、それでもやっぱり翠のキャラクター性は強烈と言える。
というか、その割とキャラクター性が濃いクラスメイト連中に自分が羨まれるポジションにいることとか、なんだかんだと自分が知られている(目立っている行為をしている)事を理解させられる明照(真白もそうだけど)という所も面白かったですね。
全然効率的な事してませんし、普通に青春してる所もありますからね明照。
なんというか、そういうのにやっと向き合うつもりになったわけですけど、する前から大概してたからねw
罪作りな主人公である。
彩羽×茶々良、読んでておもろいよね
「てか、それで大星先輩に会えなくて寂しがってんの?んだよ、乙女かよぉ」
「そうだね。茶々良は会えなくて切ないような恋なんてしたことないもんね。わからない話題振っちゃってごめんね」
「ぐうっ……さっきからカウンターが鋭すぎ……。アタシで憂さ晴らししてるっしょ」
「うん。良い音を鳴らしてくれてあざっす、サンドバッグ」
「あっさり認めんなし!
p78-80
幕間で彩羽サイドが出てきますけど、茶々良との関係性が面白いと言うかもう漫才というか。
彩羽の茶々良の扱いが本当に雑なので、見てて面白いんすよねえ…
愛の重さが茶々良視点で見れるのも良いですし、一応彩羽がそれだけ好きであることも理解はしてくれている存在ではあるので。
サンドバッグという表現が出てきて、茶々良は早く彩羽専用サンドバッグ(明照)に帰ってきて欲しいと言ってるんですけど、明照のサンドバッグと、茶々良のサンドバッグはまた違う所があるように思うんですよね。
茶々良には明照が好きである事含めて殴れるサンドバッグなので。
また違うサンドバッグなので、君は多分明照の有無に関わらずサンドバッグだと思うw
明照さん言われてますよ
「私、小日向くんの事が好きで」
「知ってた」
「ええっ!?」
「むしろなんで知られてないと思ってるんだ。他の奴にそそのかされて、しょっちゅうオズの席まで来てただろ」
「大星君、そういうの強烈に疎そうだから……」
「あー、まあ、な?その点は否定できないけどな」
「大星君、自分の恋愛事でさえ見落としてそうなレベルで鈍感そうだから……」
「あー、うん。最近、薄々そうなんじゃないかって気もしつつあるけどな」
「人生で一度きりのモテ期をこじらせた高二病で逃しまくって三十代後半になってもカノジョができずに一生婚期に恵まれなさそうな雰囲気あるから……」
「そろそろいい加減にしとけ?天然のフリしてナチュラルに結果売ってるよな?」
「ええっ、そんなことないよ?
p88-89
班員の舞浜から、乙馬と上手く二人きりになれるように誘導してくれないか?という事を頼まれ、これに真白も協力することになっていく…という流れなのだが、
舞浜がナチュラルに(これでも悪気なく)明照の事をグサグサ刺しまくる描写が登場する。
明照の場合、多分二人とも諦めるようなことは無い気がするので大丈夫そうだけど、まぁ明照のキャラクター性ってマジでこれくらいですから、言われることは仕方ないですねって感じ。
いもウザの感想で、常々明照が好きではない。『嫌いだわ~w』と結構な頻度で言う(ここ数巻は言ってなかったと思うけど)事が筆者多いんですが、それでもガチで嫌いじゃない程度に収まっているのは、絶妙なキャラクター性と、定期的に行われるこのようなヘイト管理のおかげだと思う(白目)
それでも明照は進歩してるんだよ
「真白。なんていうか、ごめ――」
――でも、ピタリと止める。
出そうになったのは、謝罪の言葉。俺なんかと密着状態でごめん。からかわれて写真を撮られることになってごめん。
でもそれは裏を返せば、俺が真白とのツーショットを拒否しているように聞こえてしまわないだろうか?
俺自身は旅行写真にすこしも価値を感じないし、俺なんかと写真に写るのは罰ゲームだと思っているけれど。
俺のことが好きだっていう真白にとっては、女子たちの言う通り、素敵な思い出の一枚になるかもしれなくて。
だから俺は、ごめん、の代わりに、べつの言葉をひねり出した。
「――楽しいか?こういうの」
「……うん」
照れたようにうつむきながらも、その返事には一切の迷いがなかった。
p108-109
それでも明照は考えられるようにはなっているというか。
こういう時に、迷いなく「ごめん」と言っていたのが当初の明照であり、その考えというのは残ってはいるが、多少は考えられるようになったというか、その場で適切な言葉選びは出来るようになってきたとは思う。
まぁこの点、真白からは好きだと伝えられている事もいい方向に作用したとは思うけど、それでも明照って伝えられていようと…っていう所があったので。
なんだかんだと向き合う気にはなったし、これは進歩である事は間違いないので、明照も成長してるんですよっていうのは、常々考えておきたいし、だから最近はそんなに嫌いとは書かなくなってる所はある。主人公は成長している。
音井さん回、次の2、3巻中には来そうな気がしてきたね
「あー。ウチとしたことがめんどい自体踏んだ感じかー?知らんけどー」
「なにその余裕。正妻感を出してるつもり?」
「おいおい。あんまピリピリしなさんなー。ウチとアキが付き合うとか、もうありえんから嫉妬しなくて大丈夫だぞー」
「……もう?」
p119
音井さんの登場時間って基本的にどこでもそれほど長くない印象がある訳だが、結構な印象を残していく事が基本的には多い。
その中でも、今回は非常に印象的…というか、今後への一つの伏線となっていきそうな事象が発生したと言うか。
この一言によって、中学時代の話がちょっとだけ出てくるわけですけど。
とある事情で、明照と音井さんは荒れていて、二人は対立していたというお話。
音井さんとの関係というのは常々良く分からなかったというか、語られてこなかった所が多かったわけですが、ここでちょっとだけ小出しにされた感じ。
この案件で、二人がいい雰囲気になった時代が存在したのか?
そう言えば確かに明照の中学時代というのはそこまで語られていない。彩羽は中学時代から好きだったことは間違いないけど。
この辺りの明照の過去というか、今の明照を形成しているのがどういうモノなのかというのは話において重要そうだし、
ついに音井さんを掘り下げる機会というのは近づいてきたのかなとも思える。
著者であるごーすと先生は音井さんがお気に入りなはずなんですが、どうにも当番回がないなとは思ってないことはなかったんだけど、やっぱり音井さんを掘ると結構色々と芋づる式に出てくるところはあるんだろうなとも思うわけで。
バカ正直な翠と、その場しのぎの天才かもしれない明照(副作用多数)
「大星君、ハリウッドのプロデューサーだよ?」
「ああああああああああああああああああああ」
p140
そう言えばそのメチャクチャな誤魔化し存在したな。
まぁこれは菫が悪いというか。
演劇部を改善できる存在であることを示すための嘘だった訳ですけど。
数巻越しの伏線によって、急に窮地に立たされることになる明照。
一つ一つ説明をした上で謝る明照であるが…
「ねえ、大星君。他にも嘘、ついてるよね?それで全部じゃないよね?」
(中略)
「もしかして月ノ森さんと付き合ってるのも…嘘、だったり、する……?」
(中略)
「どうしてそう思うんだ?」
「根拠はないけど。本当に付き合ってるにしては、月ノ森さん、なんだか自信なさそうだし。それと――」
(中略)
「それと――そこに嘘があるなら、知っておきたいから」
「翠部長……それって……」
p144-145
翠は直感で嘘を看破してみせたわけである。
ここでの知っておきたい理由は、どう考えても翠が明照に好意を持っているからなのだが。
まぁ直感ではあるんだけど、やっぱりそこは真面目だからこその洞察力みたいな所もあるとは思うんだけども。
俺は考える。
翠の言葉の意味を考える。
知っておきたい。なぜ?翠は何にこだわっている?思い出せ。
そうだ。俺はさっき見たはずだ。
翠と真白がいつの間にか仲良くなっている姿を。
……そういうことか。そうだよな。
友達なんだから隠し事はナシでいきたいよな。
p146
まぁお前はそうだろうよ。な。知ってたわ~、はぁ~~~~~。
前の巻でお前が何したか覚えてるのか?
「翠ッ!」 「ひゃい⁉」 部長、をつける心の余裕など、一刻を争う俺にはなかった。
彼女の肩を強くつかんで、まっすぐに、真剣に、ありったけの本気を込めた目で、彼女の目を見て。
「お前のためでもあるんだ。頼む…。行かせてくれ!」
「わ、私の……ため?え、ええっ?ちょっと、意味わかんな……か、顔が、近っ……」
翠からしてみたら何がなんだかワケがわからないだろう。
だけど俺にできるのは、ただただ真剣に想いを伝えることのみ。
「頼む。何も見なかったことにして、俺を行かせてくれ」
「は、はい……わかりました」
訴えが伝わったのか、肩から力を抜いて、翠はこくんとうなずいた。
なんで敬語だ?と気にしてる余裕はない。
「ありがとう、翠部長」
俺はそう言い残して踵を返し、昇降口を飛び出した。
p216
いや、間違ってないんだよ。明照は。
この状況で翠に菫がヤバいかもしれないとか言わないべきなのは正しい判断だと思うし。
でもなんでそういう言い方をするのか。
この主人公、クソ童貞である事を50ページ前くらいで露呈してましたよね?? 何、それはもう翠落としに行ってるじゃん。
お前無自覚にまた面倒な事してるけど大丈夫?ほ~んとラノベ主人公だなお前、嫌いだわ~wwww
”彼女の肩を強くつかんで、まっすぐに、真剣に、ありったけの本気を込めた目で、彼女の目を見て。
” いや~、わざとやってるまであるわ本当に。
作者様からダイマされて全巻購入した『 #友達の妹が俺にだけウザい 7巻』レビュー・感想。 - 声オタおにじくんの声学審問H!
お前これしておいてこれだからな。
前の巻からちょっと思ってたんだし、この後明照の主張としては『ただそのときそのときで誠意を…』と言ってるんだけど、明照ってただただその場しのぎしてるだけの事多すぎません?
大星明照、その場しのぎの天才なのかもしれない。(なお副作用多数、それで起きた事象もその場しのぎしてさらなる副作用を生む模様)
気持ちは分からなくはないし、この主人公の思考回路に関しては一種諦めているので、まぁ別に良いんだけど、この主人公がアニメ化した時にTwitterとかあにこ便でボロクソに叩かれないのか改めて心配になったよ…(
周りにある意味で色々と欠けた面子がいることは5階同盟とか見てれば分かるんだけど、ある意味で一番欠けているのって明照だと思うんすよねやっぱり。
いや別に良いんだけど。でもやっぱりこの主人公を好きになる日は永遠に来ない気がする。エロゲのやりすぎかな?(
この一件で普通に恋人関係ではないことを話してしまうのが明照という人間である。
まぁ誠意の示し方としては正しいと思いますし、そうじゃないと話も進みませんしね。仕方ないとは思いますけど、やっぱり乙馬にコミュニケーション能力云々言える立場かね君は。
…とは思うんですけど、これは中学時代荒れていたとか、この後の事含めてくると、この大星明照、割としっかりと理由があってコレほどのラブコメクソ主人公気質になったのかもしれないので、ヘイトはこれくらいにしてあげましょう(
主人公の掘り下げがなされた時に、過去のあらゆる動作が納得できるような事になったらどうしよう…(そこまで別に求めてないけど)
でもこんな事しておいて『何か大きな問題に発展しないといいのだが…』とか言ってるのは本当にコイツ嫌いって思うのくらいは許して。
茶々良と彩羽、一生見てられるかもしれない
何が何でも彩羽を京都へ追放する!その名も『そうだ、京都、行かせよう』作戦!!
p159
「ごめん……やっぱり、京都に行きたいです……っ」
(中略)
「ちゃんと言えたじゃねえか……」
アタシは彩羽の肩をぽんと叩いて、サムズアップ。親友の勇気ある決断を大いに讃えた。
p161-162
海月さんからの京都のお誘いが来たと分かると、もう今の彩羽の相手をするのが嫌なので、とにかく京都に行かせようとする茶々良。
ここの幕間の会話、マジでずっと面白いというか、ずっと見てられそう。
茶々良のキャラクター性と、彩羽のキャラクター性の相性の良さがあるんでしょうね。
あと、明照がああいうことをした後にこういう幕間が入るのは構成的にも助かりますね(
茶々良の思考がパロディよりなのウケる。
クラスメイトが割と良い奴多め?
「や、マジ面白ぇわ!コミュアップ育成、俺も手伝えることがあったら手伝うぜ!」
「は。ははは」
ああ、プライベーに目を向ける気になったから修学旅行を迎えて、本当によかった。
鈴木のことをただの痛いリア充だと決めつけていた自分を反省しなくちゃいけない。
自分は客観的に、俯瞰的に物事を見ることができていると錯覚していただけで、その実、俺のフィルターを通した、俺だけの偏見の世界に生きていたんだろう。
p174-175
乙馬のコミュニケーション育成は、実際にやると致命的になるのと、考え方がコンピューター的であることで創作物で成り立っているわけだが、その事を筋肉バカになった鈴木に少し話すと協力的だった…というお話だが、
これまでというかちょっと前まで登場人物がかなり限られていたこのラノベも結構こういうクラスメイトが登場する機会も増えてきた中で、割と周りにも良い奴が多いと言うのが出てくる。
基本的にそういうのからシャットアウト気味だった事もあって、描写がなかったわけだが、それは明照がそういう目で見ていたからであって、これも明照の変化という所でもあると言える。
この主人公、変わっていない所は相変わらず致命的に変わっていないのだが、でもやっぱりちゃんと変わっている。
というか、これは多分これからもクラスメイト結構出てくるんだろうなと。
キャラ濃い奴多いけど正直まだ全員覚えられてないよ(白状)
真白さんも大概でしたね(白目)
「家が隣……って、俺、話したことあったっけ」
「ぎくっ」
(中略)
「真白ちんのノロケ話で普通に教えてもらったけど?」
真白……お前って奴は……。
偽恋人の真実を黙って翠に打ち明けた俺も俺だが、住所なんていう極めてプライベートな情報をノロケついでに漏らしてる真白も真白だ。
「か、勝手にばらして、ごめん……テンション上がって、つい……」
「まあ、お互い様ってことで」
「はい……」
p192-193
ノロケで住所をばらしてしまう真白さん、大概!!(
これ家にクラスメイトがパターンもなくはなさそう。
というかどいつもこいつも割と致命的な事を…w
まぁこういうので上手くバランスを取っているとも言えるけど。
というか、キャラがクラスメイトと馴染んでいるとも言えるし。今までそこまでそうじゃなかったし、真白がクラスメイトにノロケられるっていうのも大きな前進ではあるわけで。
その中でお互いが失策をしていくんだけどねw
今の”小日向乙馬”の成り立ち・今の”大星明照”の成り立ち
王様ゲームで舞浜と乙馬に色々させようとしたものの失敗。
乙馬はくっつけようとするのをやめてほしいと言う。
「誰が相手でもNG――結局、まだ僕は誰かと深い仲になるべきじゃないと思うんだよね」
(中略)
「確かに修学旅行用の会話レパートリーが少なくて苦戦してるかもしれない。だがそれでもせいぜい『すこし調子が悪いのかな?』ぐらいの不自然さだ。それは教室の中にしっかり溶け込もうとしてきた、お前の努力の賜物だろ」
「うん。うまく仮面をかぶれたおかげ。……僕の正体に気づいていたら、舞浜さんは僕を好きになったかな?」
「……。俺が知るかよ、そんなこと」
p214-215
今回は乙馬の掘り下げは過去1行われている巻でもあります。
乙馬が色々と人間離れしているのは、常々分かっていますがし、コミュニケーション能力がアレというのも、毎度出てくる話ですが、基本的に乙馬は有能であり、ツッコミポジションでもあるというイメージがある気が筆者はしている。
その中で、乙馬がもともとどういう人間だったのかという話。
『久しぶりだな、小日向。』というのが出てきますが、これは彩羽と明照が会う前のお話であるという事で(中学上がりたての頃)
前述された音井さんとの時系列とか、色々と気になる要素が増えてきましたね。
「何してんの?」
(中略)
「効率よく人が死ぬ方法」
だから、想像の斜め上のその回答に、俺はすぐに反応できなかった。
「え?」
「効率よく人が死ぬ方法を探してるんだよ。放課後」
p219
最年少で数学オリンピックを優勝した天才、
周りの人間と交流する気もなければ、自分がどう見られているのかとかにも興味がない。
声をかけると危険な発言を返してくる。
ある意味で人間性の欠如の塊みたいな存在が小日向乙馬という存在とも言えるだろうか。
変な奴というのは、現実にもいるわけだが、そのベクトルがあまりにも違うし突き抜けている。
「だからさ、お前もアイツには話しかけんなよ、大星」
みんなそうしてる。お前もそうしろ。
小日向乙馬に対する明確な悪意をもってそう言ったクラスメイトに、いまの俺はむしろ感謝していた。
なぜなら、ある意味で彼が《5階同盟》の生みの親みたいなものだからだ。
……みんながそうしてるから、合わせろって?絶対に御免だね。
強烈な天邪鬼だった俺は、むしろ小日向乙馬と死んでも仲良くなってやると、このときに決めたのだ。
p220-221
ある意味で逆張りみたいな言い方もできるわけですけど、気持ちは分かるけどこの時の大星明照も相当に変な奴な気がしてきている。
明らかに今の明照とは性質がちがうというか、今の明照って一応効率という所を求めているわけで。
まぁ今も手段の為に効率と言いながら結構な遠回りをし続けているので、全然効率的では1巻当初からあるわけではないとは思うが、
とは言えこの時の明照はそういう効率とか言う考えが最前面には出てなさそうなのと、好奇心とかそういうものが旺盛でいてひねくれている感じがします。
あくまでも乙馬の過去の話なのだが、この明照の性質の違いみたいな所も感じる描写じゃないかなと。
「誤解を解こうぜ。小日向、お前すげえことやってるし、根は滅茶苦茶イイ奴なんだからさ。あいつらにわからせてやろう、なっ?」
(中略)
「よし、じゃあこうしよう。俺はアキでいい。二文字なら妥協できるか?」
「ああ、それはいいね。呼びやすそう」
「決まりだな。……その代わり俺はオズって呼ばせてもらう」
「へえ、君も二文字がいいんだ」
「違う。合理的な考え方は性に合うが、べつにお前ほど極端じゃない」
なぜなら俺は凡人だから。
実験の内容や考え方、しゃべり方、すべての所作から『天才』がにじみ出ている小日向乙馬とは、まったく違う存在だ。俺はお前のように突き抜けた奴にはなれっこない。そう思わされるに充分なモノを見せつけられた。
だけど――……。
「俺もお前に合わせて、極端な効率厨って奴になってみようと思ってな」
「ふぅん」
「そのほうがお前って人間をもっと理解できる気がするし。そこまでできれば、ちょっと……っていうか、かなり変わってるお前とも友達になれそうな気がするんだよ」
「まあ。好きにすればいいんじゃないかな」
「ああ、そうさせてもらうぜ。……オズ」
p227-228
この回想って、小日向乙馬の異常性を見るパートというよりも、大星明照の成り立ちを見る回想なような気がしている。
今の効率厨大星明照の誕生は、小日向乙馬との接触から始まったという事になるわけで。
さも自分が凡人、普通の人間であるという風なポジション、考えに大星明照という主人公はいるんですけど、この瞬間に変人な方向に舵を切ったとも言えると思うんすよね。
小日向乙馬は、大星明照との接触によって人間らしさを一定手に入れられたと思うんですけど、
大星明照は小日向乙馬との接触によってある意味で人間らしさを一部失ったのかもしれない。
小日向乙馬、この時までよく分からない事を返す事が多く、常人では理解できない所にいた訳で、それを上手く解きほぐしたのは大星明照のおかげなんだろうけど。
でも大星明照は小日向乙馬と接触して、効率厨へ舵を切った結果、常人では理解できないラブコメ主人公的思考に結果的になってしまったのではないかとも考えられるような気がしてきた。
恐らく、音井さんとの云々は時系列的にはこの後になりそうな雰囲気があるので、それも含めて大星明照という今の存在が形成されていって、そこに小日向彩羽という存在が現れて…みたいな過去の話が点と点を結んで線に出来そうな雰囲気が。
こう考えると月ノ森真白って、大星明照の事を意外と知らないのかもしれない。
そして、小日向彩羽がこの時系列を見るとより『友達の妹』に思えてくる。
毎度筆者大星明照の事を好きではないと言い続けるわけですが、その大星明照の形成の成り立ちが垣間見えてくると、今の大星明照がこんなんなのは、ある意味でそんな奴らに囲まれてしまったからなのかもしれないなと思わなくもない。
考えすぎかもしれないけどね。でも、こういう話を出して、音井さんとの話を匂わせたし、中学時代は黒歴史がある事も示唆されたので、最低限音井さんとの過去の話はどこかで出てくるはずだし、中学時代の黒歴史もそこが関わってくるのかどうなのかとかなので、そこらへんも期待しておきましょう。
まぁとりあえずこの事をきっかけに、《5階同盟》も成り立っていくことを考えると源流も源流の話でしたね。
えっ、このいもウザ、もうそれほど続かずに終わるのかい?(
菫ってなんだかんだ大人として大変な立場だよね、色々と
「それまでは絶対に考えちゃいけないと思って、押さえつけてた。友達の恋人に対して、不埒なこと……そんなの想像するだけでもイケナイことだと思って、我慢してた。でも、もし友達と彼氏が付き合ってないんだとしたら。私にもチャンスがあるんじゃないか……って。そう思ったら、友達に、直接確認しなくちゃ気が済まなくて」
(中略)
「こんなに頭が痛くなる問題、初めてなの。答えを教えて、先生。こういうとき、どうするのが正解なの?」
「それは……」
一瞬、言いよどむ 、
アタシにとっても究極の二択だ。
翠ちゃんの気持ちを切り捨て、諦めさせるか。
真白ちゃんの利益を無視して、背中を推すか。
……ああもう、意地悪だなぁ神様は。こんな選択、アタシにさせないでよぅ。
p241-242
翠が菫に相談するシーンですね。
菫、本性が基本的に紫式部先生なので、作品として大人である事を定期的に忘れそうになるんですけど、大人なんすよね(
でもって、真白の話も聞いているわけで。そこに翠まで来ちゃったぞというのが今回の形で、割と菫大変だよねっていう。
でまぁ、翠の相談の仕方もこう優等生感があるというか、翠のある意味での探究心も感じる気がします。
『~したくして仕方がない』とか『~しないと気が収まらない』みたいな表現が多くて、これは本能的なモノと言えばそうなんですけど、翠の優等生キャラ性を考えると本能的な所と、性格的な所双方あるんじゃないかなと思います。
菫は上手く中途半端な回答をした訳ですけど、まぁこれが限界でしょうとしか言いようがない気がするw
好きにすればイイというのはある意味で無責任かもしれないけど、翠に対してはそれで十分な気がします。
『私が後悔しないように、考えてみるよ』という翠のセリフは、今後の翠のムーブを見ていれば分かるというか、翠の本質をここから100ページ前後で爆発させてきます。
これが、まぁ上手いんだよなあ。
影石翠ってどんな子?
「翠部長!マジか!ここで翠部長に会えるとか奇跡かよ!」
「えっ。えっ。ちょ、なに!?」
目の前に現れた学年屈指の優等生、修学旅行実行委員長、『真面目』という材料を煮詰めたものを『真面目』という皮にくるんで『真面目』という皿にトッピングした『真面目』料理を過剰に摂取してカロリーバランスを崩してるんじゃないかと疑いたくなる超絶怒涛の生真面目人間――翠の手にすがるように握りしめる。
助かった。マジで助かった。
p255
明照は、彩羽のウザ絡みLIMEによってスマホの充電を忘れ、なんやかんやあって迷子になってしまう。
そこにこちらも迷子(文化遺産の綺麗さに見惚れてるうちに置いていかれた)の翠に出会う。
ここは別に引用しなくても良かったのだが、まず前提としておきたい事があったので。
明照の翠の説明は、読者にとってもこのイメージである事は間違いない。
まぁここの”カロリーバランス”を崩している結果、頭ピンクな所があって勘違い暴走機関車になる事が記載されていないくらいで。
クソ真面目であり、それでいて暴走機関車である。でもちょっと乙女も見え隠れしている。
これくらいが、恐らくここまでの影石翠のイメージである。
「月ノ森さんと恋人同士じゃないなら……私と二人で行動しても、倫理的に問題ないでしょう」
「まあ……そうなるな」
「でしょ。だから――」
(中略)
「――行こっ」
「……おう」
これは旅行気分が見せた幻覚ってやつなんだろうか?
語尾を跳ねさせた翠の笑顔が、優等生らしさゼロ、どこにでもいる普通の、屈託のない女の子の笑顔に見えた。
p260
スマホの充電がないとIQ300で思考して嘘を付くことにして二人で行動することにした翠(IQ300って書くと確かにバカっぽいな)
ここは、最初のカラー挿絵の場面であり『影石翠、本気の勝負が始まる。』と記載されているわけだが、翠かわいいなオイ!というところである。
そう、翠は可愛いのである!……というのは間違いではないし、実際可愛いのだが、『影石翠ってどんな子?』という話ではこれは適当ではないと思う。
実際、ここからいくつかの場所を回ったりしていく訳だが、翠は色んな事に詳しいし、そういう知識を普通に披露していっていた訳で。
「まあいいけどな。翠部長と回るの、なんだかんだで結構楽しかったし」
「た、楽しい?どど、どうして!?」
「ネットには載ってないレベルの豆知識を披露してくれたり、歴史的背景とかも語ってくれたからさ。純粋に勉強になるなって」
ピンクな話題の知識を饒舌に語る翠を見て、結構アレな奴なのかもしれないと疑惑を持ってた自分が恥ずかしい。
そういう分野じゃなくてもしっかり饒舌になってる姿を隣で見て確信した。
カノジョはあらゆる分野で博識なだけ。ピンクな話題ばかりフィーチャーされがちだったのは、カノジョが悪いんじゃなくて自然とそういう流れになってしまう周りが悪かったのだ。
鏡みたいなモノなんだろう、影石翠という女の子は。
p274
この場面における影石翠の本質の一つとしては、影石翠という人間はあらゆることに博識であり、だから周りがどういう話をしてもある意味で全て対応できてしまうが為に、ピンクな話が今までは多かっただけであって、ただただ博識なのであるという事。
全てのボールに対応できてしまうがゆえに悪球打ちも大根斬りも出来てしまうみたいな感じだろうか。
このシーンでは、翠は本当に色々なことに詳しい事が示されており、読者も含めて「頭ピンクだらけだと思っててすいません」ってなるやつではないだろうか?
…この後自分もそうだったりする?自分もわりとそもそもウザいから周りもそういう奴が多かったりする?と明照が凹んでいたのだが、多分それはそう。
乙馬の過去を見てもある意味でウザい…求められていないのに手を差し伸べているし、これまでのいもウザ本編を見ても、そういう場面は多い。
合理的な考え、効率的な考えというのは、聞こえは綺麗だが、ある意味で周りの事を気にしないというふうにも言える要素があり、大星明照もやはりウザいのかも。
「知らないこととか、疑問をそのままにしておくと気持ち悪くて、つい調べちゃって」
「あるある。最初はネットで調べるんだが、使えない釣り記事みたいなものも多くてな」
「そうそう。良質な記事に当たるまで探したりね。最近はそれだとまどろっこしいから、その題材に詳しい人の本を最初から買っちゃうこともあったり」
「わかる。専門的な本の電子化がもっと加速したら、すっげ使うようになりそう」
「うんうん。海外の論文とか記事を探すのも楽しいよ。マニアックな研究結果とか眺めてるといつの間にか時間が過ぎちゃう」
「海外の記事まで!?さすがにそこまでの時間は取れないな……」
「自分でも駄目だとわかってるんだけど、つい好奇心に負けちゃって。くだらない情報も多いから、大星君みたいに忙しい人にはオススメしないかも」
「面白い話だけなら知りたいけどな、……いや待てよ。翠部長の口から聞けば効率的に面白い話だけを聞けるな」
「ちょっと、何それ。私をメディア代わりに使う気?」
「殿様過ぎたか。ははは」
「ホントだよ、もう。これだから大星君は」
(中略)
「大星君がそうしたいなら……たまに付き合ってあげても、いいけどねっ」
「おう。たまに頼むわ」
「……ふふ。うんっ」
p275-276
もう一つ言えることは、翠は明照と相性がいい部分が確実にある事である。
これまでは基本的に用事のある時にしか会話がなかったことで、その部分が上手く隠れていたとも言えるのだが、こういう所を見ると調べたいとか、そういうのを徹底的に見る!とかそういう考え方は非常に似ている。
翠の方が明照よりも更にその欲求が高そうだし、深く見ている感じはあるが、明照もその要素を持っているのは言わずもがなであって。
こういう所が8巻まで出てこない…というか、明照の考え方の変化や状況などを上手く積み重ねた上で、キャラの本質というか、見えていなかった所をしっかりと見せるというのが上手い…というか効果的な見せ方をしてくるなと。
「なるほど、翠はこういう所もあるんだなあ 」みたいな物を詰め込んでいる感じがある。
「ごめんなさい!私、嘘ついてた!見ての通り!スマホは無事!充電90%!」
(中略)
「ね、ねえ、大星君。大星君、嘘ついてたんだよね?」
(中略)
「――月ノ森さんとは付き合ってないし、お姉ちゃんと婚約者でもないし、ハリウッドのプロデューサーでもないよね?」
「あ、それは昨日話した通りだが。それとこれと何の関係が……」
「だったら……私にもチャンスがあるってことだよね?」
「……!」
それと、これが、繋がっちまった。
カノジョが何を言おうとしているのか、どんな勘定を俺にぶつけようとしているのか、察せてしまった。
「大星君と一緒に……ううん。二人霧で過ごしたかったから!!」
そしてその予想は寸分違わず、的中してしまった。
「本当は最後まで隠し通そうと思ってた。でも残念がってる大星君を見てたら……無理だよ。罪悪感に耐えられない!私が嘘をつかなければ、大星君の思い出を残してあげられるのに。ここで黙ってるのは……私には無理!だからこれ、使って!」
p281-282
でも、やっぱり影石翠って真面目なんですよ。
真面目だから、迷い疑うことなく直球ど真ん中ストレートを投げられてしまう。
彩羽や、真白には恐らく出来ないであろう事をやってのけてしまう。
「今夜、消灯直前の自由時間に、ホテルの展望テラスに来て。いまの話の続き、させてほしいの」
「……わかった」
p283
今回のドラマCDのタイトルって知ってます?
『いきなり現れて好き放題ヒロイン面するモンスター優等生・影石翠』なんですけど。
これ8巻にも多少通づるところがある。
めちゃくちゃ真直ぐなヒロイン面するんですよね翠。
本当にまっすぐ、めちゃくちゃ綺麗にヒロインするんですよ翠。
これは強い。クソ真面目だからこそ出来る芸当とも言えるかもしれない。
これは強い。このインパクトを与えられるのは、”影石翠はピンクな事を考えるヤベー奴”という今までの印象をある意味で覆した事と、”影石翠はクソ真面目である”というこれまた今までの印象をしっかりと引き継いだ上で、これまでの翠の乙女がちらついていたのをドーンと真直ぐ直球ど真ん中に投げてくるからこそだと思います。
キャラの魅力の引き出し方ってこういうことなんじゃないの?とか。
「今夜、もしかしたら告白されるかもしれない」
「本格的にラブコメ主人公のモテ男だね。異論は?」
「……もう否定する気はねえよ。主人公にしちゃあ、恋愛脳が足りなすぎるが」
p285-286
これだけ直球ど真ん中なら、さすがの明照でも分かりますし、気づきます。
ここで『好きってなんなんだ?』というのが明照の中で始まる。
さっき翠でドキドキしたけど、彩羽や真白でもドキドキしたことあるし、なんなら菫と音井さんに対してもしたことがある。わからん!誰が好きなんだ?と。
この事例は、明照の自覚を強めた上で、向き合うきっかけにもなりそうな予感。
さあ、"影石翠"って、どんな子?
「どうしちゃったの……翠部長。ルールを破って、強引に我を通すなんて……。まるで、人が変わっちゃったみたい……」
「月ノ森さんが私をどんな人間と思ってるかわからないけど、私は最初から『ルールを守って何もかも我慢する子』なんかじゃないよ」
その言葉に、真白はハッとした。
真面目人間。時間を守り、ルールを守り、大人の言うことを何でも聞くイイ子ちゃん――。
だとしたら、ひとつだけ、滅茶苦茶大きな矛盾があった。
演劇部の部長をやれている――その一点だけでも、気づいて然るべきだった。
厳格な教育者一族の生まれ。菫先生でさえイラストレーター活動を家族に打ち明けられずにいたその厳しい家庭において、勉強以外に多くの時間を割くことが許されていたのはなぜか>
大学進学に泊のつく可能性がある部活動ならまだしも、廃部寸前、《5階同盟》が介入するまではお遊戯会同然だった演劇部での活動なんて、絶対に許されるはずがないのに。
そうだ、翠部長は。影石翠というモンスター優等生は。
自分の好きなことを貫くために、全教科満点という圧倒的な実績で大人を殴り続け、納得させ続けてきた真正の武闘派だったんだ。
「ルールを遵守した上で、最高の結果を追い求める。……それが、私のポリシーだから!」
――強い。
最強の優等生が恋に本気になると、ここまで強いのか。
(中略)
アキに似てる。
そう、思ってしまった。
目標に対してブレることなく真っ直ぐで、強引に意志を押し通していく力強さ。
社会の中に順応しながらも王道と邪道のライン上でフルアクセルで突き進んでいくような、強引かつ論理的なやり方。
p299-300
この真白と翠と幕間はぜひ全編をしっかりと読んで欲しい。
ここまでの影石翠という人間の総括とも言える。
影石翠という人間がどういう人間なのかを分かりやすく、それでいて力強く、クリティカルに教えてくれる文章しか基本的に並んでいない。
影石家の下りは、菫の一件であったわけだが。
それはあくまでも菫がどうこうという話で、翠が出てきたのは婚約者がどうので騒いだり、お姉ちゃんがどうので騒いだりした時くらいで、関与としてはそれほど高くなかったと思う。
しかし、翠は影石家の人間である。
菫の一件でどれだけ影石家が厳しいものであるかを示していた訳である。
ただこれを、読者としてもすぐに翠にイコールで繋げて「翠も大変なんだなあ」とはあまり思わなかったんじゃないだろうか。筆者はそこまで思っていなかった。
あの時は急に菫が話の中心になったし、菫の掘り下げという所にどうしても注目してしまった。
しかも、あの一件は二巻にまたいだとはいえ、彩羽の事を明照が意識し始めるみたいな所もあり、まぁ翠に目が向かないような仕掛けがある意味でなされていたのかもしれない。
でも、影石家の事は印象に残る。しかし、そこまでその話は後に引っ張られることもない。
で、こうやって突然出してくる。
それで「あ~~~~~!そういやそうだったな!」とか、「そういやいたな!」とかそういう事を言わせてくれる。
翠は”モンスター優等生”という言われ方は今までもされてきたわけだけど、それはクソ真面目という意味での”モンスター優等生”であって。
ここで影石翠は”力で黙らせるモンスター優等生”としての本性を見せてくるわけですよ。
ちゃんと納得できる形で。数巻跨いでのそれの裏付けと、一見関係なさそうな事もその根拠として提示してくる。これは強いぞ影石翠と、思わせてくるんですよ。
そう、これが三河ごーすとの上手い所。
「やられた!」って思わせてくれるんだもん。楽しいじゃん読んでて。
キレイな回収。それの準備してる時は気づかない。イコールで結べはしないけど、なんか印象にはちょっと残ってたりする。それでばらした時にちょうど良く覚えてる。
ちょうど良く覚えてるから「あ~~~!」ってなる。
だから『神様のような君へ』の霧香ルートが印象に残って、ラノベ書いてるなら読もうと思ったし、ダイマされて買ってこれだけ毎回記事を書くようになっちゃったんだよ。
いや~、好き。三河ごーすと好き。
上手いんだ、これが上手いんだわ。いや、でもいもウザの中でも今回のはかなり上位に好きな幕間。毎度幕間がこの作品のバランスを綺麗にしてるとは思ってたけど。
真白が危機感を持つにはもう十二分過ぎる幕間。
文字だけでここまでの見せられるの凄いわ。クッソ忙しそうだけどもう一回だけエロゲやってくんね?(
”友達の妹”という究極の関係
「お姉ちゃんの友達ってことは、大星君にとって私は『友達の妹』でしょ?」
(中略)
「……って、いやいや。意味わからん。友達の妹だと何が好都合なんだよ」
「お姉ちゃん、っていう共通の大切な人を介した関係だからこそうまくいくこともあると思うの。付き合っていく上での相談相手としてどちらにも肩入れしすぎず、お姉ちゃんがバランスよく助けてくれるし。結婚するなら、相手方の家族によく知ってる人が最低でも一人いる環境って有利だと思うんだよね。ほら、親戚トラブルのリスクが下がるでしょ」
「結婚を前提にしてる!?」
「それに、仮に玉指ししても、永遠に関係が断ち切られたりしないから」
(中略)
友達の妹ってやつは……仮に俺とそいつの関係がどうなったところで、友達との関係が続く以上は、変わらず友達の妹であり続ける。
だからこそ究極的に都合がよくて――。
どこまで行っても切れない関係が故に、勘違いで距離感をバグらせるのが怖いんだ。
p304-305
翠はウザくは無いと思うが、友達の妹に該当する。
そして、これは『友達の妹が俺にだけウザい』において、なぜ『友達の妹』というものを設定に使ったのか?という所の答え合わせをしているとも言える。
友達の妹というポジション、非常に絶妙で究極の関係性なのかもしれない。
血縁関係で縛られないという所では、幼馴染とかもある訳ですが、それよりもややこしいと言えばややこしく、距離感が中途半端と言えば中途半端という。
幼馴染であれば、昔の事云々で回せるけどそうじゃない部分が友達の妹にはあって。
この中途半端さも、明照にアクセルを踏ませない要因だったのかもしれない。
まぁそれにしてもアクセル踏ま無さすぎですけどね。
というかこういう答え合わせもするの?
えっ、いもウザってそれほどもう長く続かなかったりする?(2回目)
翠の気持ちをQ.E.D
「大星君!!私はいまから、これまでの人生で一番難しい問題を解きます!」
「……へ?」
(中略)
「私の感情をM、一般に恋愛感情と呼ばれる状態をLとします」
「お、おう」
「Lとは『顔を見てるとドキドキする』『近くにいるだけでキュンキュンする』『触られたりしたら汗だくになってヤバい』を足して、『一緒にいたら楽しい』『もっと相手のことを知りたい』そして何よりも『常に相手のことで頭の中がいっぱいで、ふとしたときにも意識してしまう』――の総和です」
「な、なるほど」
「そしてMに、大星君とコミュニケーションを取った時の数字を代入すると『ドキドキ』『キュンキュン』『汗だく』『楽しい』『知りたい』を全て満たしている上、実はふとしたときにも意識しちゃってるため、M=Lが成立します。つまり数学的帰納法により――」
「――私はあなたが大好きですッ! Q.E.D!!」
p306-307
翠の告白方法は、非常に翠らしいとも言えるロジックでの告白方法だった。
こういう所で端的にキャラクター性を出せるのは、これまでの積み重ねあってこそではある。
しかし、こう博識だからこそこういう事も理解してるんだろうけど、それがこういう一般的な恋愛感情と呼ばれるものを定義してるの面白いよね。
面白いって言っちゃいけないんだけど、翠は真剣だし。
「大星君の証明も、聞かせて」というセリフは非常に好きです。
こういうキャラクター性に寄ったものは一定安直とも言われそうですが、この翠はクソ真面目である事はもうアホほど見せられてきたので、これくらいで良いと言うか、こうでないと翠ではないのかなと。
明照の気持ちをQ.E.D
「答える前に翠部長に教えてほしい、頭のいいお前なら、きっと答えを知ってるんじゃないかと思って」
「……いいよ。すでに裸を晒してるのと同じだもん。もう何を訊かれても怖くない」
「恋愛感情を教えてほしい」
「え?」
「いま抱えてるこの感情が恋愛感情なのか、何なのか。俺は誰かを好きなのか、それともべつにそんな相手なんていないのか。正直、何もわからない。確信が持てないんだ。いろいろな奴にお節介を焼いて、人の人生に介入して。俺は好きだからそいつを助けてるのか?それとも恋愛とは別の感情なのか?人と関わりまくって、人生を高速で駆け抜けていくうちに、自分の感情の正体がよくわからなくなっちまったんだ」
p309
すぐに答えるのが正解と分かってはいる明照だが、答えが分からないので翠に質問をする。
人助けの為に奔走して問題を解決することは明照にとっては当然のことだが、それが何の感情なのか?
そこに恋愛感情がいるのか?
童貞である明照ではあるが、この定義に明確に悩んでいるのはなんというか拗らせているような気もする。
ただ、まぁ周りに人が多く、それに関わる人数が多いこともあり判別がつかないといえばそうなのかもしれない。
「わかった。大星君の好きな人を教えてあげる」
(中略)
彼女の手が頬に触れた。
(中略)
「チクリ、って、した?」
「え?」
「私に告白されて。ほっぺを触られて。……罪悪感。イケナイことをしてる。そう感じた?」
図星だった。
完全無欠に見透かされていた。
「その人だよ。いま、この光景を見られたくない人。いま、頭の中に浮かんだ顔。それこそが、大星君の好きな人」
「……。ああ……そう、だったのか……」
俺と翠がこうしている姿を万が一にも見られたくない相手――……。
そう言われて、俺の頭の中に。網膜の裏側に。
確かに浮かび上がってくる顔があった。
そしてそいつが俺の好きな人なんだと突きつけられたら、抵抗する気も言い訳する気も起きなくて、ただただ、ああそうか、そうだったのかと、不思議とすっと胸に落ちた。
「……。その様子だと、私じゃなかったみたいだね」
「……………。悪い」
p310-311
翠が明照の好きな人をQ.E.Dするというなんともまあ。
いい表現だと思います。
しかし、ここで『明照の好きな人が明照の中で確定する』とは思いませんでしたね。
勿論明記されていませんが、これは一体誰なのか。
こんな終盤みたいな構成をされると、もうすぐいもウザ終わるのかなとか思ってしまいますが。
ただ明照の事なので「そうじゃな~い!!!」ってずっこける可能性もなくはないので油断ができませんね()
でも”そいつ”という言い方を真白とかにはしない気はするので、結局彩羽なような気もします。
翠は玉砕な訳だけど、影石翠の本気の勝負によって、色々な事が大きく動いてくる。
次の段階に確実に入ったと言える気がします。
そして、ここから最後まで一度も明照の視点の話は出てきません。
明照が何を思うのか。そこは語られないままこの巻は後は他のキャラ視点しかありません。
ただただ真っ直ぐ過ぎる女、影石翠は双方に呪いをかけた
今日。あのとき。あの瞬間。大星君も恋愛の呪いにかかったに違いない。
《5階同盟》の目標のためだけに頑張れば、それだけで幸せだったのに。
それ以外の道も、見つけてしまった。
大星君はいつか、私と同じような目に遭うんだ。
(中略)
――なんでこのタイミングなんだろう?
大星君の前では耐えられた。ホテルの共用トイレに飛び込んで、個室の中に閉じこもってもまだ耐えられた。
それなのに演劇部の皆のメッセージを読んだ瞬間――……。
「うっ、うっ……あぁ……」
せき止められていたものが急に決壊した。
p318
安心できる空間だと色々なものが出てきてしまうもの。
しかし、これを呪いという表現をするのは面白い。
いつか大星君も同じような目に遭うんだと。
明照は最低もうひとりは泣かせることになる。それが選択するという事。
その日は近いのかどうか。
しかし、本当に終盤だったりする、このラノベ…
何も知らない小日向彩羽さん
……ゼロ、ですよね?
真白先輩の猛烈アピールで落とされたり、旅行出発前には影も形もなかったダークホースが突然現れて好き放題にヒロイン面してセンパイの心をシューティング☆しちゃったりしてませんよね?
p322
してたよ彩羽さん(
という事で京都に彩羽登場。
ここから海月さんに世界を見せてもらう訳ですが。
ママにどう誤魔化すのかとか、やっぱりママも昔演技の仕事を…?とか色々と次に向けての話が進みだしている。
彩羽は彩羽なりに成長して《5階同盟》に貢献してみせるという事だが。
この辺りは次巻どうなるかですね。
真白、全てを賭ける
「お父さん――ううん、月ノ森社長に、お願いがあるの」
『……ほう。社長としての私に、か。いいだろう、言ってみたまえ』
「アキと別れさせて」
『何だって……?』
p329
社長定例…しかし真白。
と思ったらコレ。根底が崩れる時がやってきた。
これは大きな事象でしかない。
「真白との関係があるせいで、アキは自由な恋愛を縛られてる。その束縛を解いてあげてほしい」
『なるほどね。明照君と本当の恋人同士になりたいから、こんな無茶な話をしているわけか』
「それだけじゃない」
『……では、なぜだい?』
なぜ?なんて訊かれても、誰かに理解してもらえる論理的な理由なんかない。
真白が、そうすべきだと思ったからだ。
偽の恋人関係なんて、そんな地位に甘んじてちゃ駄目だと、翠部長の目を見て思った。
彩羽ちゃんだけでも強敵なのに。
アキの周りにいる女の子たちは、皆それぞれ秀でて強い。
偽りの安全地帯でぬくぬくと嘘の幸せを吸っているだけじゃ絶対に駄目なんだ。
……さっき、翠部長がトイレで泣いているのを聞いてしまった。月ノ森社長に電話する場所を探すために歩き回っていたら、偶然。
きっとアキに告白して、そして玉砕したんだと思う。
あそこまでの覚悟と強さで以って告白した翠部長に、ニセ彼女なんて甘えた立場を維持したまま、もう一度友達の顔で会える気がしなかったんだ。
今度また胸を張って翠部長と顔を合わせるために、そう、これは。
「真白なりのケジメ。ただ、それだけ」
p331-332
翠の強さと真っ直ぐさを目の当たりにした真白は、自分のポジションが甘えだと思ったというのは、まぁそう思っても仕方ないよねと。
あまりにも翠が真っ直ぐにぶつかっていった、これが本当に強いインパクトで、幕間の所を含めると翠という人間に圧倒されたと言っていい真白。
こちらも、覚悟を決めたということでしょう。
「巻貝なまこの代表作、『白雪姫の復讐教室』をあげる」
真白は、用意していた条件を突きつけた。
『なんだって……!?』
『ハニプレ主幹事でのアニメ化とゲーム化を進めるよう、カナリアさんに進言する』
(中略)
それほどのヒットを収めながらも漫画やアニメや実写といったメディアミックスには一切興味を示さず断り続けている――……。
(中略)
「ハニプレもIP獲得のために交渉してるよね?カナリアさんとも何度か会って話してるんでしょ」
『……。この前も彼女の別荘にまで押しかけて頼み込んだよ。断られてしまったからね』
「露出が増えて、有名になりすぎるのが怖かった。だからUZA文庫も他のいろんな大人たちも真白の作品を欲しがっているのを知りながら、逃げ続けてきたの。でも……もう、逃げるのはやめたから」
『……大人をナメてもらっちゃあ困るよ、真白。メディアミックスは君にとっても利益のあることだ。その時点で対等。追加で《5階同盟》を優遇してやるギリは無いと思うがね?』
「あ、そう。そういう交渉をするんだ。でもね、月ノ森社長、無駄だよ。――詰みだから」
『何?』
「真白ね、天地堂の社長の連絡先を持ってるの。意味、わかるよね」
『まさか、脅す気か!?』
p333-335
あらゆる手を全て使う。
目的のためなら手段を選ばない。
こんな真白見たこと無い。
しかしそれだけの事を、翠に見せつけられてから準備し、有利に交渉を進め、天地堂とハニプレのエンタメ企業の両翼というものまで全て利用し、自分の作品を利用してまで、《5階同盟》の優遇はステイさせ、偽恋人を解除する。
その覚悟は、並大抵のものではないし、それだけの覚悟と決断を影石翠という存在がさせたとも言えます。
LIMEに表示された宛て先の名前は、天地乙羽。
「もしもし、乙羽さんですか?あの、以前お誘いいただいた、天地堂オフィスの見学についてなんですけど――」
アキの心を真白に向けさせるためなら、ハニプレだろうが、天地堂だろうが、何もかも利用してやるんだ。
「明日、アキと一緒に行きます」
p337-338
全てを利用して、真白は明照を取りに行く。
これまで、いもウザはこの最後に大きな”転”を置いてきたと思う。
しかし、今回の転は話の根底に関わる、大きすぎる転。
偽恋人という関係はこの『いもウザ』開始時からの前提とも言えるもの。
それがついに破棄される時、どうなってしまうのか。
明照は、一人の好きな人をどうやら確定させた。
この瞬間、恐らく”負けヒロイン”(こういう言い方は好きでは本当に無いが)が確定してしまった可能性もある。
…いやいもウザ終わるの?もう終わるの?()
総評
前の巻の総評の最初は、こういうふうに始めた。
今回はヒロイン二人の母親が登場した訳だが、 ラブコメという所は一歩も進まなかったが、それでも非常に面白い話であったように思う。
作者様からダイマされて全巻購入した『 #友達の妹が俺にだけウザい 7巻』レビュー・感想。 - 声オタおにじくんの声学審問H!
今回は、もう何歩進んだのか分からんくらい色々進んだ。
とにかく内容が濃い。
音井さんの匂わせ、乙馬と明照の過去という所でもある意味で十分な情報であり、今後に関わってきそうな内容だった。
しかし、そこの上に今回のメインである翠の真っ直ぐで、ポリシーを貫いた勝負と、彼女が本質、彼女がどういう人間なのかを示した巻でもあった。
彼女の覚悟と、まっすぐな勝負、そしてその玉砕はこの『いもウザ』という話の根底を動かすゴングとなったとも言えよう。
明照は好きな人を確定させたっぽい。それでどうするのか、明照の決断はこの後によってくることになるだろう。
真白はハニプレも天地堂も使って、明照を落とそうとしている。しかしそこには乙羽という爆弾が存在している。しかし、もう手段を選ばない真白に迷いはないだろう。
彩羽は海月の元で成長をしようとしている。こちらはこちらで《5階同盟》の為に。
ただ、彩羽は今何が起きているのかを知らない。
今、天変地異級のこと起きてて、君めっちゃ遅れ取ってるけど、知らない。
それぞれ、色々と変化があり、ここに両母親が絡んでくる。
前の巻で登場した母親が、ここでまた何かを起こすことは間違いない。
7巻でカードを揃えて、8巻で状況を変えて、9巻で使う時が来た。
時はやってきたのかもしれない。この修学旅行が終わる時、それぞれにどのような変化があるのか。
カードも揃ってるし、場も用意された感がある。
運命は信じられない速さで転がっていくことだろう。
……しかし、まぁこの作品。割と色々と根底を弄り始めたんだけど、これ10巻ちょいで完結しても何も驚かないぞ?
けっこうびっくりだね、ここまで進むとは思わなかった。
まあまだ色々と残ってはいるし、そんなあっさり終わることはない気もするけど、どうなんだろう…
あと、やっぱりこの作品幕間が重要。このへんの良さ、アニメでも引き継いで欲しい。
ただ尺が限られている中での幕間、そして伏線のキレイな置き方と回収。この辺りを維持するのはきっと大変。
でも普通のラブコメだけではないのはこういう所だから、ここがいもウザの強みだと思うから、本当にお願いだぞ…と思いながらまあ来年とかの話だろうし、もうちょっと気楽にこっちは待ちつつ。
いや~、8巻情報量がやばすぎる。ここまで動くとは。
毎度上手いなあと思うし、読んでて楽しいよね。キャラが増えてきてもその辺りが変わってないのも良い。
あと今回、真ん中で明照へのヘイトが高まったけど、終わってみればコイツも色々あったからこうなっちゃったのかもなあとかで、今までで一番明照に対して優しい目で見れた巻だった気がします。
やっぱり明照の成長物語的な所もあるよ。
…いや25000文字!クソ長くて、あと引用が長めで重ね重ね申し訳ない!
でも、こうじゃないとね、伝わらないかなって思ったから。いやホントすまん!
ドラマCDの感想も書こうと思ってたんだけど…いや、とりあえず翠が近藤玲奈はいい感じ。
この感じで良いと思うわ、翠の性質にしっかりと合わせてきてる。もしかしたらここから更に良くなる可能性もあるし。真面目気質と暴走気質両方できてる。(まぁ近藤当人は暴走なのだが基本)
こうなってくると、本当に音井さんの声優がマジで大事。いや乙羽さんも大事だけど。
でもとりあえず音井さん。ここさえ間違えなければとりあえず大丈夫。いつ出るんだろう。
以上。