声オタおにじくんの声学審問H!

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過激派で有名な(?)おにじさんが、声優の事を語ったり。

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おすすめ記事

作者様からダイマされて全巻購入した『 #友達の妹が俺にだけウザい 9巻』レビュー・感想。

おにじと申します。

 

今回は、毎度おなじみ、いもウザ感想です。

今回はなんとなく通常版です(ドラマCDを聴く頻度と、通常版と豪華版の価格差のバランスを考えてしまったらしい)

 

まぁどっちでもちゃんと感想はめっちゃちゃんと書こうとするんですけども。(8巻ほど長くは書かない…どんどん長くなると筆者の負担がエグくなるから軽めに書かないと…)

あと、相変わらず説明するために、内容を一部引用する形を取らせていただいております。

特に後半、引用範囲がどうしてもでかくなるので良いのかなと毎度思います(

f:id:oniji:20220121132323j:plain

前置き(いつもの)

 

このブログ数少ないシリーズとなっている『いもウザ感想シリーズ』は、

筆者がエロゲである『神様のような君へ』(2020 / CUBE)の霧香ルートをプレイして、これは良いものを読んだぞとなり、

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これを書いているのが三河ごーすと先生(いもウザ書いている原作者様)で、ラノベ書いておられるのは知っていて、それで目についた…というか友人から勧められたのが『友達の妹が俺にだけウザい』である。

でもって、1巻買うかあと思っていたら、三河ごーすと先生自ら

「読者ではなく作者ですが4巻まで出てるので是非4巻まで一気読みしてください。(ダイレクト営業)」というリプを貰って、結局当時の全巻を購入、以降新規巻が出ると感想を出し続けているという感じである。

 

↓過去記事

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『神様のような君へ』はエンターグラムよりCS版が発売中。

ぼちぼち逆移植されると思ってるんだけどどうなの?(+Hを期待したい所)

てかごーすと先生またエロゲでシナリオ書いていただけません?てかCUBE君今年忙しいみたいだし書いてたりしません?(

 

ノルマ消化です、感想書きます(三河ごーすと先生を紹介する際に義妹生活じゃなくて神様のような君へを宣伝するのお前くらいだろ)

 

雑感

別れるという選択

「真白と別れてほしいの」

p12

というこれまでの前提を大きく壊す所から始まるこの9巻。

8巻における、翠のまっすぐな明照へのアプローチは、真白を大きく動かすきっかけとなる訳である。

真白は、正々堂々と彩羽とぶつかるため、守られていた要素を全部バージしていく事になるわけで。

真正面が、明照を取るためには手段を選ばなくなってくる真白の一つのけじめな訳だが、これ普通に明照がクッソ動揺しているのが割とウケる。

 

「わー、すごいね、影石さん。そんなに揚げ物が好きだったなんて知らなかったよ」

「え……あ、ほんとだ……。どうしてこんな脳の回転に悪いものばっかり……。破滅願望でも芽生えたのかな……あは、あははは……」

堂々と積み上がった茶色の山を前に、ハイライトの消えた目を開いたまま笑う翠。

その様子を見てから、自分の目の前の更に目線を戻す。

完  全  一  致  ☆

負けず劣らず茶色だった。

p21

もう9巻ともなってくると、普通に明照の効率厨要素がボロボロになっていってるっていう。

いや、最初から効率厨と自称しながらの所はあったんだけど、ただの人間にだいぶなってきた感じがあるよね。

まぁ明照が人間になってきたからこそ、色々と進展してるとも言えるし。

別れたけど、一緒に行動するっていう所とかに、気づけるほどではないけどね流石に(まぁこれを明照に求めるのは酷だからね)

 

 

音井さんという存在

「小日向の才能を見抜いたってのは、ほんとかー?」

「女優の資質は女優が一番理解してる。してます。疑いの余地ある、ありますか?」

「んで、自分なら小日向の才能を伸ばして育てられる、ってー……そー申し出たそうじゃないかー」

「育つ環境なく、皆無、見えました。あまりにも可哀想、もったいないのでワタシ引き受けたく思ったのです。それ以上、以下、どちらもありません」

ピクリ、と音井さんの眉が動いた。

表情に乏しいこの人には珍しく、あきらかに海月さんの言葉に苛立ちを覚えているようで。

「確かに環境としては不十分かもなー。だが声の演技については、音響監督やってるウチでもある程度は育てられるんだわー」

「OH。声優の世界はそういう側面もある、ありますか。それは一理ある、ありますね」

「一流の人間てやつは、自分だけの才能を万人に成立するとか思い込んで、間違った指導をして潰してしまうことも多々あるんでなー。一流の女優の気まぐれで、小日向に変な癖を植え付けられちゃ困るんよなー」

p40-42

音井さんって、割と彩羽の保護者的なポジションでもあると思うんですけども。

色々と謎の面も多い音井さんだけど、ここまで色々と突っ込んだ感じになってるのは多分初めてなんじゃない?くらいの突っ込みようというか、明らかな苛立ちを感じるんだけども。

まぁ三河先生が一番好きなキャラクターとしても有名な音井さんだけど、そろそろこの辺の掘り下げ要素も来そうだなと感じる見せ方を感じるというか。

こういうウォーミングアップを複数行った上で、実際の掘り下げに入ることが多いと思うので、そのフェーズには音井さんもいよいよ入ってきたかなと。(この人最初からいるのにずっと謎の部分が多い人だからねw)

 

野球とかサッカーでも、一流の選手が一流の指導者になるとは限らないとか言いますけど、やっぱりそういう自分がやるのと、誰かに教えるっていうのはぜんぜん違うことだからなとは思う。

あと、ここでは女優と声優の違いっていうのも存在する感じがあるというか。

元々は俳優女優の所からの派生で声優というものができていったという成り立ち的にも、演じるというポイントでも同じように思えるこの2つだけど、割と最近はお互いに求められている事のズレっていうのは大きくなっていると筆者は思っている。

そういう所含めて、使う筋肉が微妙に違うというか、別の物になりつつあるよなあという感じは実際あると思う。

 

まぁ海月との相性がよろしくはなさそうな音井さんですが、ちゃんと海月の女優としての凄さというのを捕られているのも良い所かなと。

ブロードウェイ女優が本業の海月が映画であっても強い。求められる事が微妙に異なるのに強い。そして華があると。(いもウザの中での演技というのはかなり細分化されている感じがこのパートだけでも感じられる。筆者の感覚に近い所がありありがたい所ではある)

場所が変わっても華があり続ける。っていうのもちょっとおもしろい。

しかしテレビに5年前まで出ててYoutubeに来たらオーラ無くなったって誰の事言ってるんだろう。宮迫?梶原?(宮迫の方がニュアンス的には正しい?)

 

海月は海月で弟子になるにあたって、サイレントに彩羽を試していたりと、最初に出てきた時からの印象から変わらないと言うか、この人は色々と対象に対して試練を与えて、それを乗り越えさせることで成長を促すタイプなんですよね。

必要以上に助けないというか、自分の力で上がってこい、上がってこれる力はあるだろうみたいな感じ。

そういう所に対して、彩羽との相性はどうなんだろう?という所はあります。

彩羽ってアレで割と繊細というか、あっさり折れそうな所があるので、そこを主に明照がカバーすることで今がある感じがするし。

 

しかしこう、音井さんは音井さんで配役むずそう。この人、ちょこちょこ年相応が垣間見える必要があるし、多分これから音井さん当番回が存在するはずだから、そこでまた要求されることが跳ね上がりそうだと思ってる。誰がすんだろうなあ…

 

 

カナリアさんの災難

「う、嘘だチュン……」

ひとつひとつあらためていくまでもなかった。

だって、件名に『白雪姫の復習教室』が含まれているメールの件数が異常値だったから。

(中略)

そして筆頭は、月ノ森真琴――ハニープレイスワークスの月ノ森社長からの、一通。

完全に決まってる。

私がまったく関与しないところで何もかもが進行している……ッ!

月ノ森社長からのメールに書かれていたのは――……、

 

『真白がアニメ化の許諾をしてくれたよ。もちろん幹事はうちだ。僕たちの新しい夜に乾杯☆』

 

「うぜえええええええええええ‼ ……っと。チュンチュン」

p70

カナリアさん、何も関与していない所で勝手にアニメ化が決まってクッソ災難で草。

真白そういえばカナリアに相談もクソもしてなかったわ。

というか最初エヴァの下りやってて笑う。こういう露骨なネタがたまに挟まるの好きよ。

 

『もしもし。なに、カナリアさん』

「なに、じゃないチュン! アニメ化勝手に決めたってどういうことナノ⁉」

『ああ、あれね。大丈夫、大丈夫』

「大丈夫じゃないが⁉」

『えっ。でもカナリアさん有能だよね』

「YESかNOって訊かれたらそれはYES! 出版業界、古今東西、私レベルの有能編集、もし他にいるんなら。注目、戦友、なっちゃうチュン♪」

『てことで、あとはよろ。有能なら余裕でしょ』

「いやいやいやいやいやその理屈はおかしいチュン! いくらなんでも勝手とぶん投げが過ぎるヨネ⁉ せめてもうすこし段取りを――」

p71-72

真白めちゃくちゃカナリアの扱いが雑なの笑う。 

まぁ真白これから明照と天地堂行くからね、仕方ないね(

あのキャラでカナリアってめちゃくちゃ苦労人ポジなのが結構面白い。この人の素とかが垣間見えたりするのもカナリアのキャラとしての魅力なんだろうなって所は存在する。

クソデカ案件なのに全く人とか揃ってないの可哀想w

 

というか、8巻の時に「いもウザ、終わるんか?」みたいな事を言ったけども、この『白雪姫の復習教室』とか、それこそ『黒山羊』とかの案件が普通に残ってるわけで、多分これまでの最初の色々な障壁とか設定とかは近々大半が回収されたりされなかったりして、軸がこっちのアニメ化とか、コンシューマ化とかの方に移っていくんだろうなとかこのへんで思った。

こう、そろそろ第一部が終わって、第二部が始まるぞみたいな感じというか。

最初に出てきていた設定はかなり近々で回収されそうな気はするって感じ?

 

カナリアも誰がするんだろうなあ、このキャラもただチュンチュンしてれば良いわけじゃないからさあ。

そういう垣間見える所とかもちゃんとやってくれないとカナリアの魅力を引き出しきれているとは言えないわけじゃん?まぁそもそもカナリアが登場する所までアニメで行けるの?っていうのはあるけど。

 

 

乙羽さん登場早いんすよ・真白とのデート(?)

「ようこそ、天地堂エターナルランドへ」

「…………」

「あらあら、可愛いカップルをお迎えできてうれしいわ~。 うふふ♪」

(中略)

「真白。ちょっとレベルを上げに帰っていいか?」

「待って」

p78-79

実際問題ここで乙羽は早いのは間違いなく早い。

逆にこうなると、意外と乙羽との案件の解決が早かったりするんかねえ?

ここでも乙羽が声めちゃ変えられる事が出てくるわけだけど、まぁこの辺に関してはもう明らかに乙羽は芸能の道に進んでいたのは明らかだし、それでなんかあったから彩羽をそっちに向かわせないようにしようとしてるのも見えてるわけで、まぁここは確認みたいなものですね。

まぁ一応ここでは登場はするけど、見せ乙羽みたいなもんですよね(見せ大谷みたいな言い方をするな)

だって彩羽と乙羽が同じ空間にいるんですよ?会わないわけないじゃないですか。

 

――ちなみに、仕切っていたのは真白だ。

ふだんならこの手の効率的な行動は俺主導でやるはずなのに、今回ばかりはことごとく真白にリードされてしまっていた。

自分でも笑えてくるくらいに今日の俺はポンコツで、細かいことに何も頭が働かず、ましろに言われるがままに引っ張られていくだけだった。

p96

8巻で分かったことですけど、そもそも明照はこの効率厨的なキャラクター性は乙馬と友達になるためにこの方向性になろうとした…という所から始まっているまであると、今の所は解釈していいと思っているんだが。

まぁ芯からそういうわけじゃない、というのは今後的に何か効いてきたりするんだろうか?

 

例えば、今の明照はラブコメ的に言えば、明らかにちゃんと気づくことが出来る要素は増えてきているし、好き云々の話も出てきている。

ただ、そもそもこうなったのは乙馬の為というのは、今後的に尾を引いたりしないだろうか?

間違いなく彩羽と真白へは近づいているけど、それは乙馬から実質的には離れていっているとも思える。

乙馬の掘り下げが前巻だけで終わるとは思えない気がしてくるわけですよこうなるとね。

まぁこういうの考えるのも楽しいよね。

 

真白は真白で完全になんか作業してる感じすらあるし。

こっちはこっちで、なんというか、これだって踏ん切りがついた時のパワーが強いと言うか、手段を選ばないっていう要素がこの場面でも現れててよかったなって思う。

 

「わかったぞ! ただでさえ流動性の低い女子トイレなのに客層が女性に偏ってるTEL、下手に食事をして尿意に襲われたら困るから食事をしたくなかったのか。どうだ真白、これが正解じゃないか⁉」

「…………」

(中略)

「大丈夫、真白のトイレが長くても俺は待てる。気にせずメシを食べようぜ。なっ!」

「アキ。ちょっと黙って」

「あっ、はい」

p100-101

しかしこう、明照が壊れていくの、おもろいな。

こいつ、そもそも好きじゃないんだけど、こいつおもろくなってるんだよな最初より。

まぁ最初からそうだったんだけど、究極系の不器用みたいな所が隠せなくなってきてるというか。

どういう表現が一番正しいんだろうなあ…

 

 

翠、大変そうだなあ

私は確信した。

「大星君――月ノ森さんの顔を、ずっと見つめてる」

見惚れてるのか、何なのか。どうしてそこまで視線を座れずにいられないのか、彼の本心こそ私に知る術もないけれど。

でもいまこの瞬間、大星君のすべての感情は月ノ森さんが独占している――それだけは確かだった。

大星君の好きな人は月ノ森真白――。きっと、これが正解だ。どんな問題も解き明かせる私がそう結論づけたんだから、間違いない。

(中略)

「……飲みたい」

「え?」

「何もかも忘れられるぐらいに。浴びるほど。飲みまくりたいっ」

p109-110

翠って、将来的に酒豪にならないかめちゃくちゃ心配になるな?

この人も普通にめちゃダメージ受けてるわけだけど、そこで飲みたいになるのは、やっぱり菫がお姉ちゃんって事を考えると、遺伝なのかもしれないw

 

しかしこう、判断がめっちゃ早いと言うか、すぐに真白が本命なんだってなると、今後ややこしくならんか?とか思ったり。

結局明照がどっちが本命なのかよく分からないところはあるしね。

翠っていうキャラクター、見てて面白いんよねえ。

明確にフラれたという存在になった翠が、今後どういう感じで絡んでくるのか?

 

え~、近藤玲奈はぴったりだと思うよ。

 

 

海月さんと音井さん

「地雷ワードはトイレ。下の名前に関係ありますね」

「……あ?」

p120

海月と音井さんの相性が良くないことを端的に示す場面ですねw

そんでもって、あらゆる事を大きく動かす上で、海月というキャラクターは必要性が高いのではないか?という所も感じる所ではありますね。

これによって、ず~っとよく分からなかった音井さんの地雷ワードに関することにおいての大きな公式的な進展があったわけですし。

実際、ここで海月が言うように、頑なに隠している音井さんの下の名前との関連性という所が一番自然な考えなわけですけども。

まぁこういう所見てても、音井さんの当番回みたいなものは近い感じしますよねえ。

 

 

彩羽のターン

「ダメだーっ! センパイの顔見るの久しぶりすぎて、無駄にカッコよく見える‼ こんなにドキドキさせられるの悔しすぎて死ねるんですけどーっ!」

p158

真白のホラーでの暴走を経て、彩羽と明照が出会うこととなり、ここから彩羽のターンが行われるわけだが。

普通に彩羽がストレートに明照を数日ぶりに見てかっこいいってなってるの、彩羽の明照への矢印がめちゃくちゃデカイ所が垣間見える気がする。

久しぶりのウザい彩羽な訳で、調子という所が戻ってくるといつもどおりになっていくわけですけども。

このお化け屋敷抜けるまでの2人クソ仲いいんだよなあ、単純に。

なんというか、こう彩羽ってかまってもらってちゃんと調子が出るみたいな所もあるし。

まぁただ怖いだけじゃなくて完全にカップルとしての嫉妬で動いてくるのはこの作品っぽいなあとも思うかなw

彩羽がこのスタンスでいられるのって本当に少ないので、そういう所含めて一番彩羽が明照が欠けるとヤバそうっていう言い方も出来る。これは毎度の事だけど。

 

 

翠、大変そうだなあ②

「――もう一杯!」

「み、翠部長。それぐらいにしとこうよ」

p182

でもいまこの瞬間、大星君のすべての感情は彩羽ちゃんが独占している――それだけは確かだった。

 

大星君の好きな人は小日向彩羽――。きっと、これが正解だ。どんな問題も解き明かせる、100点しか取れない私がそう結論づけたんだから、間違いない。

 

………………………。

…………。

え、いや、どっち?

月ノ森さんと、彩羽ちゃん。どっちに対しての反応も滅茶苦茶本命っぽいんだけど⁉

なんで私の告白を断った翌日に、こんな本命が曖昧な状態を作り出してるんだあの男。

ていうか、なんであのふたりは本命の可能性がふんわり残されてる雰囲気なのに、私だけが確定でフラれたわけ⁉

p189

翠が可哀想になってきたけど、普通になんというか笑えちゃう所も存在するのがなんかおもしろいというかなんというか。

酒は飲んでないんだけど、頭良いからこそ落ちたときとか理解できない時の行動がやばいというかなんというか。

これ、修学旅行を経ての明照への態度とかがどうなるのかがちょっとおもしろいというか。

さっきまでの感じだったら、割と離れていく可能性も一応あったんだろうけど、こうなってくるとなんだアイツ⁉ってなってるからめっちゃ絡んできそうな気もw

 

 

正々堂々

「別れたから。ニセの恋人関係、終了」

「えっ」

硬直する彩羽。

「別れたから」

繰り返す真白。

「えっ。えっ。えっ?」

まだ自体を飲み込めずに、目をパチパチさせる彩羽。

「別れたから」

「えっ……ええーっ⁉ 別れたんですかーーッ⁉」

(中略)

「アキのことは好きなままだけど。……どうせいつかホントの恋人になるし、ニセモノの関係はいらない」

「わかるような、わからないような。好きなら、フリでも彼女の位置にいたほうが有利な気がしますけど」

「肉を切らせて骨を断つ」

「なるほど……?」

あくまでも冷静に言う真白と、不思議そうに目を細める彩羽。

p211-212

真白による、ある意味での第二の宣戦布告的な所もあるこの場面。

真白は色々な保険とかを外して真っ直ぐ明照にアタックをする準備が整いつつある感じなのに対して、それに対しての彩羽の反応はそれほど大きな事ではないというか。

まぁこれ演技なのかもしれないけど、単純に彩羽がこの事によってどうなるのかというのをちゃんと理解していない可能性っていうのもある気もする。

 

こういう言い方が正しいのか分からないけど、今この瞬間の2人の経験値っていうところは真白が結構リード出来ているような気がするんですよね。

翠の事があったことによって、大きく真白の方は動いたわけで、それを彩羽は知らないわけですから。

確かにここで明照と合流していつものノリはやりましたし、その上でお互いにドギマギしている所もあったから、進んでないわけではないんだけど。

なんというかこの巻、彩羽はある意味でいつも通りではあるんだけど、真白との対比とかもあるせいなのか、彩羽がちょっと青く見えるんですよね。

未熟というかなんというか。彩羽っていつもの調子で誤魔化せてるんだけど、やっぱり周りが存在してなんとか立ってる要素も多いとは思うので、そういう所が見える気がする。

まぁこれは、恐らく行われるであろう乙羽との遭遇において、今の彩羽では戦えないんじゃないの?っていう筆者の考えがそもそも根底にあるせいな気はするけど(彩羽が乗り越える為の要素、経験値が不足しているように感じるから)

 

 

真白となまこ先生

「信じられないのも仕方ないけど、受け入れろよ。俺が巻貝なまこなんだよ、ばーか」

『信じられないのも仕方ないけど、受け入れろよ。俺が巻貝なまこなんだよ、ばーか』

p234

遂に真白がなまこ先生である事を明照に告白する!というめちゃくちゃ大きな場面が登場。

最初は冗談だと思っていた明照も流石にこれで理解すると言うか、今の時代であればこういうのは普通にある話っていうのも出てくるのとかも、この作品の良い所というか。

真白のこのず~っとこちら側は分かってたけど、キャラクターには明かされていなかった巻貝なまこである事のバラし方というのは、ある意味で難しい所もあるように思うんですよね。

その上で、このバラし方がやっぱり最適なんだなとかは思う。

だってずっと使われてきた連絡手段を経由することがやっぱり一番な訳で。

こうなることに関して一定の予想は出来ていた(いつどのタイミングでやるかは分からないにしても、明かし方として一番映えるのはこれだと思った)けど、やっぱりいざこうされるとやっぱこれだねってなる(ロッテのトッポではない)

差出人:巻貝なまこ(作家)

件名:ファンレターに記載されていた内容について

 

大星明照様

 

はじめまして、UZA文庫で本を出版させていただいている、作家の巻貝なまこと申します。

ファンレターの中に記載されていた内容と連絡先を拝見し、ご連絡しました。

まずはファンレターありがとうございます。主人公や登場人物の感性を、あなたに強く共感してもらえたこと、とても嬉しく、励みになりました。小説を書き続けるかどうか悩んだ時期もありましたが、おかげで前向きな気持ちになれました、本当にありがとう。

さて、前置きが長くなりましたが、インディーズゲーム制作のお手伝い、私でよければ是非やらせてください。

小説の経験はあるもののゲームのシナリオは初挑戦で、いろいろと手探りになるかと思いますが……お役に立てるように頑張りますので、長い目でお付き合いいただけると嬉しいです。

p238

 

主人公の女の子――の、すぐ傍に常に寄り添う男子キャラに、ものすごく共感してしまって。

何故なら、俺がそれまでの人生で大切にしてたこととか――。

これから、俺がやろうとしてることとか――。

それらを全部まるごと肯定してもらえたような気がして、救われた気持ちになった。

ちょうど、悩んでいた時期だったから。

オズの人生のために行動を起こそうとしている自分は本当に正しいのか?

ただのお節介じゃないのか?

盛大な地獄への片道切符を使おうとしてしまっているんじゃないだろうか?

……と、そういう種類の不安に取り憑かれていた俺にとって、俺を全肯定してくれるような内容に心揺さぶられないわけがなかったのだ。

断言できる。

あの日、あのとき、あの文章を読んだ、あの瞬間に――。

 

巻貝なまこという作家に、俺は恋をしてしまってたんだ。

p.240

まず、そもそもプロ作家を高校1年がやることに誘うっていう時点でめちゃくちゃ狂ってんだけども。

でも、この時の明照っていうのは恐らくやらなければいけないっていうのになってる時の明照だから、まぁこういうムーブするんだよね。

明照ってここ!っていうのが明確になった時の滅茶苦茶さがエグいというか、結果のために手段を選ばない所があると思うので。

 

そんな所で、やっぱり不安とかもある中で、巻貝なまこの文章に救われたという所でしょうかね。

自分の今までのこととか、これからの事に対して、肯定してくれる上に、背中を押してくれるような文章とか、理想的ですよね、踏み出すのが怖い時とか、今までのことが本当に正しいのかとか。

『恋をする』という表現は、男だと思っていた巻貝なまこには適用されなかったけど、『恋をしてしまってたんだ』って書くのは、巻貝なまこが真白って分かったからなんだろうなって思う。

ここで、尚の事明照の好きという気持ちに関してややこしさが生まれたような気もするけど…w

 

「正体が真白だってバレたら、幻滅されるんじゃないかって思ったの。だって、ズルだもん」

「ズル……?」

「巻貝なまこ作品に共感したんだよね?再開してすぐの頃、映画館で、そう語ってくれたよね」

「ああ。本音だ」

(中略)

「それ、あたりまえなの。だって……真白から見た、アキのカッコいいところを詰め込んでたから」

「…………ッ」

それは、あまりにも当然の論理。

俺の心に深く突き刺さったのは、俺をよく知ってる人間が書いたから。

単純すぎて、ミステリーのどんでん返しに浸かったら読者から怒られかねない真実。

p242-243

この辺りとか、こうあまりにも当たり前なんだけど、こういう展開として使うと非常に面白いと言うか、話としての続き方と言えば良いのか、繋がり方と言えば良いのか。

世間は狭いってどうしても作品というものはなりがちだし、それは一種のお約束というか、そうなることが当然みたいな要素もある中で、しっかりと作品としての予定調和をしつつ、その上である意味で暴論的な理由であるところが好みだったりします。

 

「どうしても『黒山羊』を大きくしていかなきゃいけなかった。いろんな奴の人生を無責任に分不相応にも背負おうとして、もう駄目なんじゃないかって、潰れそうで、諦めかけてた……。巻貝先生に手を差し伸べてもらえなかったら、前に進めなかったかもしれないんだ」

「そう……なんだ……」

p245

今回の話って、見てると遂に過去が本当にちゃんと書かれそうだなっていう準備運動もしっかりしてるんですよね。

今までもちょこちょこ断片的には出てきたけど、ここまで明照が人の人生背負いまくってる根本的な理由とか、5階同盟における色々な明かされていない事って存在するわけでね。

あと、やっぱり人とは会わないと分からないこともあるっていうのは、図らずとも今の世の中にマッチした内容になりましたね(この作品はコロナ前から勿論出版されているので偶然ですけども)

 

「俺は、あの日……彩羽から大切なモノを奪っちまったんだ」

p253

でもって、やはり次は過去編なんだろうなと言う感じに。

明照は何を奪ったのか…!

と言いたいところだが、明照の場合『勝手に奪ったと思っている』可能性もあるので、どうでしょうね?

というか、仮に奪っていたとしてもそれを超えるものを彩羽に与えてるのが明照って感じもするしね。

 

 

彩羽さんはやはり繊細

「ノン。逃げては駄目、いけません」

「海月さん……⁉ で、でもっ」

「いい機会、チャンスあります。ハッキリ告げる断言、必要なときあります。彩羽ちゃんが、どうしたいのか。本当の気持ちを」

「……! もしかして今日、ママが来ることを――」

「ウイ。当然知ってる、知識ありました。あなたが殻破り、一歩踏み出せる場所を用意して、ワタシ、背中押す、押します」

「そんな……」

p263

まぁ乙羽と彩羽がかち合うことは当然の流れですけども。

でもって、やっぱり海月のキャラクター性というか、こういう育て方をしてきたというか、そういう人間であるという言い方が正しいのかな。

実際この方向性だからこそ、今の真白が形成されている要素は間違いなくある。

で、これを合ってるとか、間違ってるとか、そういう一概に言えるような事ではない。

 

でも、少なくとも彩羽にとっては正解ではない……というか、今の彩羽には正解じゃなかったというか。結局逃げちゃうので。

勿論、その要素として、彩羽の人の感性というのを機敏に感じる要素っていうのはあるとは思うし、そこが主題であるとは思うんだけども、この彩羽ってキャラクターって、いつも明照にウザいので割と隠せてるけど、割と異常なキャラ(言い方)というか、非常に不安定なキャラクターなんですよねやっぱり。

必要なものが足りていないというか。大きく舵を切った真白とは確実に今差があるように感じるし、この巻の言い方で言えばまだ経験値が足りてないというか。

いや、ず~っとそんな物は足りてないんだけど、それを明照が上手いことやって乗り越えてきた所も存在すると思うので。

声優というクリエイターポジションをやっている割には色々と未熟というか、それは境遇含め仕方ないんだけど、やっぱり彩羽、色々と乗り越える為にはこれまで放置してきた問題を一定解決、もしくは向き合わなければ、前進というものはないんじゃないかなという感じが改めてしますね。

 

 

音井さんは保護者

「やってくれたな、あんた」

「…………っ」

強い力で肩をつかまれて、思わず顔を歪めてしまいました。

目の前でワタシを睨みつけているのは、途中で合流してここまでついてきていた、修学旅行中の高校生。名前は確か音井さん。

さっきまで気の抜けた顔でクリームソーダを飲んでいたナマケモノ・ガールとは思えない、殺気立った気配。眼差し、鬼、軍人、殺し屋、大勢殺してきた鋭さ湛えています。

「追いかけんぞ。あんたも手伝え」

「え、ええ……。ワタシも心配、心遣い、します。迷子いけません」

p269

音井さんがこういう感じになるのってめちゃくちゃ珍しいというか。

明照と音井さんの関係性はなんか特殊感があるんですけど、彩羽と音井さんの関係は保護者って感じがするんですよね。

音井さんは音井さんなりに彩羽を制御していた部分も存在するし、そこで海月のやり方というのは正しくなかったわけだから(別にこのやり方が正しくないってことじゃなくて、彩羽には駄目だったっていう意味で)

でも、乙羽って多分ラスボスって感じでもない気もする。あの人そういう所除けば普通だし。考えがあってやってることだろうし。

その考えを解き明かした上で、どうやって首を縦に振らせるか。

それがある意味での第一部においての終結点なのでは?という感じが出てきたか?

 

「小日向はな、人の気持ちがわかりすぎるんだよ」

「なるほど。完全没入型演技の才能ゆえに、ですか」

p272

憑依型である彩羽は人の顔色を読むのが上手すぎて、逆に苦労していると。

なんというかこう、経験値という所もあるけど、やっぱり彩羽自身の性質というところでも足引っ張ってるんだろうなあって。

色々と特殊だからね彩羽。本当に表すのが難しいキャラというか。

センターヒロインって直球が多いですし、彩羽も直球要素はあるんだけど、本質的には複雑側ですよね。

色々な事が絡み合っているというかね。

才能があるっていうのも苦労するってもんである。

 

 

根本を知って、経験値を確認しよう

(中略)

『そう《5階同盟》で声優を務めている人間――謎の声優旅団Xとして、表向きは複数人の声優ユニットのように見せている少女。キミは知ってるかい?』

「ああ、やっぱりひとりだったんですか。薄々そんな気はしていましたが」

(中略)

『でね、その彼女をアニメの主役に抜擢しようと思うのだよ』

「『白雪姫の復讐教室』の、ですか?」

『そう。インディーズ作品のメジャー化というニュースに合わせてこれまで秘密にされていた声優情報を一気に解放、更にライトノベル業界期待の超新星である作品のアニメの主役に抜擢……話題性抜群だと思わないかね?』

「確かに。実力も申し分ないですし、新たなスターの誕生と合わせて推せたら、IPの熱量も凄まじいことになりますね。ゲームの演技だけだとアニメの現場に向いてるかまでは判断できませんが」

p297-298

ここで、新たな話が出てきましたね。

まぁ月ノ森社長のエンターテイナーとしての能力っていうのも垣間見えるというか、実力が伴っているのであれば面白い仕掛けというか、話題性は確実にあるやつですね。

という事は、諸々が解決するとこっちの話にシフトしていく可能性も十分ありますね(紆余曲折は勿論あるだろうし、それこそゲームとアニメの収録の違いとか、そういう壁にぶつかったりするというのはありそうだが)

 

「小日向、彩羽……あの子が……?」

確かに可愛い子だった。

でも、クリエイターとしてはそれほど強い印象を残していない。なんというか、自我の強さを感じなかったというか。

可愛いけど、ただそれだけ、という印象。

p300

ここでのカナリアの彩羽観というのは、彩羽を的確に捉えているというか、彩羽に足りないモノというのをわかりやすく提示してくれている印象。

彩羽には自我の強さがない。これは音井さんの”人の気持ちがわかりすぎる”と通づる所であり、人の気持ちが分かりすぎるがゆえに、自分の意志というのを貫けない。という感じでしょうか。

そこの上で色々と経験値不足感もある彩羽なので、色々とクリエイターとして生きていく上ではまだまだ欠けている物が多そうな感じはしますよね。

 

『大人たちに裏切られて、ガラクタのようにされて、捨てられたんだ』

p303

まぁ、乙羽が役者、もしくは子役だったというのは、それこそ乙羽・海月の同時登場した7巻の時点で一定以上予想はついていたわけであり、そうだよなあという感じ。

まぁ落とし方としては相変わらずお上手。

ケツに転を持ってくることでの引き込みはお手の物というかね。

 

まぁここは、どういうふうな過去が存在したのか、その内容のほうが重要な感じが。

さて、ということで次は過去編となる感じで、この9巻は終わりですね。

 

 

今回は、真白は大きく前進した事を示した(8巻の終わりで示してはいたけど、行動としてより明白に示した)事で、彩羽が色々と向き合っていないというか、進んでいない事がより分かりやすくなった気がします。

真白、彩羽、それぞれに見せ場は存在したわけですが、全体的に感じたのは彩羽の未熟さというか、根本というか。

そういう所を見せた上で、今まで断片的にしか分かってなかった過去編をやることで、全体…まぁ恐らく彩羽の掘り下げという所が強まってきそう。

その上で、乙羽の過去も出てくるでしょうし、乙羽にどう認めさせるか?という所の過程とも言えるかも知れません。

 

海月はやはりかき乱すという所では非常に良いキャラですよね、まぁいらんことしいなんですけど。

 

あと、音井さんも当番がありそうな感じがあって、このキャラが深堀りされる時がいよいよやってくるのかなという雰囲気も。

本当に謎が多いからね。

 

真白の巻貝先生である事を告白するシーンはかなり好きですね。まぁこういう感じだろうなあっていう大枠は予想付いた所はあったけど、それでもやっぱり良いというか、超えてくる要素もあったし。

明照の熱い気持ちというのも伝わってきたというか、この主人公が本当にまともになっていくというか(その言い方が正しいのかは不明)

 

5階同盟という存在のルーツを探る事によって、今にどのような影響が与えられてくるのか?

まぁ予告にも書いている通り、過去回想回でもこの作品は物事普通にガンガン進むと思うのでね(そういうの書くのが上手いからね)

 

いよいよ、最初の最初に分かりやすく存在した色々な設定がキャラ間での共有されたり、解決されたりの兆しが見えてきており、その上で新たな展開…黒山羊、白雪姫の復讐教室のメディアでの展開等、今後の軸となりえる要素も登場。

ある意味で第一部というものの終わりは見えてきてるけど、第二部の要素も見え隠れ?的な感じがあるのかもしれないですね…

 

単純に三河ごーすと先生の文章って、引き込み方が非常に上手だし、色々と後々に効いてくる要素を一定印象に残しやすくしてくれてるというかね、それで出た時の感情の爆発とか、感動が出てくる所があるのかなとか。

単純に面白いんですよね、物語。読みたくなる文章が書けるって本当に凄いことだと思うので。

 

次は初夏だってさ、というかアニメ化の詳細出てこないんですかね。流石に1年初報からなんもないとは思ってなかった。(いや翠が近藤玲奈は決まったけど)

まぁコロナもあるしね。とりあえずキャストが一番ドキドキするんだよ、アニメーション制作も。

あとやっぱり三河先生エロゲ書いてもう一回(

 

以上。